私がデパコスを買う理由

デパコスを買うのが好きだ。

クレ・ド・ポー、Dior、シャネル、THREE、コスメデコルテ、ランコム、エスティローダー……

ショップの間を通ると、気分があがる。VOCEなどの雑誌で見た新作が並んでいるのを眺め、アイシャドウの色で季節の移り変わりを感じる。

最近は化粧品のフォルムも凝ったものが多く、洗面所の棚に並べたら美しいのだろう、と、つい見とれる。

気になる商品があって、コスメカウンターの椅子に空きがある時は、BAさんに声をかける。椅子に座らせてもらい、気になっている商品を試させてもらう。時には、メイクを直してもらう。時間がある時は、肌やメイクアップの悩みを相談し、商品をおすすめしてもらう。

心が決まったら、商品を購入する。お金を払い、サンプルを数点つけてもらって、丁寧に送り出してもらう。


確かに、デパコスの中には、コスパが悪いものがあるのかもしれない。

ただ、デパコスを買う時の「体験」は、デパコスでしか味わえないものである。


なぜ私がデパコスを買うのか、自分なりに整理してみた。デパコスの方が、ドラッグストア等で買える化粧品に比べて質が良いかどうかは、人それぞれ感じ方が違うと思うので、理由に含めていない。


①サンプルをつけてもらえる

デパコスを買うと、サンプルが数点ついてくる。買おうか迷ったものだったり、新発売のものだったり、数種類、基礎化粧品中心にサンプルをつけてもらえる。

このサンプルが、旅行用にぴったりなのだ。

マスクや、普段よりも高いラインのサンプルを貰った時には、「明日会社に行きたくない」夜に使う。よいものを使って、明日の朝を乗り切る作戦だ。


②非日常感

コスメのデザイン、BAさんの丁寧な対応、色鮮やかなアイシャドウと口紅、明るい鏡。デパコス売り場には、非日常感がある。

人から丁寧にメイクアップしてもらい、自分にはない化粧の技術で綺麗な顔になる。いつもよりも顔が良くなると、気持ちがよい。BAさんがメイクしてくれると、魔法がかかったように、肌の色が白くなり、目もくっきりと大きくなる。なかなか家で再現ができないのだけれど、自分に自信を少し持てるようになる。

また、デパコスはブランド物を買うときの高揚感を生み出してくれる。しかも、Diorの鞄は10万以上するが、Diorの口紅は5000円未満で買えるのだ。手頃な値段でブランド物を買える。


③毎日を生き抜くための武器

デパコスを買うということが毎日仕事に行くモチベーションの1つになる。頑張ってお金を稼いで、かわいくなれる化粧品を買おう、クリスマスコフレを買おう、次の新作を買おう…欲望はモチベーションを生み出してくれる。

また、買ったものを、お化粧直しのタイミングで目にするときに、ふと幸せになる。慌ただしい1日の中で、ふと顔いろの悪さが気になって、こっそりとチークを塗りなおすとき、それがラデュレのチークだと、なんだかテンションがあがる。お金を稼いで、可愛いものを手に入れよう、と、前向きな気持ちになる。


ーーーデパコスは、魔法だ。そして、薬だ。

そう思いながら、春の新作をチェックするのだった。



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