文句なし!これがクルマの"最適解"!? Honda Civic 試乗記録 #4
今回はHonda Civicに乗ってみた。最近のクルマの中でトップクラスにハンサムなスタイリングが魅力的なCセグメントハッチバックだ。CセグメントはVW GolfやToyota Corolla、Mazda 3など各メーカーが主力となる車種を取り揃えていて、まさに群雄割拠な様相を呈しているクラスである。それらの中でCivicはどのようなポジションであるのか、ライバルに比べてどのような魅力を持っているのか、東京の街中から高速道路、そして群馬の峠道など、いろいろな場面を走らせて検証してきた。
Information
Honda Civic
年式:2023年式
グレード:LX
パワートレイン:1.5L 直列4気筒 + ターボチャージャー
トランスミッション:CVT
駆動方式:FF
最高出力:180hp(6000rpm)
最大トルク:240Nm(1700~4500rpm)
車両重量:1.36t
Driving
このクルマの全体的な印象から話すと、このクルマは上の価格帯のクルマやDセグメントサルーンを思わせるくらいの安定感と剛性感に溢れる優れた乗り心地と、滑らかさと十分なレスポンシブさを兼ね備えたパワートレインを持つ、Cセグメント界の超優良GTだ。
まず、足回りや乗り心地について記述する。このクルマは乗り心地が大衆モデルの中でトップクラスに良い。VW GolfやMazda 3のような同クラスの中でも完成度の高い部類のクルマと比較しても間違いなく上質で完成されていて、Audi A3のような価格帯が上のモデルと比較しても遜色ないレベルに仕上がっていると思う。特にロードノイズへの対処はピカイチで、多少荒れた路面や配管工事の跡でつぎはぎになった街中の路面でも、不快感なくスムーズに走り抜けることができる。当然、マンホールの蓋や高架道路の繋ぎ目もいい感じにいなしてくれる。そして、柔らかめな足だからといってふわふわしているわけではなく、高速コーナーでもリーンしないし、安定感が非常に高い。Dセグメントサルーンに乗っているのではないかと思わせるどっしりとした重厚感と安定感がある。
ステアリングは適度に重みのある程よいセッティングで、Mazda 3のようなアジャイルさ、俊敏さがあるとまでは言えないが、LevorgやCorollaのようにゆるゆるでルーズな感じはせず、入力に対する追従性は十二分なレベルだ。ノーマルモードでもクルマと路面の状況を把握でき、スポーツモードだとより引き締まったステアリングになって安定感が高まる。そして、峠道で運転するのが楽しいくらいダイレクト感も十分だ。
ただし、低速域からしっかり重みがあるステアリングなので、低速域の取り回し性はVW Golfの方が老若男女ウケが良いだろう。私はこういうステアリングの方が好みだが、VWやToyota系に慣れている人には重く感じるはずだ。
次にパワートレインについて見ていく。このクルマは1.5L直列4気筒エンジンをターボチャージャーで過給して、最高出力180hp、最大トルク240Nmを発揮する。トランスミッションはCVT。普段使いでは十分なスペックで、高速域や峠道でも全くパワーに不満がなかった。CVTはノーマルモードで2000回転弱、スポーツモードで3500回転付近を維持するように制御されていて、高回転域までスムーズに吹き上がり、Hondaのエンジンらしく回せば回すほど気持ちよく速度が乗ってくる。スポーツモードではそれが顕著に感じられる。
CVTを搭載したクルマの大半はレスポンスが鈍い傾向にあるが、大のCVTアンチな私でも「このCVTなら良いのでは?」って思うくらい、アクセルに対するレスポンスがかなり良い。流石に減速からの再加速ではATやDCTとの差を感じるが、基本的に合流や追い越しでほとんどストレスがなく、思い通りに加速してくれる。また、音の不快感も抑えられていて、ToyotaやNissanのCVTのように唸り籠る不快なノイズはほぼ感じられないので、このクルマのGTたる快適な雰囲気にもマッチしている。
この完成されたCVTの挙動は、「全開加速ステップアップシフト制御」という機能が良い仕事をしている故のものだと考えられる。このシステムは加速時にエンジンの回転数を段階的に制御することで、まるでATのような変速感を実現しているものだ。流石にDCTほどスパッスパッとキレのある変速感ではないものの、いかにCVT故の不快感を払拭するかという点でかなり頑張って設計されていると思うし、実際にCVTの中ではトップクラスに自然で気持ちの良い挙動をしている。
視界と取り回し性について述べると、まず視界は斜め後ろが問題となる。一応小窓があるが、Cピラーが太くて厚みがあるのでドライバーの視点からだと恩恵は僅かだ。ただ、それを除けば、全体的には視界良好な部類になるだろう。ボディは水平基調のデザインであり、ウィンドウ下端が低くガラスエリアが広い。さらに、リアゲートの窓も十分な大きさであるため、後部の視界も十分だ。さらに、ダッシュボードがフラットで前方の視界が開けているため、(ボンネット長いから大変かと思ったが)意外と先端の位置を把握しやすい。三角窓ないものの、Aピラーが細いため、斜め前も問題ない。
Interior and Practicality
Front
このクルマの内装は、ハンサムで大人っぽいエクステリアにピッタリな、シンプルで視覚的ノイズの少ない上質な空間となっている。シンプルではあるが、TeslaやVolvoのように過剰にミニマリスティックになることもせず、ちゃんと利便性も高い。ちょうど数年前のAudi(現行型A4)と似た思想を感じる、ジェントルな上質感だ。
内装の素材は基本的に柔らかい樹脂で、水平基調のデザインとなっており、左右に一直線に伸びるハニカムパターンのエアコン送風口が目立つ。また、ピアノブラック塗装のパーツの使用は限定的であり、指が触れる部分や大きなパーツには使っていない。そして、エアコンのつまみやエアコン操作ダイヤル、シフトノブなどかなり限られたパーツにのみ控えめに採用されたシルバー塗装は金属感が高く、適度なアクセントとなっている。
ダッシュボードは低くフラットであり、センターディスプレイも大きく視認性と操作性に優れるが、YarisやCorollaのように中央部分の視界を妨げることもなく、前述のとおり視界が良く、全体的に開放感のある室内空間だ。
エアコン操作パネルは風量と温度をダイヤルで操作するタイプなので、操作性抜群であり、ダイヤルを回す感触も、ダイヤル中央のボタンの押し心地も上質だ。それ以外の操作は物理ボタンを採用している。さらに、操作した内容がインフォテインメントシステムのセンターディスプレイの上部にその都度表示されるため、操作結果を視認しやすくて良い。また、2グレード構成の下位グレードでありながら、日本仕様はデュアルゾーンクライメートコントロールとシートヒーターが標準装備である。(アメリカ向けなど一部地域では同様に下位グレードとなるLXでシートヒーターやデュアルゾーンクライメートコントロールが非搭載)
センターコンソールを見ていく。建て付けは、表面のパネル部分が若干ゆるい。また、コンソールボックスとセンターアームレストは大分ぐらつく。それ以外はクオリティも高く、特にパネル部分にピアノブラック塗装を採用しなかったことは素晴らしい。
充電ポートはエアコン操作パネル下にあり、今回乗ったモデルは12Vソケットが1つとUSBポートが2つある。2024年9月のマイナーチェンジ後のモデルではこれがType-Cとなる。その下の空間はスマホが縦に入る十分なスペースとなっている。
シフトノブは、配置も高さも適切で操作しやすくよくできている。しかし、MTモードはパドルシフトからの操作だけなので、シフトノブからも操作できるようにしてほしかった気持ちがある。
センターコンソールのアームレストは開いた時の建て付けが前述の通りよくないものの、アームレストとして使う分には問題なく、しっとりとした柔らかい合成皮革で心地よい。また、コンソールボックスのサイズは、このクラスにしては深く使い勝手が良い。コンソールボックスの中には特に充電ポートなどはない。
グローブボックスは見た目の割に容量はやや小さめ。開くとかなり減衰が強くて上質な雰囲気がある。
フロントのドアは上部が柔らかい樹脂、中央はファブリック、アームレストはしっとりとした素材の合成皮革で柔らかくて見た目も触り心地も質感が高い。ドアポケットは流石に硬い樹脂だが、サイズは十分で細長いタイプの1Lのボトルが1本と、500mlのボトルが1本余裕で入る。また、スイッチ類は全て艶消し樹脂で、端を艶消しシルバーで控えめに装飾されているので雰囲気も良い。
シートは適度なホールド性のあるゆったりとしたサイズであり、柔らかく、長距離の運転でも快適だ。また、前述の通りウィンドウ下端が低く水平基調で前方視界も良いため、着座位置を低くして安定感とスポーティさを高めたドライビングポジションにもしやすく、大満足だ。
ステアリングコラムの可動域は平均的。ステアリングはやや太めで質感が高く、ワンランク価格帯が上のモデルのような感じだ。特にターンシグナルとワイパーのストックの減衰感は高級感を覚える。当然ステアリングスイッチは物理ボタンであり、左側がインフォテインメントシステム、右側がアダプティブクルーズコントロールと完全に分かれていてわかりやすい。
流石にオルガン式アクセルペダルの採用はないものの、なんと下位グレードでありながら、アルミペダルを採用していて足元から質感が高い。
Rear
リアドアの開く角度は十分。乗降性はルーフが傾斜しているファスバックスタイルなので、VW GolfやPeugeot 308のようなボックススタイルのシルエットを持つモデルには劣る。とはいえ、開口部の幅が広く、リアタイヤによる張り出しも小さいので、Corolla TouringやMazda 3などと比較すると良好な部類だ。
リアドアは基本的にフロントドアと同様の設計になっていて、見た目の質感に差はないし、500mlボトルが余裕で入るので機能性も十分だ。ただ、ドア上部の素材が柔らかい樹脂素材から硬い樹脂素材に変更されている。VW Golfなどで割とよく見るコスト削減策だ。それ以外はフロントと同じで、アームレストもしっとり柔らかいので、触れる部分の質感と快適性に遜色はない。ちなみに、ウィンドウは一番下まで下がらない。残念。
このクルマの長所の一つに後席の居住性の高さがある。特に長いホイールベースにより足元空間は明らかにクラストップレベルの広さで、身長176cmでわりとシートを後ろに下げがちな私のドライビングポジションの後ろに私が座っても、シートと膝の間に拳が余裕で2個入る。床面積も広い。ただし、膝を立てて座ると太腿の裏に大きな隙間ができるので、足を伸ばして座るのが良い。前席のシートを低めにしても足先を突っ込める空間はあるので、まるでDセグメントサルーンのような快適な乗車体験ができる。また、シートも十分な厚みがあり、フロント同様快適だ。
さて、頭上空間はVW Golfなどより狭く、私は手のひらの厚みくらいしか余裕がなかった。大抵の日本人なら問題ないレベルだが、身長180cmくらいになると厳しい。
次に大人3人が横に並んで座れるかという話だが、意外といける。おそらくCセグメントハッチバックの中でも特に3人並んで乗りやすいのではないか。その理由はやはり足元空間の広さだ。センターのトランクミッショントンネルは低めであり、そもそも床面積が確保されているので足の置き場を奪い合うことにならない。また、車幅も広いので、肩周りも意外と悪くない。ただ、左右席の人の頭がCピラーに近くなり若干の圧迫感が生じるのは仕方ない。
ここまで快適な後席として紹介してきたが、残念ながらLXにはリアシート用のエアコン送風口がない。それ以外のグレードは全て標準装備なので、下位グレード故に仕方ないが、アルミペダルとかハーフデジタルメーターとかよりこっちの方が優先順位高いのではないかと思う。
また、後席用のUSBポートもない。そしてこれはLXに限った話ではなく、日本仕様は全グレード非装備となる。欧州向けなど一部の市場では装備されるからLX以外の後席エアコン送風口装備グレードだと本来USBポートのある部分がダミーとなっている。
さて、後席センターアームレストには500mlのペットボトルがちょうど固定されるくらいの小さいものと、大きいものの2つカップホルダーがある。これらはかなり浅いので、後者にペットボトルを入れるとかなりゆるゆるで、運転中に落ちそう。
ISOFIXアンカーポイントはシート生地でカバーされているタイプ。カバーを取ると、取り付けやすいようにいい感じの空間が確保されていて良い感じだ。ここにゴミが溜まりやすいということ以外はかなり良くできている。
Boot
荷室のサイズは452Lで、Cセグメントハッチバックの中ではかなり大きい。例えばToyota Corolla Sportは352L、VW Golfは381L、Peugeot 308は412L、Ford Focusは375L、Kia Ceedは395L、Mazda 3は351L、Hyundai i30は395L……。さらにエステートであるToyota Corolla Touringの392Lも超える。CセグメントハッチバックでCivicを超えられるのは本邦に正規輸入されていないŠKODA Octavia(600L)くらいだろうか。また、バッテリーを配置する分荷室が小さくなるe:HEVモデルでさえも410Lある。
まぁ、サイズがデカいことはわかった。では利便性はどうか。
このクルマはファストバックスタイルを採用しているため、リアゲートは非常に大きく開く。横幅も広く、大きな荷物を積み込みしやすい。ただ、荷室の入り口に段差があるので、重い荷物の積み下ろしは少し苦労するだろう。ここは入り口から真っ平なVW Golfなどの方が良い。ただし、ファストバックスタイルなのにその分(?)荷室の深さはあるので、それなりに高いものや大きいものも載せられる。
床下収納はそこそこ深く、まるでVolvoのように床板を立てて仕切りにすることができる。
残念ながら、荷室内にはフックや紐などで固定しておくリング(タイダウンポイント)がほぼない。あるのは後席背面との間にあるスロープに設置された2箇所のタイダウンポイントだけだ。また、12Vソケットはないので掃除機をかける時に(後席にも給電できる設備がないので)苦労するだろう。
このクルマの優秀なポイントはトノカバーだ。横向きに伸縮するタイプで、簡単に取り外しができる。さらに、コンパクトなので床下などどこにでも収納ができる。また、リアゲート側に取り付けられた部分も薄いので、全く嵩張らない。これこそ理想的なトノカバーだ。
このクルマは60:40分割可倒式で、残念ながら特にスキーハッチのようなスルーローディング機構もない。おそらくこのクルマの荷室最大の欠点がこれだろう。故に、例えば4人乗車でスキー板など長尺物を載せたい時はVW Golfや40:20:40分割可倒式を採用しているSubaru Levorgの方が良い。
シートを倒すと若干シートの背面と荷室の床面の間にスロープができる。ただ、スーツケースなど重い荷物の積載でもさほど気にならなかった。
また、シートを倒すには後席肩にあるスイッチを操作する必要があるが、これだけ大きい荷室なのだから、一般のエステートのように荷室から倒せるようなレバーを設置してくれても良いのではないかと思った。身長が高い人なら傾斜したルーフライン故に大抵のハッチバックやSUVよりも手が届きやすいが、それでもレバーが欲しい。
なお、後席を倒してもシートベルトは巻き込まれなかった。
Infotainment System
このクルマにはHonda Connectと呼ばれるインフォテインメントシステムが標準装備されていて、全グレードセンターディスプレイは9インチとなる。さらに、ETC2.0車載器も全グレード標準装備だ。
画面の右側にはショートカットボタンと音量調節ダイヤル、選局ボタンが装備されるため、ドライバーにとっての操作性も良い。
また、ディスプレイはかなりレスポンシブであり、スムーズに反応をするので非常に使いやすく、メニューもUIがシンプルで扱いやすい。ただ、純正のマップはあまり視認性がよくない。しかし、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応している(ただしAndroid Autoは有線接続のみ)ため、特に不便は感じなかった。
2024年9月のマイナーチェンジ以降はGoogleアシスタント等が搭載されて、UIや機能性が改善している。特に純正マップの視認性がイマイチだったので、Google Mapを標準で使用できるのは嬉しい。もうこのシステムに対して全く文句が出ない。
ドライバーズディスプレイはLXのみ7インチで右の速度計がアナログメータとなる。それ以外のグレードは10.2インチのフルディスプレイだ。ただ、10.2インチのフルディスプレイにする恩恵は僅かで、LXの小さいディスプレイで十分に思える。なぜなら、フルディスプレイであっても画面のカスタマイズ性はほぼ皆無で、基本的にメータとしての表示くらいしかできないからだ。VWやSubaruのようなマップの表示を期待していたのに残念。
次に、ドライビング関連の設定項目について確認する。
このクルマにはまだアイドリングストップが装備されていて、デフォルトではonになっている。まぁ、そのくらいなら許せるが、残念ながらアイドリングストップをoffにしても、再起動すると元に戻っている。
他の設定はどうやら保存されるようで、運転支援システム関連は全て再起動後も保存される。それなら、アイドリングストップも同様に保存してほしい。始動するたびに毎回アイドリングストップを切らなくてはならないのはめんどくさいし、この設定を保存したところで何ら問題はないはずなのだから。
さて、運転支援システムの設定は基本的にドライバーズディスプレイから行う。ステアリング右下のボタンを押すとドライバーズディスプレイが運転支援システム設定メニューに切り替わり、そこから各機能のon/offを切り替えられるというものだ。
WR-Vなど一部のHonda車はギアをPレンジに入れないとドライバーズディスプレイの運転支援システム設定画面を開けないのだが、このクルマは特にそのような制約はなく、しかもボタンひとつでメニューに飛ぶことができて良い。
ただし、一部機能はインフォテインメントシステムからの設定となる。例えば、先行車発進お知らせ機能や標識認識機能が該当する。とはいえ、これらの設定も恒久的に保存されるので、あとから操作する手間がないため、特に問題はない。
また、パーキングセンサはステアリング右下のボタンで切り替え可能となっていて、こちらも再起動しても設定が保存される。
Is the Honda Civic a good car?
このクルマは本当に優秀なクルマであった。安定感があり滑らかで快適な乗り心地、高速巡行や峠道でも気持ち良く走れるパフォーマンス、上質なインテリア、十分な室内空間と大きな荷室。どの要素を見ても完成度が高く、欠点を探すのが難しいくらいだ。特に長距離を快適にクルージングできて楽しく気持ちの良い走りを実現しているGTのようなCセグメントのクルマを探しているなら、まさにこのクルマがうってつけだ。
ライバルを見ていくと、さらに利便性や後席の居住性を要求するならSubaru LevorgやVW Golf Variantといったエステートが、もっと直感的で楽しい運転感覚を求めるならMazda 3の20SやSkyactive Xが選択肢になってくる。だが、居住性・利便性を重視したいユーティリティ的需要と、運転する楽しさや気持ちよさといったドライビングプレジャー的需要の両方を高い完成度で満たしてくれるのはこのクルマで間違いないだろう。
よって、私は「誰にでも勧められる一番優秀なクルマは何?」と聞かれたら間違いなくこのクルマを選ぶ。
Pros
乗り心地や質感に優れていて快適性が高い
運転する楽しさも十分にある
荷室容量が大きい
下位グレードのLXでも十分すぎる装備内容
Cons
(高身長の人にとっては)後席の頭上空間が狭い
価格の高さを指摘する人が多いが、装備内容や質感、パフォーマンスを考えると妥当
正直なところ欠点が他に見当たらない……後席用のエアコン送風口と給電ポートがないことくらい……???
Alternatives
Volkswagen Golf
ボディの剛性感と足回りの安定感、どの速度域でもしっかりパワーが乗ってくる1.5L eTSIエンジン、小気味良いシフトフィールのDCTなど、クルマとしての完成度の高さはさすがVWといったところ。ボックススタイル故の頭上空間の余裕を考えると後席の居住性はCivicより優秀と言える。荷室の大きさはやや劣るものの、利便性は十分だ。しかし、(1.5LモデルはCivicのe:HEVと同程度の価格になるが)ミニマリスティックな方向に舵を切ったであろう内装の質感は期待外れなレベルで、ありとあらゆるインターフェースをタッチパネルにした結果、使い勝手も最悪になってしまった。(いちVWユーザとしても)この方向性は大いに不満だ。
Toyota Corolla Sport
220万円から購入できるのが最大の魅力。4輪独立懸架を採用した足によって安定感と乗り心地は価格以上の完成度。まぁ、Civicと比べると内外装の質感は低く、ボディの剛性感や遮音性も、後席の居住性も荷室空間も大きく劣る。しかし、ハイブリッドの最上級グレード(G"Z")でさえ300万円を切る低価格と、経済性の高さは魅力的で、おそらくこのクラスで最もお財布に優しいのではないだろうか。エステートであるCorolla Touringも用意されるが、後席の居住性も荷室空間もCivicの方が優秀。
Mazda 3
(Civic LXと同等の装備を目指すと価格は上がるが)より低い価格(15Cで220万円)から購入できる優秀なハッチバック。特に、内外装の質感と美しさ、ダイレクト感の強いクイックな運転感覚は非常に魅力的。後席の居住性と荷室が弱点なので、2人以内の乗車を前提とするなら最も有力な候補。特に、運転する楽しさや美しさ、高級感を求めるなら最高の選択肢。ただし、1.5Lモデルは明らかに非力なので、2.0LモデルかSkyactive Xモデルを選びたい。
Honda ZR-V
プラットフォームやパワートレインなど多くのパーツを共有する、CivicのSUV版のようなクルマ。後席の頭上空間が拡大することとAWDが選べることは魅力的だが、荷室は72Lも小さいし、車体は100kgも重くなり、重心が高くなるため運動性能が落ち、さらに価格も(装備内容の差を埋めて考えると)割高になる。そして何よりCivicより足が硬いセッティングであるため、Civicで最大の魅力だった乗り心地の良さが損なわれてしまっている。他の同クラスのSUVと比較するとよくできたクルマだとは思うが、明らかにCivicの下位互換になっている。降雪地域に居住しているか、日常的にチェ・ホンマンを後席に乗せるかでない限り、Civicを差し置いてZR-Vを選ぶ理由はない。
Subaru Levorg
363万円〜なので、Civicと比べて同程度かやや高価格帯となるが、荷室の利便性や後席の居住性を重視するならこちらも見ておきたい。特に大きな荷室と40:20:40分割可倒式のリアシート、優秀なAWDは非常に魅力的で、ウィンタースポーツやキャンプ、山の手入れなどといった用途が想定される場合や降雪地域、山間部に居住しているのであれば最有力候補となる。欠点はステアリングとスロットルレスポンスに遊びが大きくダイレクト感に欠けることだろう。スポーティな見た目や売り方に反して(特に1.8Lモデルは)スポーティとはかけ離れたマイルドな性格で、ダイレクトな運転感覚を重視するならちょっと考え直したい。