デザイナーが活きる組織環境とは
こんにちは。
UzabaseでSaaS Design DivisionのBX Designをしているリリーと申します。
デザイン業界は長い方なので、節目節目で変わる心境の変化について、同じような悩みを抱えている人がいたら共感いただければ幸いです。今回はなぜ私がデザイナーを目指し、Uzabaseにjoinすることになったのかをデザイナーが活きる組織環境とはというテーマで書いてみたいと思います。
カルチャーとの出会い _起
小学校時代、好きな教科は算数と理科でした。
当時図形の面積をいくつもの数式で答えを導き出せる算数と、実験観察で植物や魚の整体をスケッチする理科の時間が、なぜか無性にわくわくしたことを覚えています。
カルチャーへの目覚めは中学時代、OasisをはじめUKロックを筆頭に映画”My friend Forever”を見たことがきっかけで、雑誌スクリーンを購読するなど音楽と映画で青春時代を過ごします。みんな進学するよの波になんとなく流されて、ふわふわと上京し大学生活を送るものの、相変わらず自分の好きなカルチャーに浸る日々を過ごして、音楽と映像を起点にイベントサークルでVJを始めたり、映画館でのバイトの傍ら国内外の映像クリエイターをレコメンドしていくクリエイティブ関係の会社でアルバイト(今でいうインターンのようなもの)をしていました。当時は音楽と共に映像クリエーターがヒューチャーされる時代で、映画は”リリィシュシュのすべて”に始まり、高木正勝さん(シリコム時代)や、スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリーやTOMATOなど音楽と映像の融合の美しさに刺激をもらい、カメラで映像を始め、創作のようなこともしていました。
気づけば大学生活も終盤に差し掛かり、就活を考える中で"自分は一体何が出来るのだろう"と当時は将来についてあまり深く考えてもおらず、今ほど情報も仕入れられてはいませんでした。
そんな中、ふと画用紙をめくり描きたい衝動に駆られた被写体をデッサンしていたら、小学校時代のあの理科の時間を思い出しました。
(当時の実際の絵)
"自分はビジュアライズでクリエイティブしていく業界が向いているのでは"
半ば勘違いにもほどがありますが、描きながらわくわくしていた自分と、思考と観察が好きでサークルとアルバイトでのソフト経験、当時ラーメンズという芸人のクリエイティブまわりを制作していた水野学さんに刺激を受けていたことも重なり、趣味と感性への刺激の延長でデザイン業界に足を踏み入れることになります。
デザイナーのはじまり _承
しかしいくらソフトが使えていても新卒採用で、当時は美大でも専門でもない私がデザイン会社に入ることなど容易いことではありません。
新卒で入社したのは印刷会社でDTPオペレーターからでした。印刷の基礎を身につけようと一念発起し、一年後ようやく念願のデザイン会社へ転職を果たします。
入社早々に30Pの商品カタログを毎月、編集、構成、進行、スケジューリング、ラフ、撮影ディレクションをしながら制作を一人で担うというなかなかハードな作業量と拘束時間に、デザイナーあるあるの三轍の刑を経験し、デザイナー初期段階から肉体的にも精神的にも鍛えられましたが、当時24才の私が、ベテランカメラマンに一端の支持をすることなど荷が重く、”早く30歳の威厳と風貌を手にしたい”と願ったことが懐かしいです。
その後転職した会社ではより自分の興味に近いカルチャーを扱う業界にふれる機会があり、アパレル業界、音楽業界、企業広告など、多くの媒体制作を経験していきます。冊子、装丁、CDジャケット、雑誌、広告、看板、webサイト、パッケージ、エディトリアルとあらゆる仕様の経験値と知見を増やしながら、ひたすらに感性を磨いていく日々。この頃から少しずつ個人的仕事のお声がかかるようになり、暫くフリーランスも経験しました。
沢山の機会と挑戦を得られたことで自信を手にした一方で、今思えばデザイナーを始めてから独自完結させるプロセスが多いこともあり、磨かれる精神性と成長へのコミットは独学的学びと思考に近い環境下で、チームワークやクライアントベースワークと言う意味では組織という連携にあまり意識を向けてはおりませんでした。
Uzabaseとの出会い _転
ある日、不動産投資のベンチャー企業のロゴを任されることになったことがきっかけで親交をもっていたのですが、その代表から「うちの会社に入らないか」とのお誘いがありました。
クライアントベースでのデザイナー人生を見つめ直し始めている時期だったこともあり、というのもしっかりと真髄をつくブランドづくりをしていくことができそうな企業ブランディングへの興味が増していたことで、勢いで不動産業界のインハウスデザイナーとしてJoinすることに決めました。
当初は異業界にデザイナーが一人加わり、業界を知るところから企業が成長していく未来を創造して創作していくことに期待をこめて、0ベースでブランディングをしていくことに胸を躍らせて挑みました。
2年ほど経ち企業と事業の個性を形にしていく中で、会社は企業あるあるの30人の壁に差し掛かかろうとしていました。
組織状況と環境が徐々に変わり、ブランドマーケティング戦略においての優先順位が劣後していく一方で、優先順位を上層部で決めていくという流れが主流となり、ラフに話し合う機会もどんどん失われていきました。
そう、ここにきて組織の壁が立ちはだかります。
"企業ブランディングにおいて最も重要なことは、組織全体で目的意識をもち、一丸となり取り組まなければ業を成せない"
どんなに最良の形を提案したいと思っていても、進めるためのアプローチとチームワーク体制と人、モノ、コト、それに耳を傾ける組織理解において共に目的意識を持ち共創し常に円陣をきることができなければ、ブランディングは成り立たないと痛感するのです。
私自身の力不足と組織との葛藤を感じていきました。ジレンマを抱えながらこのままではうまくいかないという想いがひしひしと募ります。
組織へのアプローチの力を身につけなければならないことと組織環境、組織理解はブランディングにとって重要な接点だと思いはじめたことがきっかけで、自身の成長ステップにおいてキャリアを考えました。
そこでエージェントに紹介いただいたのがまさにUzabaseとの出会いでした。
デザイナーが活きる組織環境とは _結
選考が進むに連れ、組織のあり方、社風にどんどん惹かれていきます。
”Uzabaseなら本当の意味でブランディングが活き、Visonを叶えられるのでは...”
(The 7 values of Uzabase)
Uzabaseが掲げるValue、7ルールにはヒト向けとコト向けのメッセージがバランス良く組み込まれています。それを細かく定義していく”31の約束”でも伺いしれます。
Missonを成し遂げるにはまずプロジェクトメンバー(働く人々)の充実度を上げていくこと、それは組織が一枚岩になることと同時に、そうでなければ成し遂げられる山があることを教えてくれます。
私の好きな言葉でイソップ寓話に「北風と太陽」があります。❝冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれるという組織行動学的な視点❞ を教訓として説いています。
Valueを満たすことで、自ずと取り組み前に進む組織行動学的な視点が健全な状態で自然と成し遂げていける形でありまさに太陽が照らす山なのだと感動しました。
例えば、
1の”自由主義で行こう”は働く人々が自由なスタイルで創造的にワーク出来る環境を提供しています。一方それは個々で自責がとれる覚悟が重要だったりします。
2の”創造性がなければ意味がない”はクリエイティブの創造性という意味合いと、行動指針全般を創造してみる必要があるとも言えます。
3の”ユーザーの理想から始める”はMissionに不可欠なもの。
4の"スピードで驚かす"は企業成長に欠かせません。
5の”迷ったら挑戦する道を選ぶ”は結果がどうあれ個人の成長にスポットをあてることが出来ます。
6の”渦中の友を助ける”はヒト向けで人の温もりが太陽として作用していくのです。
そして最も大切なことは7の"異能は才能" 会社には各業界からの知見と知恵にあるれるメンバーが集う場所だからこそ尊重していく必要があります。(個人的にもデザイナー人生の意識変動の先にたどり着いた究極の成長環境を提供してくていれると感じています。)
もちろん異能であるがゆえに自分とは違う他者、ダイバーシティでコンフリクトも当然起こりえます。だからこそオープンコミュニケーションがフラットに出来る環境がとても重要なのです。
最初に起きたコンフリクト
Uzabaseにjoinして半年が経つ頃、デザインチームはようやく各担当の持ち回りが明確化され、私はSPEEDAのBX Designという大きなくくりの中で守備範囲広く担当していました。
当時は人も少なく、BXのほとんどの仕事を担当しながらSPEEDAのリブランディングという大きなPJが動いていたこともあり、プレッシャーと裁量とPJへのスピード感についていくのに必死でした。
そんな中SaaS全体のBXチームのリーダーを任されることになり、担うものも大きくなっていきます。SPEEDAのBXデザイナーは私以外がジュニアデザイナーで、基礎からのFBもしばしば。忙しさの中で、根本からデザインFBをしていくにはそれなりの時間も要しました。
6ヶ月間、実作業とマネジメントの両党に労働時間が逼迫していき、相談しながら状況を伝えてはいたのですが、CDOの平野さんからいざ告げられたのはリーダー降板という突然の通告でした。
もちろん私自身、力不足で上手くバランスを取ることが出来なかった反省もあり、素直に受け入れるべきことではありましたが、その時はもやもやした辛く悲しい気持ちがこみ上がりました。唐突であることと、伝え方に信頼とリスペクトを感じとれなかったのです。
その通告を受けた週、偶然にもCo-CEOの稲垣さんと飲む機会があり、そのもやもやを聞いてくださりました。稲垣さんは「すぐさま会話をする機会をつくろう。僕がセッティングするから」と言いすぐにその機会を手配してくれました。
そして私と平野さんの間を取り持ってくれたおかげで、お互いの思っている景色をオープンに話すことができたのです。稲垣さんは最後にこう言いました。「シンプルにありがとう。ごめんね。という言葉を交わすことが大事だよ。」
それから平野さんはコミュニケーションを大切してくださり、今ではなんの蟠りもなくより深い信頼のもと仕事を共創できています。状況も改善し、私自身も学ぶべき視点に気づき徐々に成長していくことが出来ました。
この機会をつくってくれた稲垣さんがいなかったら、ちゃんと向き合ってくれる平野さんでなかったら、私はきっともやもやした気持ちのままで終わっていたかもしれません。
感謝の気持ちとUzabaseならやり遂げられると思わせてくれた瞬間でもありました。
SPEEDAのブランドマーケティング
あれから入社してもうすぐ2年が経とうとしています。
Valueに助けられることは実制作においても大事なタッチポイントで遭遇します。BX Designの仕事はマーケティングと密接に関わることも多いので、Brand Marketing Division(MBD)と仕事を進めていくのですが、まさにユーザーの理想から始め、スピード感をもって挑戦をし、日々渦中の友に助けられながら共創し、異能に助けられることがよくあります。
(最近のセミナーバナー制作)
SPEEDAのマーケ施策では最近新しいプロジェクトが始まりました。プロダクト内のトレンドコンテンツにスポットをあて、毎回のテーマをフューチャーし、各業界からそれに特化したゲストをお迎えし、トレンドの先のビジネスの未来について議論を繰り広げる「SPEEDAトレンド」という番組です。
このプロジェクトが立ち上がり、コンセプトを集約したビジュアルづくりでは、毎回のテーマにスポットを当てることからフォーカス、的、カメラのレンズをモチーフに番組のロゴづくりをはじめました。最初はタポグラフィーを英語でシックに纏めていたのですが、MBDのCMO、酒居さん(JJ)と話し合いながら、「なんだかもう少しキャッチーさがほしいよね」という話になりTREND部分をカタカナにしてみてはどうかとなりました。SPEEDAのタイポグラフィをカタカナに取り入れて出来上がったのがこちら。
私: 「カタカナいいですね!なんだかキャッチーになりました。」JJ: 「いいね!もう少し高揚感をあげるために「ト」のはらいを上向きにするのはどうかな?」
正直悔しかったです。数十分の間でクイックなやりとりを交わしていたこともありますが、自身で作り上げられなかった悔しさ。けれどそれ以上に共創することで実現したすばらしいロゴが出来あがったことにわくわくでしかありませんでした。MBDの協力体制、スタジオセットやテーマ性、ゲストパフォーマンスのかいもあって、結果的に番組集客にはオンラインでは異例の4,600人を超え見込むことができ、素晴らしいPJが誕生しました。
Uzabaseに入って実感したこんなやりとりは幾度となくあります。オープンコミュニケーションのあり方にはとても驚かされますし、共創して作り上げていくことで成せるブランドマーケティングがそこにはありました。
さいごに
私にとって好きから始まったデザイン業界、いくつもの経験値を重ね立ちはだかる壁の末に今たどりついた場所は成長を繰り返せる組織環境でした。そして活かす組織環境とはオープンコミュニケーションで自分たちで構築していくことが出来るのだという事を、異能にふれて気づかされたのです。
この業界に長くいてもまだまだデザイナーとして日々学びと成長を感じています。普段ダイバーシティでのコミュニケーションに悩むことがあるとしたら、それは目的意識をValueに向けてみることで、もしかしたら変えられることがあるかもしれません。そしてとことん対話し、信頼を築きながら、互いをリスペクトしていくことから始まるのではないかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
SaaS Design Divisionは「DESIGN BASE」という屋号を掲げて、デザイン全般の組織づくりを高めております。各人それぞれに異能が集まり才能を分かち合いながら日々クリエイティブで事業を盛り上げていますので、ご興味いただければ幸いです。デザインを愛するすべての人たちへ
暖かい太陽が照らしますように⬇
Cover Design: Kurumi Fujiwara
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?