【海外ドラマ】『ブリジャートン家』シーズン1が素晴らしい8の理由。
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Netflixドラマ『ブリジャートン家』シーズン3の配信が今週に迫っていて、ワクワクが止まらない、黒木りりあです。
日本時間5/16 16:00から最新シーズンが配信される『ブリジャートン家』。第1シーズンを見てからというもの、長らく私の「推しドラマ」として鎮座しております。
最新シーズンの配信を前に、本作の魅力について語りたい!と思い立ちまして、今日から順に過去シーズンを振り返りながら、新シーズンを迎えようではないか、と考えました。
ということで、今日は私の心を掴んだ『ブリジャートン家』シーズン1について語っていきたいと思います。お付き合いくださいませ。
『ブリジャートン家』とは?
『ブリジャートン家』("Bridgerton")は、2020年12月25日からNetflixで配信が開始した、ドラマシリーズです。配信開始から28日以内に8200万世帯が視聴したとされており、史上最も視聴されたNetflixオリジナルシリーズとなりました。ジュリア・クインによるベストセラー小説シリーズ「ブリジャートン」シリーズを原作としています。
作品の舞台は19世紀初頭のロンドンで、名門貴族ブリジャートン家の8人きょうだいが1作ごとにそれぞれ主人公となり物語が展開していきます。また、このシリーズは、各物語がロマンスの8つの王道の展開に沿っており、それがシリーズの魅力の一つにもなっています。
シーズン1の主人公は、ブリジャートン家の第4子で長女のダフネ・ブリジャートン。大家族で産まれた育った彼女は両親のような愛のある結婚を望み、良き母になることを夢見ています。
では、『ブリジャートン家』シーズン1はどのような点で多くの視聴者から支持されているのでしょうか?
個人的に感じた理由を8つ、挙げていきたいと思います。
1. 魅力的なヒロイン
本作の魅力の一つは、ヒロインであるダフネ・ブリジャートンと彼女を演じた女優のフィービー・ディネヴァーです。すぐ上に3人の兄弟がいるためお転婆な一面がある一方で、年下の弟妹が4人おり、長女ということもあって面倒見が良いダフネ。
そんな彼女の魅力を大いに引き出したのが、フィービーの確かな演技力です。SNSでは、彼女の「首の演技」に注目する人も多く、話題となりました。
本作で社交界デビューを果たしたばかりのダフネ。貴族の結婚市場において、自分の望む「愛のある結婚」を叶えるため、そして「良き母になる」という夢をかなえるために、時には捨て身に、そして時に打算的に奮闘する彼女の姿は、多くの人の心をつかみました。
2. 魅力的なヒーロー
そんなヒロイン・ダフネの相手役となるのが、レゲ=ジャン・ペイジ演じるヘイスティングス公爵のサイモン・バセットです。レゲは本作で大ブレイクを果たした俳優の一人です。
アンソニーの学生時代の友人であるサイモンは、幼少期から吃音に悩まされ、素直な感情が吐露できないというキャラクターです。自身の出産で母を亡くしたうえに吃音のせいで父親から冷たくあしらわれたことを恨み、公爵家を自分の代で終わらせようと考えています。
父親との確執に悩み、親友の妹に恋心を抱いてしまった葛藤を抱く姿が、多くの人のハートを盗みました。
3. カップルのケミストリー
ロマンス作品で一番の鍵となるのが、主人公カップルのケミストリー、つまりは化学反応です。本作は、そのケミストリーが非常に秀でていることで大きな支持を集めました。実際に、オーディションではケミストリーテストが行われており、それに合格した二人が主人公カップルを演じています。
本作で扱われているのは「偽カップル」("Fake Couple")というロマンスの王道のプロットです。好意がないのに好意があるふりをし、好意があるのに好意があるふりをする、そんな二人の恋の駆け引きが多くの人々の注目を引きました。
また、本作は過激な表現も話題の一つとなりました。センシティブなシーンの撮影時における専門家インティマシー・コーディネーターが本作では活躍しており、「性的同意」について考えるきっかけとなる作品作りも、話題を呼んでいます。
4. 群像劇としての完成度
『ブリジャートン家』シーズン1で特筆すべきなのは、群像劇としての完成度の高さと、その土台作りです。
原作小説は本編が全8巻で、ブリジャートン家の8きょうだいそれぞれが1冊ずつ主人公を務める構成になっています。基本的にはその主人公カップルについてのみ、物語が展開されていき、他のきょうだいやキャラクターは「脇役」あるいは「ゲスト」として登場する程度です。これは、ロマンス小説シリーズには少なくない手法になっています。
ロマンス小説として読む分には面白いのですが、主人公以外のキャラクターについては断片的にしか追うことができず、全体としてのつながりが薄く、断片的な物語展開である感が否めません。
ドラマ『ブリジャートン家』では、この全8巻の物語をドラマシリーズとして作り上げるために、きっちりと群像劇として機能するような改変がなされており、その土台作りがシーズン1でかなりなされています。例えば、後ろの巻で出てくるキャラクターが、不自然に登場しないようにシーズン1で少しだけ登場していたり、後ろの巻の展開が不自然にならないような設定が加えられていたりします。この工夫がまた、視聴者の注意を強く引き付けているように思います。
5. 19世紀ロンドン社交界の再現性
イギリス文学を専攻していた身としては、本作における19世紀ロンドン社交界の文化の再現性が非常に興味深かったです。
本作の核の一つとなっているのは、レディ・ホイッスルダウンと名乗るコラムニストが出版するゴシップ紙です。社交界で行われる様々なイベントに関連した、社交界の様々なうわさを実名で書いた新聞で、現代のSNSや掲示板、ゴシップブログを想起させる設定が話題となりました。
実は、これは19世紀前後のイングランドで実際に流行していた文化を設定しています。社交界は、私たちが想像している以上に狭い社会で、その噂話を匿名にしながらも誰だかわかるようにして書いたソーシャル・ペーパー、スキャンダラス・ペーパー、などと呼ばれるものが当時大流行しており、そこから派生したキー・ノベル、スキャンダル・ノベルと呼ばれるものも出版されていました。『ロビンソン・クルーソー』を執筆したダニエル・デフォーの作品などを読んでも、その風潮を確認することができます。その文化が『ブリジャートン家』では巧みに利用されており、個人的にはお気に入りのポイントです。
それ以外にも、ダンスカードや紳士淑女の振舞のルールなど、当時の文化を学んだ人間としては気になる点、息をのむスキャンダラスな展開が盛り込まれており、人々の関心を大いに集めたポイントになっていると思います。
6. カラーブラインド手法の導入
本作では、キャスティングに「カラーブラインド」と呼ばれる手法が使われたことも、話題となりました。これは、キャスティングの際に敢えて肌の色を考慮しない、という手法で、作品に人種的多様性をもたらす効果が期待できます。例えば、本作ではヘイスティングス公爵役に黒人俳優であるレゲが起用されています。時代背景を考えると、当時のイングランドで公爵の位に黒人がついていたことは考えづらく、原作でもサイモンは白人として描かれています。しかし、本作では敢えて肌の色以外の点でサイモン役に俳優の条件を満たしている、レゲが起用されました。
他にも、黒人やアジア系、ヒスパニック系など、様々な肌の色を持つ出演者が、キャラクターとしての素養や能力によって、本作では起用されています。この手法は本作でも力を発揮しており、多様性に欠けがちな時代劇というジャンルにおいて多様性をもたらし、新たな時代劇として様々な層の視聴者を獲得しました。
7. クラシックアレンジの人気ポップス
『ブリジャートン家』が配信されるなり話題となったトピックの一つに、BGMが挙げられます。特に多くの視聴者が驚いたのが、第1話の舞踏会のシーンで流れた音楽。クラシック楽団による素敵なストリングスの音楽なのに、どう聞いてもアメリカの人気歌姫アリアナ・グランデの大ヒット曲『thank u, next』にしか聞こえない、と多くの人がわが耳を疑いました。
『ブリジャートン家』では、作品の雰囲気に合わせてかクラシックアレンジされた人気ポップスが多数、使われています。シーズン1ではアリアナ以外にもテイラー・スウィフトやショーン・メンデス、マルーン5などといった人気歌手の楽曲が使われています。現代的な要素を取り込みつつも、時代劇であるという『ブリジャートン家』の特性を表現するのにふさわしい選曲に、多くの人がこの演出を絶賛しています。
8. 語り手の説得力
『ブリジャートン家』を語るのに欠かせないのが、素晴らしいナレーションです。イギリスを代表する名優のジュリー・アンドリュースが、ゴシップ紙の書き手であるレディ・ホイッスルダウンとして、本作のナレーションを務めています。原作でもレディ・ホイッスルダウンは主に章の冒頭などで登場するのですが、ドラマではそれ以上の役割を担っています。
レディ・ホイッスルダウンのウィットに富みつつもピリリとしまる言葉の数々が、ジュリー・アンドリュースの声で語られ、作品が何倍も引き締まります。この語り手の説得力なしには、本作を語ることはできません。まさに、本作の魅力の一つです。
ここまで、『ブリジャートン家』シーズン1の魅力について、自由気ままに語らせていただきました。他にも語りたいことはたくさんあるのですが、きりがないので今日はこのあたりで。
シーズン2以降の魅力についても、また改めて語っていきたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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