45.日本が独立・自尊の国になるためにー優位戦と劣位戦
第二次トランプ政権が誕生します。
トランプ大統領は交渉の達人です。
交渉にはリスクがつきものです。
亡安倍首相の時代に、北朝鮮の拉致被害者の救済に関し、以下のような時代がありました。
日本政府は、日本人拉致被害者らの安否に関する調査を巡る北朝鮮側の訪朝提案を受け、政府担当者による調査団を近く平壌に派遣する方針だ、という報道があります(例えば、日経新聞平成26年10月1日付朝刊)。
この記事には、「調査団派遣残るリスク 主導権握られる恐れも」という見出しがついます。
この記事を参考にしてわが国の政治エリートの交渉力をみて見ましょう。
「政府筋は『調査団を派遣するリスクはないだろう』と述べるが、『北朝鮮側の一方的な言い分を聞くだけで、実質的な進展につながらない』(政府関係者)との見方もある。
調査の進展に向け、日本側に妙案がないことの裏返しといえる。」と上記の日経の記事にはあります。
この記事から分かることは、日下公人・「優位戦思考で世界に勝つ」(PHP研究所刊)に書いてある劣位戦思考そのものではないのか、という日本側の交渉態度です。妙案など最初からある交渉事はありません。
やっているうちに妙案が見つかるのです。最初から、妙案などという「模範解答」はありません。
劣位戦とは、交渉相手の決めた枠組みやルールで戦うことです。優位戦とは、その反対で自分で枠組みやルールを作って行くものです。
「日本の外交官、学者、進歩的言論人、政治家は、この劣位戦が得意です。決められた枠の中でベストを尽くす達人、というよりもそれしかない。
“実戦”経験の乏しい学校秀才が多いからで、与えられた授業内容の枠内で一生懸命勉強して、正解が決まっている試験に合格してきた。
省エネなどの新国際基準が決まれば、直ちにそのルールで勝負し、最高点を挙げてみせるという自信があり、実際、実績も積んできた。
だが、自分で新しい枠やルールを設定できず、欧米が決めた枠やルールそのものがアンフェアかどうかには思いが及ばない。
さらには、『日本が優れた新基準をつくって、世界に普及させる』という発想ができない。これでは欧米諸国がルールを変えるたびに後手に回ってしまう。」
と日下公人さんは言います。
石破内閣はアメリカ、露中及び北朝鮮諸国との交渉にどのような方針で臨むのでしょうか。
トランプ大統領はディール(交渉)で決めます。前回に大統領になった時もそうでしたから、今回は、一段と、交渉力に磨きがかかっていることでしょう。
対する日本の側は石破茂首相です。5回も自民党総裁選に挑戦し、総理大臣になった強者(つわもの)です。
今回は、自公の与党が過半数漏れになっていますから、守るものは何もありません。あるとすれば「国益」のみです。
佐藤優著・交渉術(文芸春秋刊)と同・私の「情報分析術」超入門(徳間書店刊)も参考となります。
石破首相はじめ日本の政治エリートには、アメリカのような民主主義国家のみならず、ロシア、中国、北朝鮮のような敵性国家に対しても、そろそろ優位戦を戦ってもらわなければなりません。(つづく)
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