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高校の英語の先生が伝説のロックシンガーだった

このボーカルの方に英語を教わった。

私の高校にはいい意味で変な先生がたくさんいた。中でも圧倒的に異色の経歴を持っていたのが英語の人見典明先生だ。
ボーカリストとしては人見元基さん。

その歌声は唯一無二とか圧巻とか最強とか、そういう修飾語を全部ぶっ飛ばすほどソウルフル。
しかしステージを降りて教壇に立っていた。定年退職して再び音楽の世界へ(今でも非常勤講師らしい)。
復帰後の歌声も昔の音源と変わらない。てか進化してる。音響が令和なのでさらにクリア。

世界のミステリー特集にでも入れてもらおう。

でも、英語教師になってくれてありがとうございます。
先生に教わっていなかったら、私はノー勉でそこそこ点数の取れる英語をそこそこで終わらせ、言語それ自体のおもしろさを知らずに覚えた言葉をそれらしく使い、平々凡々に終身雇用の会社員でもやるのが真っ当な生き方だと考えていただろう。知らんけど。

人見先生は、私が受験生の時に授業を受け持ってくれた。
授業の進め方で他の先生と大きく異なることはないが、解説がわかりやすかった。「そういうものだから」で済ませて丸暗記させるのではなく、言葉の成り立ち、派生語など、仕組みが理解できるような周辺情報も教えてくれた。

そして、しばしば例文としてワンフレーズ軽く歌ってくれた。それで教室全体にちゃんと届く。
覚えているのはカーペンターズのClose to You(dream come trueが名詞句)、ビートルズのLet It Be(これは何の例だっけ?)。あとはたぶん当時知らない曲で記憶にない。残念。

それから、3年生だからかもしれないが、テストの形式が変わった。
教科書で扱った文章の抜粋が載っていて、その中の抜けている単語や誤った文法を指摘する問題が加わった。じっくり読んだら時間が足りなくなる分量で。
これは人見先生が考案した設問だという噂を耳にしたことがある。
出題意図は確か、英文がすらすら読めれば、文法などの違和感に気づけるはずだから、とか何とか。なるほどね、もうちょっと勉強するか。

一度だけ、人見先生のテストで100点を取ったことがある。テスト返却の前に、先生からお前100点だって嬉々として(そう見えた)教えてくれた。満点に加えてそれも嬉しかった。
夏休み頃には、イギリスの言語学者、デイヴィッド・クリスタルの文章を使った教材を貸してくれた。相談に行った記憶はないが、私の志望校をご存じだったようだ。大学の特色的に、入試問題にも言語や文化をテーマにした読解問題が出やすく、入学してからも知っておいて損はないとのこと。
なおそこは先生の出身校で、おかげさまで私も同じ大学に合格して入学して卒業している。つまり人見先生は私の大学の大大大先輩でもある。

卒業以来お会いしていなかったが、なんか抽選当たって高校時代の友人とVOW WOWのライブに参戦した。

超カッコいい。
あの人、確かに英語の先生なんだぜ。

私は英語を極めたわけではなく、中東を覗いてみてちょっと迷走してとりあえず一般企業に就職して、その後で興味関心が固まって会社辞めて大学院行くための戦略立てて、また勉強して無事受かって、会社とは上手に交渉して退職後も同じ場所で自由に仕事させてもらうことになり、まぁ人生楽しめそうです。

人見先生、また行くのでずっとその声で歌っていてください。

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