忘れる才能

「忘れる」というのは才能であるらしい。

私は、嫌なことはすぐに忘れてしまう。
姉に言わせると、それは才能なのだそうだ。

確かに、ずっと覚えてたら精神病みそうな経験もたくさんしてきた。

私は忘れることで精神の安定を保っているんだなあと思う。

でも、嫌なことだけでなく楽しいことも忘れてしまう。
そのせいで、昔はあまり旅行が好きではなかった。

だって、どうせすぐに忘れてしまうから。

でも最近は、その時楽しければいっか!と思えるようになった。

また、ブログという便利なツールのおかげで、思い出を写真と共に鮮やかに残しておくことができる。

ブログに記録しておけば、心置きなく忘れることができるのだ。
見返せばよいのだから。

しかし今日、ちょっと複雑な気持ちになる出来事があった。

夫と、私の大学時代の友人について話していた時のこと。

夫「指輪に名前つけてた子やろ?」
私「指輪に名前⁈」
夫「ミスティアイランドって」
私「ミスティアイランドって…なんか聞いたことある気がするけど…何?」
夫「霧島やん」
私「霧島⁈」
夫「相撲の。霧島好きやから、指輪にミスティアイランドって名前つけてたんやろ?」

ツッコミどころが満載すぎて頭が混乱した。

まず、指輪に名前⁈
霧島=misty island…なるほど。
相撲? あっ確かにあの子、相撲好きやった!
それから、名前ネタのギャグが多い子だったわ。

だんだん思い出してきたけど、そんなことあったかなあ…?という感じ。
でも確かに、ミスティアイランドってフレーズは頭の片隅に残ってる。

いやでも、私が覚えてないのになんでアンタが覚えてるの⁈

私「アンタようそんなん覚えてるなあ。すごいわ」
夫「逆に忘れられるのがすごいわ。だって、その話、りりいから聞いたんやで?」

ええー、そんなんすごいって言われても…全然うれしくないし…なんか複雑…。

これは「才能」じゃない気がするー。。。

〈了〉


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