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外国人との接触が多い沿岸部と接触がほぼない内陸の両方に住んで感じたこと

(注:2021年に書いていた記事です)

Part1. 警戒心

「small town, small mind」
英語にこのような言葉があるそうです。同僚のアメリカ人が今私たちが暮らしている町の人々の悪い部分について言う時によく使います。

「小さな町に住む人間は器も小さい。(視野が狭い)」

「井の中の蛙」のような意味だと思います。

私たちは今、中国の内陸の、外国人のほとんどが名前も知らない場所、中国人でさえ「それどこだっけ?」と言うような小さな(中国サイズで言えば)町に暮らしています。

この町で日本人は私と娘だけ。外国人自体全体で10人もいません。地元民の多くは外国人に会ったこともないようです。

この時代にこんな場所があったのか、、、と住所:地球って感じで世界中を移動しながら暮らしてきた私は違う意味でカルチャーショックを受けました。

アメリカ人と一緒に道を歩けばみんなこちらを見る。子供が「ねえ、あれ外国人じゃない?うわ〜なんでこんなところに外国人がいるの!」と言う。

私は外見では外国人に見えないけれど、タクシーで会話をすると私の発音はここの地域の発音ではないので、大抵南方から来たと想像されて「どこの人?福建省でしょ。」などと言われる。「日本人だよ」と答えるとめちゃくちゃびっくりされる。

バックミラー越しに何度も何度も見て「見えないな〜。いやでも外国人載せたの初めてだよ!」とやや興奮される。降りる時に「外国からのお客さんを乗せられて光栄です。」と握手を求められたことさえもある( ̄∀ ̄)

銀行に行って「中国の身分証はないのでパスポートです」と差し出すと「なんで身分証がないの?」と不思議がられる。

「いや外国籍だから」
「誰が?」
「私が。」
「へ?・・・・・」

そして外国のパスポートを初めて見る銀行員たちは電話番号変更などの簡単な手続きでさえ3時間くらいかける(( _ _ ))..zzzZZ

そんな、国際化から取り残された内陸の町で、以上のような事件は愉快な一面です。

だけど当然このように外国人に対して免疫が全くない人々に囲まれていると愉快ではないこともたまにはあります。

まずは、外国人に対する警戒心が半端ないこと。

未開の地に異国の人間がやってきた時まるで異星人を見るような違う生物を見るような目で見る人がいます。

怖いから話しかけない。分からないから話しかけない。

いやそんな警戒しなくても噛み付かないですよ。

大学で日本語を教えている教師でさえ警戒心を感じました。
フレンドリーに話してくれるのは日本に留学経験のある人たちとそしてなぜか英語の教師たち。

留学経験があれば、日本を知っているから、日本人を知っているからまあ、まず最初に「怖い」などの警戒心から入ってきたりはしない。
人は知らないもの、分からないものが怖いのであるから。

英語の教師たちが日本語の教師たちよりフレンドリーなのはやはり「英語」を使う人々は初対面やよく知らない人に対してフレンドリーに話しかける文化なので、英語にハマってその文化も勉強し英語を教える仕事をしている人は性格的に初対面からフレンドリーでコミュ力の高い人が多い。

そのような理由だと私は分析しています。

反対に日本語にハマる中国人の多くはアニメや漫画オタクが多く、コミュ力低めな人が多い。

それもあって日本語の教師になったけど、日本に行ったことさえないという中国人教師たちは本物の日本人に対する免疫がなく話しかけることもできない、何を話していいか分からない、そんな人が結構いるということを知りました。
当然学生たちも。

それでも日本語を学んでいる、日本に興味がある彼らはまだ私からすれば近づきやすい。ネタなら私の方がたくさん持っています。

一番顕著なのは、幼稚園の親たちです。娘は現地の幼稚園に3歳半で入り現在5歳年長クラスです。

と言っても4歳のときほぼ1年日本にいたので、実質2021年11月時点で1年半ということになります。

反日の人も一定数いる中国。

抗日ドラマをよく見ている年配の人もいるし歴史教育では必ず抗日戦争のことを教えるようなので、2012年の反日デモの時も中国にいた私は誰もが日本人に好意的ではないことは覚悟していました。

そこが、娘のおばあちゃんの故郷である台湾との大きな違いです。

私の心配はもちろん娘のことでした。

見た目では分からないし、私は中国語を不便なく話すので最初の半年は紛れ込み作戦で行こうと思っていました。

目立たず、外国人だとバレないように。送迎時も園内では日本語を使わないようにして。だけどいつの間にか親も子も全員が私たち親子が日本人だと知っていました。

名前も知らない子どもがお迎え時に親に「あの子日本人なんだよ〜」などと話しています。幼稚園の先生がみんなに話しているのでした。

娘が通う幼稚園では外国籍の子どもを受け入れるのは2回目で1回目は中国生まれの欧米人の子供だったと言っていました。現時点で外国籍は私の娘だけ。

しかも初めての日本人で3歳まで日本にいた娘は中国語を話せない状態で入園しました。

そんな初めての経験に先生の方が興奮して悪気はなく、単に珍しいから、子供たちや親にわざわざ「うちのクラスは日本の子どもを迎えました!」と話していたらしいのです。

後に話すようになったママからそう聞きました。

まあ、それでなくても言葉ができないから子どもたちも不思議に思って先生もそう説明するしかないというのもあったかもしれません。

そうして、紛れ込み作戦は見事に失敗。

他のクラスにも、他の学年にも園全体で半年もしないうちに私たちは勝手に有名人になっていました。なのに、興味を持って話しかけてくる親はいませんでした。

「あの子日本人なんだよ〜」「へえ〜、そうなの」

そんな会話が横から聞こえてきても私に直接話しかけてくる人がいない気持ち悪さ。

これはそれまで暮らした台湾や広州では感じたことのない空気でした。

みんな私たちのことを知ってるのに直接話しかけてこない。

台湾では日本人だと知ったら逆にあっという間に囲まれて質問責め、接待責めになるくらいだったので、最初はこの内陸の人々の態度が理解できなくてただ寂しいなあ、と思っていました。

そんなことを中国滞在歴の長い先輩日本人に相談したら「それは警戒してるんだよ」と言われて、私は初めて彼らから出ている変な空気が「警戒心」なんだと理解しました。

以前暮らしていた台湾やマレーシアといった南方の移民の多い地域では微塵も感じたことのないものなので、すんなり理解ができなかったのです。


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