ハシの身辺雑記part3
で、おれはどうしたら良いんだ、と思った。物書きというなりたいものはあるが、それになれる能力がない。ならば、せめて、それなりに得意だったことを活かして仕事ができないか、と考えた。思えばそこからドツボにはまってゆくのだが。
結局、工場の正社員にはなれなかった。向いていないのなら、やめて別の仕事を探そうと思った。それはいかにも安直な考え方で、辞めると言ったとき、社長は、「こんな仕事もできないのなら、あとは土方になるしかない」と言った。土方の何が悪いのか、とは思ったが、まあとにかく色々言われて辞めることができた。それでいて社長はぼくがカルチャースクールに通っていることを知っていて、「お前、小説続けろよ、続ければどんなことでもいつかものになる」とも言っていた。まあ、そうかも知れないな、とぼくは思った。
そこで、ぼくは接客業につこうと考えた。記憶は曖昧だが、依然としてぼくはカルチャースクールに席を置いていたと思う。
スマホの求人広告を見て、ぼくはベルボーイに応募した、正確にはベルボーイ兼コンシェルジュだった。
面接を受けに行き、履歴書を見せ、大学を中退した理由を聞かれた。自分には軽度の発達障害があり、それが理由の1つとなり、学生生活に支障をきたして辞めたことと、ただそこからずっと働いているので、与えられた仕事はきちんとこなせるつもりでいる、みたいなことを言ったら受かった。