見出し画像

台風接近と母の入院

今は普通の雨に見えなくもないけど
台風が近づいている
今日はお休み

管理職になって圧倒的に「休暇いただきます」と言い出しにくくなった
仕事は落ち着いているのにアホらしい

職場環境のせいにしたいところだけど
実際は誰にとがめられているわけでもない
言い出せない自分がアホということになる


母がまた入院した
1週間ほど微熱が続いており、抗生物質で様子をみたが改善しなかったらしい。

いつもどおりケースワーカーの三橋さんから電話がきて病院に行った

母は見慣れない病院の個室で、唯一動かせる首と目で周囲を見ていた。

珍しく少しだけ声を出した。
病室には若くて優しそうな看護師さんが2人。

こういう時、いつも考えてしまうことがある

医療従事者やケースワーカーさんとか
どんな気持ちで仕事してるんだろ

動けない、話せない、治る見込みはない
そんな老人の看病はどんな気持ちでやってるのだろうか

普通に仕事として、か


ただのサラリーマンである私は、職業に名前がついている人にはいつも聞きたくなる

どうしてその職業についたの?
看護師の友人に聞いてみた

「患者さんを元気づけたり、励ましたりしたかったんだよね」

どうやら今はそういうことができにくい「緊急手術」を行う部署にいるらしい。
彼女はママ友の中でも、群を抜いて嘘がなく、優しかった


今近づいている台風は、高気圧に挟まれて動きが非常に遅いらしく、テレビでは水害のニュースがずっと流れている。

災害の危険が近づくと思い浮かべるのは医療従事者や介護施設の職員

一刻を争う避難のときは、迷わず自分の身を守れるだろうか

逃げ遅れたりとか、することあるよね
ニュースで聞いたことある

その職業を選ぶときは、普通考えないよね
災害が起きた時のこととか

私は、逃げてほしいと思うんだよね
母をおいて逃げてほしいと思う
命が平等なのだとしたら

もしものことがあったら悲しむよ、家族が


役所勤めの公務員は、自然災害の時に呼び出されることになっている
多くの職員は、「避難所運営班」だの、「物資支援班」だの、いろんな割り当てが決まっている。

災害か?というレベルでも簡単に出動命令がでる

最近は、市民に対する避避難指示も早い
事が大きくなる前にとにかくすぐにだす

いろんな理由でそもそも避難できない人がいるんだけども、そんなことまでは考えてはいられない

管理職はパフォーマンスのためだけに待機する
何もやってないと、あとからクレームがくるから

まったく何もせず、自席で一晩を過ごすとすごい手当がつくんだよ
だから税金ドロボーとか言われちゃうんだよ


コミュニケーションがとれない母との面会は長くはない
せめて笑ったりとかできるといいのにね

入院はいつも急だから、その時受け入れ可能な病院に入る
手続きは大抵同じで、もう迷うことはない

延命治療についても聞かれる
ここは「延命治療は望んでいません」
と答えるのが正解

どちらにしても「当院では延命治療は行ってません」と言われるから

ポリシーがあるなら最初からそう説明するだけでいいのにと、思わなくもないけど、まあ大事なことだからね



帰り際、開けっ放しになっている大部屋から
ベットに横たわる患者が見えた

皆一様に目を閉じて、口を開けていた

台風が近づいていることなんて知らない



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?