「ベンジャミン貧者」の続編
【ここまでのあらすじ】
枯れかけたベンジャミンの鉢植えが捨てられていたマンションのゴミ集積所。可哀そうに思ったリリコイは、手厚く介護すべく自室へと持ち帰った。
ほどなく一軒屋への引っ越しが決まり、裏庭にベンジャミンを移植したはいいが、窮屈な鉢から解放されたベンジャミンは、根も葉もあることあること、グングンと伸び始めたではないか!
そこに、超マメなお隣のミスター&ミセスが笑顔たっぷりに少しのスパイスを混ぜて言いました。
「あの木、根が張るわよ~。家を壊しかねないわよ~」ってね。コレ警戒宣言ね。
訴訟大国アメリカということもあって、慌てて伐採と根のグラインドの見積もりをして貰ったら、ナント1800ドルというゼロの数、違ってない?的な・・・
◆◆◆
1800ドルの見積書に腰を抜かしておりましたが、気を取り直して、もう一社に見積もりをもらいましたら、
ナント3800ドル!
ここで、しばらく気絶しておりました。
こうなると、がぜん1800ドルはお安く見えますから不思議。
日々、ぬくぬくと成長するベンジャミンが、側溝を壊したら一大事なので、早速業者へ依頼の電話を。
我が家はカル・デ・サック(袋小路の私道、何故か不動産用語では仏語)なので、伐採重機が入れるかどうか、下見に来た現場監督のブラインに、マンゴーの木の相談もしました。
実はマンゴーの木、既に家の礎石を破壊してているのでこちらの方が重症なのですが、フルーツが生るという魅力から、伐採樹木圏外にしていました。
でもね、家族の誰も食べないし、一度に熟すので友人知人に配るだけでもゼーゼー顎が出る始末。
おまけに、南国の木特有の成長の良さで、子供が小さい時に遊んだツリーハウスは、ロープぶっちぎりのジャックと豆の木の勢い!
ひたすら空を目指すばかり。
葉っぱ一枚だって、ワラジのような大きさ(ワラジw)
問題点は、直ぐ近くに下水道管があるので、ベンジャミンほど深くは掘れないとのこと。
それでも大木なので3000ドル也。
瞬間悩んだふりをして(ついでにヘソクリを勘定して)、即決しましたよ。夫には相談するふりして、でも私のヘソクリを使うからと。
そもそも夫は庭掃除もしなければ、マンゴーも食べない。
マンゴーが可哀そうとか言って、一番優しい人を演じるのですね。
まぁ優しいんだけど。
なので、私が悪者になって、札束を出せばいいだろが~みたいな。
鬼だね私は。
でもね、一番マンゴーを愛したのはアタイよ!
大事に大事に冷凍して、ケーキやスムージーやドレッシングにしたりと。
そんな思い出が走馬灯のように浮かびましたが、ええいままよ!と情を振り払い悪代官に変身しました。
◆◆◆
数日して、鍬(クワ)を持って、グラインドした根やチップした枝を均して思いましたよ。
ベンジャミン貧者などと皮肉っていましたけど、あれね、やっぱり人間の驕りだったよね💧
棄てられた枯れかけた鉢植えのベンジャミンを救った気になって、気取っていた私。
良いことでもしたかのように思っていたのです。
「私は、あの時救って貰ったベンジャミンです」と言って、恩返しにでも現れるか?なんてどこかに意地汚い感情があったのですよ。
今回の件では、反省点が多いです。
自然を見下していたのですよ私は。
そう思えば、4800ドル+Taxは勉強代でした。
ベンジャミンもマンゴーも可哀そうなことをしました。今でも涙が出ます。
私は、「ペットという概念」が好きになれないのですが、植物も同じです。
それでもマザーネイチャーは私を許してくれるんですよ。
死んだら火葬にするもりで遺言も残しましたが、
土葬にして、地の塩になりたい。(栄養ないからお断りだそうです)