犬の一生(序):アンジェロという名の犬の物語
来る日も来る日も最高気温の記録が塗り替えられていく。
そんな平成最後の夏。
電話が鳴った。
『ごめんね、ごめんね。謝らなくちゃいけない』
取り乱したおばが泣きながらそう言ったそうだ。
『アンジェロが大怪我をして脳死だと告げられた。……どうすればいい?』
予期せぬ一報に私たちは言葉を失い、泣き、数週間に渡って議論を重ねた。
・犬の「脳死」をどう捉えるか
・「尊厳死」を選ぶべきか否か、誰がその決定権を持つのか
・終末ケアへの覚悟があるか
そして、アンジェロとの思い出