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【LA火災】持ち物を一度に全て失って気づく本当に大切なもの

LAの高級住宅地で起きた大規模火災、本当に信じられない惨状ですね。

ハリウッドスターや世界でも有名なセレブたちの数億円、数十億円の豪邸と中にあったであろう高価なものたちが一瞬で全て灰になるという虚しさ。

人が所有している物質なんて、所詮いつでも一瞬で失われる可能性のあるもの。

地震や洪水津波、火災の被害を見たときにいつも思います。

数十年コツコツ積み上げてきた財産、各地で買い集めてきたもの、家族の思い出のものや写真、あれこれ相談しながら理想を描いて建てたマイホーム…

同じ場所に長年暮らしているほど、それを一度に失った時のショックは大きいでしょう。

私は幸い自然災害には遭ったことがありませんが、持ち物の9割を失った経験が2度あります。

1度目は、産後夫婦仲が最悪になった時期、私が日本の実家にいる間に夫が1人で海外の自宅に戻り、その家を引き払うことにしたときに私の持ち物を9割捨ててしまいました。

当時、夫は精神的に正常ではありませんでした。

結婚してから世界の各地で買い集めたお土産品も、お気に入りの洋服も、子どものものも、ほとんど失いました。

でもその時は、持ち物を失ったことより、たった1人、外国で私や子供の持ち物を捨てている夫の心を思うと、胸が痛くて辛かったのです。

それから約1年後、私は夫を失いました。

愛する人を失った悲しみと絶望は、持ち物の大半を失った時とは比べ物にならないほど、深く大きなものでした。

その痛みは、7年経った今、当初より和らいではいるものの、ずっと胸に刺さったままです。

2度目は中国から出る時です。

辞職してから出国期限までがとても短かったのと、いろいろあって精神的に疲労困憊だったので、荷物を整理する余裕がありませんでした。

次の行き先が決まっていなかったので、送るところがありませんでした。実家に送るのは、嫌でした。

親はきっと心配して私以上に悲痛な顔と声で尋問してくるのがわかっていたので。

だから必要最低限のものだけ持って出ました。スーツケース大2個と中1個、小2個で、5年暮らした家を出ました。

娘がサンタさんにもらった私と同じくらいの背丈の巨大なクマのぬいぐるみや、室内用鉄棒、トランポリンなどの大きなものは持って出ることができず、中国の子持ちの友人たちに引き取ってもらうことにしました。

小さな娘が工作した粘土作品なども、写真を撮って処分しました。
洋服は、7割手放しました。

調理器具などは、知人の中国人が家に来てごっそり持っていきました。

厳選したお気に入りの洋服と、仕事に必要な本と娘のお気に入りの絵本数冊、大切な書類やお気に入りの雑貨少し、頭が混乱していたので、本当は必要なのに入れるのを忘れたものもあるような気がします。

実際、家族アルバムをごっそり忘れていて、後で同僚に送ってもらったほど、頭が回っていませんでした。

でも、物を大半手放しても、私の胸は痛くありません。
私も娘も、元気だからです。

娘が元気でそばにいる。私は仕事と育児を両立できる丈夫な体と健全な精神を保っている。

物なんて、また買えるのです。最悪クラウドに保存していないプリントした写真をなくしたって、思い出は胸の中にしっかりあります。

愛する人さえ、無事であれば。

必ずやり直せる。

災害で家や持ち物全てを一瞬で失った人が、よくインタビューで答えています。

「家族が無事だったのが、何よりです。」

本当にそうです。

人の命だけは、また手に入れることができない。
その人がいなくなった悲しみと絶望は、生きている人の胸に一生刺さり続けます。

加えて、生き残った人の胸には罪悪感が重くのしかかります。

それに比べれば、持ち物や家なんて。

全部なくしたとしても、私は娘がいる限りまた立ち上がれます。
立ち上がるしかない。

大きな家や美しい装飾品より、ただ着の身着のままでも、愛する人と共にあること。子どもの命の輝きを守ること。

それ以上に大切なものなどこの世にないと、今の私には断言できます。

注:個人の経験による感想です。




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異国暮らしのリリィ
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