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壁の十字架
『「ベンジャミン貧者」の続編』で、裏庭の写真をアップしたついでと言ってはアレですが、側溝の向こう側に浮かぶ上がる十字架を詠んだ歌があったのを思い出しました。
歌は、事実を詠む必要はないのですが、
たとえ創作しても、どこかに「作者の真実」が見え隠れするものと言われています。
「作者の真実」とは変な日本語ですが、
言い換えると、作者の置かれている環境や心情のことです。
それを投影させているのが「作中の主体」です。
「作中主体」とは、主人公のことなのですが、
短歌が一人称の短詩文学なので、作者=作中主体(主人公)と勘違いされやすいのです。
歌を鑑賞していると、その向こうに「わたし」が見えてきます。
それを、ギョーカイ(笑)では、「私性(わたくしせい)」と呼ぶようです。
余計に判り難くなりましたね。
説明が下手で申し訳ないです。
これが、教職を選ばなかった理由でもあるのですが。
2020年10月号の巻頭詠に選ばれた5首です。どぞ!
「壁の十字架」 シンタニ優子
オンラインに登録しゆく職歴の複数重なる若き日日あり
職種さへ選ばなければと言ふ友の助言はずつと言ひさしのまま
採用の通知届かぬ日の暮れて水撒きすれば夕立の来る
夕立にかうべ枝垂るる百日紅領域越せば斬らねばならぬ
斬り落とす枝の陰より浮かび来る隣の家の壁の十字架
水甕2020年10月号掲載
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これとニンニクで悪魔祓いをwww