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奇を衒ったクルマに見えるが、実は…… Hyundai Kona Electric 試乗記録 #12
今回の試乗はHyundai Kona Electricだ。なんだかんだ毎週のように色々なクルマに乗っている私でもHyundaiは……というか韓国車は初めてだ。
Hyundaiは2000年から日本市場に進出したものの、販売不振により残念ながら2010年に普通車の販売を終了した。当時のHyundaiというと、欧州のライバルと比較すると退屈で、日本のライバルと比較するとチープで信頼性が低いイメージがあった。しかし(Kiaを含む)Hyundaiグループはクリストファー・チャップマン氏、ペーター・シュライヤー氏、ルク・ドンカーヴォルケ氏など、VWやBMWで活躍していた名だたるカーデザイナーを獲得し、ここ数年で一気に"単に安さだけで選ばれるクルマ"から(コスパはそのままに)品質もデザインも魅力的なブランドに育った。日本国内の普通車市場にも2020年より再参入している。
そんなHyundaiが満を持して日本に投入したクルマの1つがこのKonaだ。日本には2世代目からの導入となる。このクルマは、ちょうどMazda CX-5あたりがライバルとなるC~Dセグ級のTucsonの下のセグメントを担うSUVで、Kia K4や同社のElantraと同じK3プラットフォームが採用していることから、Bセグメントとしてはやや大きく、Cセグメントとしてはやや小さいくらいのサイズ感となる。Nissan KicksやHonda Veselあたりがちょうど同じくらいの立ち位置だろうか。
仕向地によっては1.0L, 1.6Lのガソリンターボや1.6Lディーゼルのマイルドハイブリッドなど、多彩なエンジンラインナップを取り揃えるが、残念ながら我が国ではBEV仕様しか展開されない。
Konaのエクステリアを見ていくと、他のHyundaiのクルマと同様に、エッジの効いた革新的で奇抜なデザインが目を引く(ネオテリックイエローという黄色い蛍光ペンのような色だから尚更目立つ)。しかし、最近のB○Wに見受けられる「はじめて定規で直線を引くことを覚えた幼稚園児の落書き」のようなチグハグなデザインと異なり、ディテールは超前衛的なのに、クルマのデザインとして纏まっていて、不思議と完成されているからすごい。
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そんなHyundai Kona Electricに乗って、今回は都心から国道4号を使って、宇都宮へのロングツーリングを楽しんできた。
Information
Hyundai Kona Electric
年式:2023年式
グレード:Lounge Two-tone
パワートレイン:モータ(フロント1基)
駆動方式:前輪駆動
最高出力:201 馬力
最大トルク:255 Nm
駆動用バッテリー容量:64.8 kWh
車両重量:1.79 t
本体価格:489.5万円
Driving
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このクルマの運転感覚の最大の特徴は快適な足回りだ。このクラスとしては珍しくリアサスにマルチリンク式を採用していることもあり、このサイズのSUVの中でトップクラスに乗り心地が良く、配管工事の跡や高架道路や橋の繋ぎ目、マンホールなど、大抵の凹凸を楽々と乗り越えてくれる。突き上げ感は全くない。BEVは車両重量が増えるため足回りは硬くなりがちなので尚更すごい。
また、強めのブレーキに対する揺れの処理も素晴らしい。SUVやBEVのようなサイズの割に重いモデルでは、強めにブレーキを踏んで停止する最後の一瞬に「キュコッ」とサスペンションが鳴いたり、振動が減衰されきれずに弾むような揺れが発生しがちだ。例えばVolvo EX30やEX40は顕著だし、あのVWでさえT-Crossは結構気になるレベルだ。しかし、KonaはBEVでSUVで、しかも特別プレミアムな方向性のクルマではないのに、本当に滑らかに静止してくれる。
ただ、この足回りも完璧ではないので、波打つマクロな凹凸がある路面を速く走行していると、ちょっと揺すられ弾むような感覚がするので、こういう振動の減衰に関してはVW T-Cross、あるいは同社のIoniq 5の方が優秀だ。また、山道や立体交差、首都高など、コーナーが多い道では、柔らかい足回り故にボディの傾きが大きく出てしまう。
ステアリングは軽いため、街中での取り回しがしやすい。基本的にステアリングの重さはToyotaくらいといったところで、センターに戻ろうとする弾力のある遊びがある。しかし、高速道路や曲線の多い道では、Nissan Kicksほどではないが安定感と操舵の正確性に欠けるため不満だ。ドライビングモードをSportにすると若干引き締まるが、ただ単に重くなるだけでクルマとの一体感や操舵する楽しさからは縁遠い。入力に対して忠実に動いているとは言えない緩さがある。
このクルマを動かすのは201馬力, 255Nmのシングルモータなので、BEVとしては数値上かなり控えめな感じだし、Volvo EX40やIoniq 5のデュアルモータ仕様のように爆発的な加速はしない。それでもベタ踏みすると流石はモータ、初動からトルク全開で背中に押さえつけられる加速をしてくれる。このトルクもりもりで非常にスムーズな加速こそ、モータの醍醐味だ。
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このクルマにはEco, Normal, Sport, Snowの4モードがあり、主にアクセルに対するレスポンスと踏み込んだ時の速度の伸びが変化する。Ecoモードでも一般道なら非力に感じることもないし、航続距離が伸びるから、基本的にEcoモードでも良い。まぁ、信号待ちからの始動では結構アクセルを踏まないとモータが動いてくれないので、その1点だけは気になる。Sportモードにすると(レスポンスはNormalモードで十分速いので大きな差はないが)速度の伸びが良くなる。BEVならではの加速を(高速の合流や追い越しで)味わいたいならSportモードで良いだろう。
電動車の運転感覚で一番気になってくるものの一つが回生ブレーキだ。Konaの回生ブレーキはステアリングのパドルを使って0〜4段階で切り替えることができる。Lv.0ではややエンジンブレーキが強めの普通のクルマと同じで、あまりモータによるブレーキを感じない。Lv.1の回生ブレーキは結構自然なフィーリングで、Toyota製ハイブリッドカーのBモードくらいになる。Lv.4にすると所謂"ワンペダルドライブ"ができる。
このクルマに感動したポイントの1つがこのワンペダルドライブだ。Konaの場合は、かなりジェントルに減速してくれる。例えばVolvoのワンペダルドライブはかなりキツくブレーキがかかるし、Nissanもかかり始めが強い。そのため普通のクルマのように使おうとすると、アクセルを抜いた途端ほぼ急ブレーキのようになってしまう。ところがKonaはガソリン車に乗っているクセでアクセルペタルを一気に抜いてしまっても急ブレーキにはならない。
回生ブレーキの強さを弱くするパドルを長押しすると、回生ブレーキの強さがAutoモードになる。実際に色々な強さを試してみたところ、このAutoモードがベストだという結論になった。Autoにすると、前方のクルマとの車間距離や速度、道路の傾斜などに合わせてクルマが回生ブレーキの強さを調節してくれる。非常に賢いシステムだ。基本的にはLv.1弱くらいなので、かなり自然な感じ。そして、ブレーキペダルを踏んで減速度合いが強くなると、徐々にLv.3に近づいていく。しかも、段階的ではなくて連続的に強くなるので、違和感が全くない。そして、Autoモードだと普通のクルマのようにクリープしてくれるから、自然な挙動で本当に便利だ。全ての回生ブレーキを使うメーカーはHyundaiのAutoモードを見習ってほしい。
前述のドライビングモード切り替えでは、回生ブレーキのAutoモードの制御も若干変化する。Ecoモードでは全体的に回生ブレーキが強くなる。とはいえ、ほんの僅かな変化なので本来の自然なフィーリングにほぼ影響はない。そして、手動での回生ブレーキの調整はドライビングモード切り替えに依存しないので、例えばNissanのe-powerのように「Ecoモードなら強制的にワンペダルドライブ、Sモードも強制的にワンペダルドライブ」みたいなことにはならない点が素晴らしい。
視界は概ね良好。フラットなダッシュボードで広々としている。しかし、斜め前の視認性はサイドミラーとAピラー隙間がほとんど見通せないのであまり良くない。斜め後ろはCピラーとDピラーの間の小窓のおかげで迫り上がるような外観から受ける印象と異なり、見通しは悪くない。リアガラスが広いので後方視界も十分だ。
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最小回転径は10.8m。Nissan KicksやHonda Vesel、VW T-Crossといったライバルは概ね10〜10.6m程度であるから、ちょっと大きい数字となってしまっている。まぁ、Bセグにしては大柄でほぼCセグに片足突っ込んでるサイズなので仕方ないし、基本的にはSafetyの項目で後述する優秀なカメラのおかげで運転しにくいクルマではないが、切り返しや狭い駐車場で「あと少しだけ小回りが利いたらな……」という感覚はあった。狭い路地を日常的に走るならそろそろ我が国にも上陸するHyundai Insterが良さそうだ。
Efficiency
一充電走行距離(WLTCモード):541 km(336mi)
一充電走行距離(実測値):511 km(317mi)
電力消費率(WLTCモード):7.31 km/kWh(4.54 mi/kWh)
電力消費率(実測値):6.90 km/kWh(4.29 mi/kWh)
電力消費について実測値は理論値の94.5%だった。基本的にNormalモードを使っていて、全行程の約4割の高速道路ではSportモードを使っていたり、シートヒータもエアコンも使っていたりと、電力消費率を全く考慮しないで普通に使っていたが、それでこの数字はかなり優秀だと思う。確かに、一般道を走行しているときにドライバーズディスプレイに表示されている航続可能距離の減り具合を見ると、実際に走ってきた距離の半分くらいしか減ってないということもあった。ちなみに、今回満充電の時点での航続可能距離表示は477 kmだった(前に乗った人の走り方の影響だろうか)。
充電ポートは車体の前面にある。Nissan LeafやHonda eなど、同様の位置に充電ポートを配置している電気自動車があるが、本当になぜこんなところに配置したのかわからない。クルマを運転したら車体前面に虫の死骸や埃が付着することなんて小学生でもわかる。ここに手を触れろと言うのか。また、車体前面は特に衝突による破損のリスクがある場所。充電しないと1.8tの文鎮になるクルマの"急所"をそんなところに設けるのはおかしい。素直に内燃機関モデルの給油口を流用してリアフェンダーにポートを設けるべきだ。
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このクルマにはV2L(Vehicle to Load)機能がある。車内は後席にAC100Vポートがあり、そして専用のアダプタをクルマの充電ポートに接続して車外にも電力供給ができる。車外への出力はキャンプに頻繁に行く人くらいしか使わないと思うが、室内のAC100Vポートは仕事用のPCを充電するのにちょうど良い。今回私は待ち合わせの待機時間にこのAC100Vポートを使って後席で仕事をしていた。
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Safety
このクルマには衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、ブラインドスポットモニタリング、さらにはパーキングアシストも全グレード標準装備される。ACCはナビゲーションシステムに連動しており、例えばコーナーの手前で減速するといったこともしてくれる。また、上位グレードのLoungeとLounge Two-toneに限り、ACCの車線変更アシストや衝突被害軽減ブレーキにステアリングによる回避動作も加わる。
このクルマのACCはかなり優秀なシステムで、自我もSubaruのEyesight X並みに強い。自我が強いというのは、ACCをonにするとステアリングが硬くなり、ちょっとした力では動かせないようになることで、「俺がちゃんと真ん中走ってるんだから余計なことするな」と言わんばかりのシステムのことを私がそう呼んでいる。まぁ、コース採りはすごく綺麗で、ナビゲーション連動の加減速と相まってEyesight X並み(つまりクラストップレベル)の安心感がある。
しかし、Eyesight Xはステアリングを握る力を弱めても大丈夫なようになっている(流石に手を離すと5秒後に怒る)一方、こいつはちょっとでも握る力が弱くなると怒ってくる。というか、普通に軽めに握っていても怒られる。本当にこの警告が厄介で仕方がない。だから、怒られる度にちょっとシステムのステアリング操作に"反抗"して私の存在感をアピールするのだが(ちょっとの"反抗"ではステアリングはびくともしない)、なんか本末転倒な気がしてならない。
MazdaやToyotaのように、ドライバー主体でそれをアシストするに留めるか、Eyesight Xのようにゴリゴリにサポート(というか主導)する代わりに自信を持ってほしい。
さて、このクルマには全グレードサラウンドビューモニターが備わる。当然、車両前後左右のみの表示もできるわけだが、それだけじゃない。クルマの全ての方向を好きな角度から見られるようになっているのだ。システムの処理速度もいい感じなので、指でぐりんぐりんと角度を調整できる。便利だし、楽しい。今のBMWやAudiなど最新の高級車で装備されているシステムだが、Hyundaiはこのようなクラスのクルマにも装備しているというのだ。すごい。しかも、どのカメラからの出力も比較的解像度が高く、見やすい。
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但し、表示されるクルマの3Dモデルの色はアトラスホワイトで固定されていて、実際の色(このクルマはネオテリックイエローとアビスブラックパールのTwo-tone)までは再現されていない。
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このクルマの優秀なカメラシステムはもう一つある。それは(HyundaiとKiaではお馴染みの)方向指示器連動のブラインドスポットカメラだ。例えば、右折する時に右の方向指示器をつけると、ドライバーズディスプレイの右側の計器が右斜め後ろのカメラ映像になる。ちょうどサイドミラーや直接の視認では死角になりやすい場所が映し出されるため、安全な右折をサポートしてくれる。(左折も同じように左の計器が左斜め後ろのカメラになる)
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住宅街の路地や人通りの激しい道路、狭い農道、特に最近はLu○pとかいう"社会の凶器", "道交法違反教本", "馬鹿搭載単車爆弾", "交通違反かんたんスターターキット"が駆け回る都心部で本当に重宝した。全てのメーカーに(HyundaiとKiaを見習って)装備してもらいたい機能だ。
Interior and Practicality
Front
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モダンで明るいインテリアは、先進性だけでなく親しみやすさも感じられる良いデザインだと思う。ダッシュボードやドアパネル上部は硬い樹脂であるなど、素材自体は必ずしも高級感のあるものではない。しかし、ダッシュボードのテクスチャがいい感じの見た目で、ボタンやダイヤルなど手の触れる箇所の質感は良いし、安易にピアノブラック塗装を多用しないのも良い。また、メタル調のシルバーのパネルの金属感もお気に入りポイントだ。
ドアの上部は硬い樹脂なので、長距離運転でアームレストのように使うと肘が痛い。アームレストは柔らかい合成皮革でできている。ドアポケットは最低限の大きさで、1Lのペットボトルが余裕で入るのは良いが、それ以上は(細身のボトルでも)入らない。ただし、大きめのグローブボックスや助手席前方の収納、後述するセンターコンソールなど、室内の収納は総合するとかなり優秀だと思う。
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最も目を引くのは、少し前のMercedesや今のBMWのようにインフォテインメントシステムのセンターディスプレイとドライバーズディスプレイが繋がった配置になっていること。センターディスプレイの下にはインフォテインメントシステムのショートカットキーが並び、その下にエアコン操作パネルが配置される。これらは全て物理スイッチであるから、TeslaやVolvoのような全てをタッチパネルに突っ込んでしまうどうしようもないメーカーと違い、どんな状況でも操作しやすい。
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フロントシート用の電力供給の類は、USB Type-Cポートが2つ、12Vソケットが1つあり、一番下のグレードであるCasualを除きワイヤレス充電器も装備される。
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充電ポート類の手前には、ヒーター関連やパーキング関連のボタンとドライビングモード切り替えダイヤルが備わる。フロントシートのヒーターとベンチレーションは全グレード標準装備というのは驚きだ。特にベンチレーションは高級車でもメーカーオプション扱いなのに。
ただし、これらのボタンは運転中の姿勢からはやや遠い位置にあるので、例えば運転中にドライビングモードを切り替えたい時は、腕を結構伸ばす必要があり、もう少しダイヤルが手前にあったら良いなと感じた。物理インタフェースを採用してる時点で高評価だが、これらのボタンをセンターアームレストに腕を起きながら操作できる位置に配置してくれたら満点だった。
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センターコンソールのカップホルダーはボタンを押すと展開するタイプで、カップホルダーとして使わないときは大きな収納として使える。特に、センターアームレストの下は1Lペットボトルが入るくらい深い収納になっているので、それとの仕切りを取り外すとちょっとしたハンドバッグも置けるくらいの大きさの収納になる。
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センターアームレストは前後にスライドできないタイプだが、建て付けも大きさも問題ない。また、アームレストを開くと財布程度が入る小物入れがある。
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シートは前述の通り全グレードヒーターもベンチレーションも備わっている豪華仕様で、運転席も助手席も全グレードパワーシートとなる。ランバーサポートはLoungeとLounge Two-toneのみの装備だが、このクラスのクルマとしては十分すぎるくらいだ。さらに、高価格帯のクルマにありがちな機能である(乗降しやすくするために)クルマの電源を切ってドアを開けるとシートが下がる機能もある。当然シートポジションのメモリ機能もある。ただし、シートの座り心地はイマイチ。座面がほぼフラットで硬いから、長距離の運転はかなり疲れる。短距離の運転では特に苦にならないから、ぜひ買う前に一度長距離の試乗をしてみてほしい。座布団がほしかった。
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ステアリングの中央には最新のHyundaiのクルマで使われる「・・・・」が刻印されている。どうやらこれはモールス信号の「H」を表しているらしい。ステアリングスイッチは全て物理ボタン。最近はここさえもタッチパネルにするメーカーが増えてきている中で、現代的な方向性のデザインでありながらしっかり物理ボタンを採用して使いやすさを優先する姿勢が良い。
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さて、このクルマのシフトノブについてだが、フロアシフトでもないし、ほとんどの人が想像するコラムシフトとも若干違う。このクルマのシフトノブ(?)はステアリングコラムの右斜め下に生えている。この太めの棒状のインタフェースは、先端が半回転するようになっていて、奥に回すとDレンジに、手前に回すとRレンジに、先端のボタンを押すとPレンジに入る。BMW i3やVW ID.3のオーナーなら慣れているかもしれないが、初めてだとかなり困惑するし、普段フロアシフトのクルマに乗っている私はついついセンター方向に手が伸びてしまった。一般的なコラムシフトなら視認性が高いが、Hyundaiのこれはちょっとでもステアリングに角度がついているとステアリングのスポークと重なってしまい、ドライバーの目線から隠れてしまう。慣れれば良いのかもしれないが、なぜこんな隠れたところにシフターを配置するのだろうか……
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サンバイザーにはバニティミラーが装備され、左右席両方ともミラー用の照明が付いている。このクラスの大衆車では半分くらいの確率で照明がないので悪くないが、ミラーの開閉に伴って点灯/消灯するタイプではなく、わざわざスイッチを押す必要があるタイプ。但し、サンバイザーを閉じるとスイッチが押されて消灯するようになっている。賢い。
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私がわざわざ天井の建て付けについて言及することはほとんどないのだが、このクルマは天井の内張に若干の弛み(?)を感じた。2.1万kmしか走ってない個体なので決して経年劣化というわけではないから、元々こういう柔らかい天井なのだろうか。
これは後席も前席も共通のことなのだが、このクルマはサイドシルがドアパネルで覆われていない。SUVなど最低地上高の高いクルマでは、サイドシルをドアパネルで覆って泥や汚れが付着しないようにするのがお約束だ。これでは乗り降りする際にズボンのふくらはぎの部分がサイドシルに触れて、泥や雨水で汚れてしまう。
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Rear
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後席居住空間の余裕はこのクルマの特徴の一つだ。身長176cmの私が自分のシートポジションの後ろに座った状態で、頭上も膝回りは拳1個半〜2個の余裕がある。かなりゆとりのある室内だ。
床下にバッテリーが格納されたBEVなので、床面から後席座面までの高さが低く、座面と膝裏の間に空間ができる(この空間があると長距離の乗車で疲れやすくなってしまう)が、前席下の空間に余裕があり足先を突っ込むことはできるから、脚を伸ばせば特段気になることもないだろう。
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BEVなのでプロペラシャフトやトランスミッションを通すセンタートンネルがないということもあり、足元の床面の広さは特に優秀だ。同じように後席空間の広さが長所のT-Crossと比較しても、フラットで広々とした床面は故にKonaのほうが居住性が良いし、センタートンネルがないことで左右の移動もしやすい。特にファミリーカーとして使うなら、このクルマの良さが光るはずだ。
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中央席は若干バックレスト(センターアームレスト)が盛り上がっているが、頭上空間は拳1個ないくらいの余裕があり、足元空間は十分確保されている。そのため、このサイズのSUVとしては最も後席に大人3人が乗りやすいクルマと言える。
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後席向けの機能も充実している。センターコンソールの後方(リア中央席前)にはAC100Vのポートが1つとUSB Type-Cポートが2つあり、充電には困らない。また、後席用のエアコン送風口も全グレード標準装備であるから、快適だ。(このクラスだと後席用送風口がないモデルも少なくない)
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さらに、上位グレードのLoungeとLounge Two-toneにはリアシートヒータも装備される。このクラスのクルマとしては至れり尽くせりの装備内容だ。
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センターアームレストはカップホルダが2つある。1Lのペットボトルは入らないが、深さは十分なので加速した際に倒れるとか、そういったことはない。十分だ。
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ドアの開口部はT-Crossほど高さはないものの、幅が広くて乗降性はかなり良い。また、ドアの開口角度も大きく取られているので、大きな荷物やチャイルドシートの積み下ろしもしやすいはずだ。
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ISOFIXアンカーポイントは後席2箇所に設置されている。特に蓋も溝もないタイプなので横方向の位置決めがしにくいが、このクルマはネオテリックイエローのボディカラーのおかげで場所が分かりやすかった。
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後席ドアを見ていくと、素材はフロントと同じだが、ドアポケットがかなり小さく、1Lのペットボトルは入らない。窓も一番下まで下がり切るので、ドアポケット以外に関しては文句なしだ。
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したがって、このクルマの後席空間は、頭上空間や足元空間も余裕があり、さらに機能性、乗降性など全ての要素で優秀で、このクラスの大衆車のSUVとしてはこれ以上何を望むのだというくらいのレベルの仕上がりだ。
Boot
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荷室は466Lで、このクラスとしては最大級の大きさとなる。日本に輸入されていないKia Niro EVは475Lと若干大きいが、我が国で購入可能な大抵のライバルより広い。例えば、Volvo EX30が318L、Mazda MX-30が350L、Toyota bZ4Xが452L、Peugeot e-2008が435Lで、一回りも二回りも車格が上のNissan AriyaがKonaと同じ466Lとなる。(ただしAriyaにはFrootがないのでKonaの勝利)
タイヤハウスの張り出しも小さいので大きな荷物の積載もしやすいし、この大きな荷室を最大限活用できる。
荷室の入り口は段差がなく、荷室床面の地上からの高さがSUVにしては低めなので、重い荷物や大きな荷物の積み下ろしがかなり楽だ。加えて、バンパーがかなり薄いため、車体を傷つけることもないだろう。
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後席は60:40分割可倒式で、倒すと更に広大な荷室空間が広がる。当然、荷室の入り口から後席背面までフルフラットになる。
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全グレードでアジャスタブルブートフロアが装備されるから、背の高い荷物を積載したい場合は床面を低くすればいい。
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床下収納はかなり大きく、(特に内燃機関モデルとプラットフォームを共有する)電動車は大抵床下にバッテリーが配置されるから、床下はほとんど無いに等しいものだと思っていたからかなり意外だ。深さもT-CrossやWR-Vのような普通の内燃機関SUV以上にある。まぁ、残念なことにトノカバーは収納できないが、正直なところほとんど荷室に不満がない。
贅沢なことに、電動テールゲートが全グレード標準装備となる。さらに、インフォテインメントシステムから設定すれば、キーを持って近づくと自動で開くようにもできる。
後席を倒して戻した際にシートベルトが巻き込まれないようにするための設計もしっかりしている。細かいところまでちゃんと考えられていて好印象だ。
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"Froot"
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ボンネットを開けると27Lの荷室(FrontのBootなので"Froot")がある。大きくはないが、充電ケーブルやV2LアダプタなどBEVならではの装備を仕舞っておくのにちょうど良い。或いは、クルマに常に置いておくものをここに入れるのも良いだろう。例えば、私の母親は仕事用の靴をクルマに置きっぱなしにする人なので、荷室(Boot)を使うときに靴があると意外と邪魔になる。そんな人にはFrootが便利ではないだろうか。
ボンネットは棒で支えるタイプではなくガスストラットが装備されるので、扱いやすいようになっている。
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Infotainment System
このクルマのインフォテインメントシステムは全てのグレードでセンターディスプレイとドライバーズディスプレイが一体化した配置になっていて、最近のBMW iDriveやちょっと前のMercedes MBUXのような感じだ。画面の解像度は十分で、UIもモダンでわかりやすく、洗練されているが、唯一マップは結構ラグが大きく、カクつく。他の機能やメニュー、さらにはApple CarPlayとAndroid Autoはスムーズに動いたので、単純にマップが重いのだろうか。このクルマのマップには前方カメラ映像と組み合わせてセンターディスプレイに表示するAR機能があったり、HUDでのナビゲーションもあったりするので、マップ機能を使いたかったが、どうしてもマップが重いので一通り機能を試した後はApple CarPlayを使っていた。
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なお、Apple CarPlayもAndroid Autoも有線接続する必要がある。まだこれらを採用していないクルマもあるので悪くはないが、せっかくモダンな印象のクルマなのだから、無線対応して欲しかった。
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他にも、上位グレードのLoungeとLounge Two-toneにはビルトインドライブレコーダーが標準装備される。このドラレコで記録された動画はセンターディスプレイで確認できる。まあ、もしもの時に役に立つくらいなので特段面白い機能ではないが、その場で確認しやすいのはもしもの時に少しでも苦労が軽減できるはずだ。
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当然、BEVなので航続可能距離やどこの充電ポートが一番近いかの表示もできる。また、エアコンをoffにしたらどのくらい航続可能距離が変化するかを表示してくれる。
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このインフォテインメントシステムには、ユーザボタンという星マークのボタンがステアリングスイッチとセンターディスプレイ下のショートカットキーにそれぞれ存在する。このボタンはユーザが任意の機能を割り当てられるので、地図表示や経路取り消し、ハンズフリー通話、安全装備設定画面など好きな機能を設定できる。結構便利だ。さらに、ショートカットキーの列には音量を担うダイヤルが左側に、選局や地図縮尺を担うダイヤルが右側に存在するが、これを左右で入れ替えることもできる。運転手としてどちらが手前にあったほうが嬉しいか、好きな方を決められるのだ。
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また、オーディオソースの切り替えのためのMODEボタンもカスタマイズできる。普段ラジオを聴かない人ならBluetoothやUSBだけを選択すれば良いし、ラジオだけを聴く人はFMとAMだけを選べば良い。そして、選択肢に「自然の音」というのもある。これを選ぶと、「清やかな森」「さざ波」「夜明けの街」「宇宙」といったタイトルのいい感じのBGMが流れる。特に音楽を聴きたいわけでもないし、ラジオを聴きたいわけでもないが、何かBGMとして流れていて欲しいときというのは意外とあるのではないだろうか(私は結構ある)。そんな時に使えるので、私は大層気に入った。
上位グレードのLoungeとLounge Two-toneには8スピーカBOZEプレミアムサウンドシステムが装備される。シートヒータをonにして、パワーシートをリクライニングして、このBOZEのスピーカーで「自然の音」を流せば、なかなか快適な空間になる。
このクルマのドライバーズディスプレイは高精細で視認性が良いものだが、残念ながらマップをドライバーズディスプレイに表示することはできない。故に、表示できる内容は安全装備及びACCの作動状況や、航続可能距離、その他運転関連の情報の表示くらいしかできない。折角いい感じのディスプレイなのだからナビゲーションの表示くらいしてくれてもいいのに……
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上位グレードのLoungeとLounge Two-toneにはヘッドアップディスプレイが標準装備される。速度表示やACCの設定速度、ナビゲーション表示、さらにはオービスが近いと警告してくれる機能もある。走行すべき車線の表示も含めたナビゲーションの表示は東京や名古屋のような複雑な道で助かる。オービスの警告は現在位置からオービスまでの距離を表示し続けてくれる上にオービスまでの距離が近くなると制限速度の警告が強調される。かなり賢いHUDだ。
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Is the Hyundai Kona Electric a good car?
Konaは現在我が国で市販されているBEVの中で最もポテンシャルの高いクルマだと思う。実測値でも500kmを超える(この価格帯のBEVとしては)優秀な航続可能距離、広々とした室内と荷室、充実しすぎているくらいの機能、快適な乗り心地。どの要素を取っても実用車として極めて高いレベルで仕上がっており、内外装のデザイン性も高い。
とはいえ、ステアリングレスポンスは良くないし、コーナーでの安定感は平凡で、決して運転が楽しいクルマではない。しかし、このような電動コンパクトSUVが目指すべき方向性は"便利な移動空間"であるから、運転感覚が平凡であることは問題ない。楽しさは二の次でいい。(まぁ、特別遊びが大きすぎるとかコーナーでの安定感が無さすぎる訳でもない平凡な感じなので本当に問題ない)
BEVであるから純内燃機関のクルマと比較すると割高に感じられるが、110万円の補助金(国の65万円+東京都の45万円)を含めて考えるとエントリーモデル(Casual)の価格は399万円から289万円になる。篦棒に割高なクルマではないし、装備内容を考えると現実的……いや、寧ろお買い得な価格ではないだろうか。例えば、東京都であれば同じサイズ感のシリーズ方式ハイブリッドNissan Kicksや純内燃VW T-Crossよりも安価になる。そう考えると、BEV以外のパワートレインのライバルと比較しても、十分選択肢になり得る存在であると言えよう。
BEVを探しているかどうかに関わらず快適で便利なコンパクトSUVを探しているなら、是非とも乗ってその実力を確かめてみてほしい一台だ。
Pros
・室内空間も荷室も広大で快適
・装備がかなり充実している
・乗り心地が良い
・購入費用を考えるとガソリン車とも真っ向勝負できる価格になる
Cons
・運転が楽しいクルマではない
・アダプティブクルーズコントロールの警告が煩わしい
・シートが硬くて座り心地がイマイチなので長距離の運転は疲れる
・我が国の道路事情を考えるとやや幅広