
自然と笑みが溢れる"Jinba Ittai"の運転体験 Mazda Roadster 試乗記録 #5
今回はMazda ND Roadster(MX-5 / MX-5 Miata)に乗ってきた。私はMazdaが全世界で掲げる"Jinba Ittai"(人馬一体)の思想によるドライバー中心の設計、思い通りに操縦できる愉しさが大変好みであった。さらに、魂動デザインの採用や、余白に美を見出し光や風景も合わせてクルマを芸術とする"引き算の美学"に基づいた美しい内外装デザインも魅力的だ。そして、このクルマはそれらの素晴らしいクルマ作りの方向性の最たる例と言えるだろう。今回はせっかくなので東京から群馬へ向かい、下道で碓氷峠を越えて軽井沢にドライブに向かったので、体感した魅力と書き綴っていく。そして最後には、Roadsterを検討する際にもう一つの選択肢になり得るGR86との比較を書いていく。
Information
Mazda Roadster (MX-5 / MX-5 Miata)
年式:2022年式
グレード:S
パワートレイン:1.5L 直列4気筒 自然吸気
トランスミッション:6速AT
駆動方式:FR
最高出力: 130馬力(7000rpm)
最大トルク: 152Nm(4500rpm)
車両重量:1.05t
Driving
このクルマを丸一日運転して感じたのは、運転すればするほどクルマが自分の身体に馴染んでいくという感覚だ。帰宅する頃には最早自分自身の一部なのではないかというくらい、まさに人馬一体という感じだ。

搭載するのは1.5Lの直列4気筒自然吸気エンジンで、最高出力130hp、最大トルク152Nmを発揮する。トランスミッションは6速ATか6速MT。一部市場ではソフトトップモデルにも181hpの2.0Lエンジンの設定もあるが、本邦でそのエンジンはRFモデルでのみ選択可能となる。
このパワーユニットはパフォーマンス面では明らかに不足していて、普段使いの範囲内でもしっかり踏み込む場面が多くなるため、長距離の旅行のようなGT的用途を想定してしまうと、パワーに余裕がないと感じてしまう。ただ、このクルマはGTでも、ましてやサーキットで速く走るスポーツカーでもない。このクルマの非力さやアクセルの踏み込み量に対する挙動からわかるように、このクルマは"公道で"思う存分踏み込んでいっぱいエンジンを回して楽しむクルマだろう。パワーはなくても、スロットルレスポンスは素晴らしく、踏んだら踏んだ分忠実にエンジンが吹き上がり、エンジンを回せば回すほど適度な速度が出る。この操縦している感覚がたまらなく楽しい。寧ろこの非力さ故にパワーを公道で使い切ることができるのがこのクルマの長所ではないだろうか。

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