
方法論としての美
オーラル・ヒストリーのインタビューにおいて、どのように質問をすれば生きいきとした記憶を呼び覚ますことができるだろうか。その方法論の一つとして授業の中で扱ったのが、美しさに着目することだ。
「家族とのメッセージのやり取りは、季節ごとの花の写真」
「子どもが幼かった頃の記憶は、優しいオートミールの香りに包まれている」
「母親が私の成長に合わせて毎年オーダーメイドしてくれたドレスの数々」
クリスティーナ・シャープ(Christina Sharpe)に感化されたクラスメイトたちが発表した美の思い出。美しいと思う感性もまた記憶と密接に結びついているのだ。
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クリスティーナ・シャープの視座
クリスティーナ・シャープが提唱する「方法論としての美」について触れる前に、まずは彼女のアメリカ文学および黒人研究における功績を記したい。彼女は、アメリカ社会で黒人が置かれた状況を Wake Work という概念を使って表現し、注目を集めた。
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