57.日本が独立・自尊の国になるためにー偉い人は威厳を養わなければならない
「アレッ、確かにこの貸金庫にダイヤ指輪を入れといたはずだがな……私の記憶違いかな?……」
銀行は絶大な信用を有する。それを監督するのが金融庁。
過日問題となった三菱UFJ銀行の行員が顧客の貸金庫から窃盗を働いていた事件。
国会議員としては銀行の管理体制についてはどうなっていたか、つまり行政監督の不備があったのではないかと疑問を持つのは当然でしょう。
現行憲法第62条は「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定する。
国政調査権だ。明治憲法には無かった議院の権能です。
参議院の金融財政委員会を傍聴した時のことです。
金融庁の局長が「個別的案件なので答弁を差し控えさせて頂きます」と答弁したものです。
偉い人、すなわち世の指導者やリーダーは「威厳」を養わなければならない。総理大臣をはじめとする政治家、会社の社長・取締役等々のことだ。
この局長は「威厳」をしめしたようなのだ。
「重職と申すは、家国の大事を取り計らうべき職にして、この重の字を取り失い、軽々しきはあしく候。大事に油断ありてはその職を得ずと申すべく候。まず挙動言語より厚重にいたし、威厳を養うべし」(佐藤一斎・重職心得箇条第1条)。
佐藤一斎は幕末の儒者として知られ、山田方谷や佐久間象山の師であり、西郷隆盛や吉田松陰に影響を与えたといわれる。
その著書・言志四録は文庫にもなっており(講談社文庫等)、読まれた方も多いでしょう。
その佐藤一斎が書いたのが重職心得箇条です。
偉い人に「威厳」が無くなったのが現代の病弊だろう。だからすぐに権力的になってしまうのだ。(つづく)
いいなと思ったら応援しよう!
