脱サラ手記: 入試当日編
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0日目
1日目
2日目
修学旅行かよ。
日記
0日目
まず残業が想定外だったが、そもそもチェックインを22:00にしていた時点で予想していたのだろう。社畜の性か本能か。
ギリギリまで足掻くつもりで、スーツケースに勉強用の参考書や書類、研究計画が入ったノートPCとUSB、面接用のリクルートスーツを詰め込んだ。3年ほど袖を通していない真っ黒のスーツは試着しなかった。
1日目
徹夜で参考書類を見直すなどした。足掻きすぎだ。社会人になってから徹夜ができなくなったと思っていたが、どうやらまだ若かったようでちょっと安心した。安心することではないが。
混雑したバスの中でノートを見直している人が何人かいて、同じ受験生なのだろうなと思った。そのうちの一人が、ずっと他の乗客のスーツケースの持ち手部分を手すりと勘違いして掴んでいて、いつ気づくんだろうなと思っていた。この人には負けないだろうと確信した。
私は乗り物に酔うのでバスの中では何もしていない。
ところが、方向音痴を発揮してバス停から会場までの距離で道に迷い、売店か何かのスタッフの方に教えてもらった。ついでにエールももらった。ありがとうおばちゃん。
試験の答案用紙には名前を書く欄がなかった。これでもし「名前がないから0点」という結果になったら笑えないなと想像した。
外国語の試験の際に英語を選択している人、つまり日本語が母国語である人は、私を含め恐らく10人程度だった。留学生が多いのだろう。
終わってホテルに戻り、近くのショッピングモールで昼食を食べた。フードコートにしては洒落ていてだだっ広い空間だった。
ホテルの大浴場が開いたらすぐに入ろうとベッドの上で考えていたのが、この日の最後の記憶だ。
2日目
日付が変わった頃に目を覚ました。今日が試験日であること、まだ面接の時間ではないこと、その面接の対策をしていないことを10秒くらいかけて把握した。
持ってきたPCを開き、研究計画書や卒論のデータを眺めて、想定される質疑応答のパターンを考えた。
時々惰性で仕事のメールを見てしまい、引き継ぎができていない仕事があることに気づいた。大浴場に行く前の5:00過ぎに、職場の人にチャットを送った。迷惑である。
早朝の大浴場は私しかいなかった。リゾートでもないのにシャンプーが選べた。気持ちのいい朝だった。
リクルートスーツを着て、3年前と体型が変わっていないことに歓喜した(実はむしろちょっと痩せたのだ)。
試験会場は昨日と同じなので、さすがに迷わなかった。控え室ではスピーチ原稿を暗記するかのようにヒソヒソと呪文を唱えている人が半数、スマホかPCかメモを前に置いて虚空を見つめている人が半数、といった感じだった。きっと暗唱よりもその場でコミュニケーションが取れる能力が必要だよ。お疲れ様。
試験後、ホテルで荷物を回収して家に帰ったが、電車の中で寝たうえに気持ちのいい秋晴れで出かけたくなってしまい、前々からチケットを取っていたモネ展に行った。金曜とはいえ平日なのに人間が密で、私も含め皆ミーハーだなと思った。展示はめちゃくちゃよかった。
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