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本、整然と四角く。

つくづく紙の本の四角いフォルムが好きだ。
物語、自己啓発、医学の知識。
ゴシップ、神のおしえ、豚汁の作り方。
こんなにも性質の異なる内容が、言葉に落とし込まれ、文字という形をとり、文章になってページの上に整列するところまでは、とりあえず了承する。その制約の中で自己主張をしている。挑戦的にまくしたてる者あれば、滔々と語る者あり。

それぞれの個性を内に秘めつつも、外見だけは直方体で揃えて、整然と本棚に並んでいる。手に取って開くまでは、あくまで真面目ぶっている。
似たような背格好で並んでいるくせに、あなたはお堅い名言集で隣のあなたは不倫の恋物語かい。著者名がアイウエオ順で並んでいる本棚では、こういうことがままあって、つい笑ってしまう。

そう、似た姿だからこそ違いが際立つ。

同じ制服を着ているからこそ、着こなしにその人の個性が色濃く見えるように。


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