#私にとってポルノグラフィティとは
その日の私は、大学院の出願締切まで1週間を切っていたのにもかかわらず、研究計画書が未完成だった。おまけに、その週は2回友人と飲みに行き、でも残業も多く、4時間睡眠で乗り切る日が続いていた。
普段は秩序を好むはずの私だが、どこかではぐれてしまったらしい。
会社員は3年で辞めてもう一度学問を志すと2年近く前からあれだけ騒いでおいて、受験の準備ができていないなど、我ながら嘲笑してしまう。言い訳はしないでおく。私自身、焦らなければならないのに焦っていない自分に呆れていた。
当然、ロックバンドはそんなことにはお構いなくやってくる。
ポルノの音楽が心の琴線に触れるのは自明の真理だが、その時の私は共振で崩壊した。決して悪い意味ではなく、殻を破ってくれた、と言いたいのだ。
ご存じの通り、「PORNOGRAFFITTI 25th Anniversary Movie」に「どの曲も、自分のことを歌っている気がするのはなぜだろう。」という台詞がある。
インチキな占いでも陳腐なメッセージでも引用されがちな偉人の名言でもない。練りに練って丁寧に紡いだ言葉と音を、真正面からどストレートに食らわせる。言葉自体は直球ではないのに、どこかで共鳴して大きく揺さぶる。それがポルノグラフィティであり、周波数が合う我々のような人間が虜になるのだろう。
私の情緒が私の手に負えない。
陽が落ちる時間さえも演出にするなんてずるい。
この次のモニターの文字には、思わずポケットの中を探りそうになった。
「ひとひら」は、私が普段再生するプレイリストには入っていない。久々に聴くということは歌詞に耐性がないということで、無防備に動かされるしかない
今の仕事とやりたいこととが一致しない私。昔から飽きもせずに聞き返して、今になって違う歌のように聞こえるのは、他でもないあんたらの曲だよ。
伯父が持ってくる、いろんなアーティストの曲をまとめて焼いたCDの、意味がわからないカタカナのタイトルの曲。印象的で耳から離れず、ジャニーズもAKBも素通りして何度も再生したメロディ。
自分では表に出せないあらゆる感情が、見事に引っ張り出されてしまった。
小僧の私は今よりも性格が酷いので、現状を知ったらがっかりどころか軽蔑するのではないか。
でも、今からまだ胸張って頑張っていけると思ったのは、あなた方のお陰だ。ポルノグラフィティは間違いなく「解放区」である。
あなたにとってポルノグラフィティとは?
そんなのさぁ、ねぇ。
でもこうやってポルノについて書いた文章は今までにもあるし、これからも増えるはず。
それらを全部合わせて、また答え合わせしよう。少しは合ってるかなぁ?
…以上の文章は、実はロマポル直後に書いたものだ。この度、無事に大学院に合格したので記事を公開に戻した。その話は別の機会に。