39.坐禅の功徳-老後とは年齢であって年齢ではない?

常盤(ときわ)恭(きょう)佐(すけ):
そうだよ、俺の友人なんか一人っ子でね、結婚し子供が生まれて、これから両親に孝行できると言っていた矢先に、事故で亡くなってしまってね.

そしたら、その日に、今度は老母が、階段から落ちて、骨折してしまい、車椅子生活になってしまって、葬式に行ったが、何と言って良いか言葉もなかったよ。世の中って、上手く行かないものだよ。

今日子:芥川龍之介の言いたかった、「正直な暮らし」というのは、高望みをせず、かといって卑下せず、着実に努力する生活が大事である、と言いたかったのじゃないかしら……

恭佐:老後はやはり、今の生活を離れてない、ということか?

死期に向かって、その時その時に一番適した道を、着実に歩けばいいんだけどなぁ……

今日子:そうね、生れてから、死ぬまで芥川のいう「正直な暮らし」をすれば良いのよね。

恭佐:そうだよね、でも難しいことでもあるよね。自分は変わらなくとも、他人の心や環境は、変るものね……老人といわれる年齢になると連れ合いをなくした人同士であっても、好意を持つと何かとうるさいからね、子供を含めて、何かといわゆる偏見もあるしね、老人の恋人同士に対して、他人がいろいろ言うからね、……老後問題は難しいね……移ろいやすいは、秋の空と何とかか?

今日子:あなたは、移ろわないでね、移ろったら……

恭佐:大丈夫、大丈夫、俺は、お前に、永遠の愛を誓っているから……

今日子:芥川龍之介は私たちに人生というものは何かを考えさせたかったのかも知れないわね……

恭佐:そうだね……(つづく)


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伊藤博峰
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