水甕2月号作品

「 人みな淡し 」 ~ シンタニ優子 


錆びた血の溜まる右肺苦しみは七百CCほどの水柩

人は言うお元気そうで何よりと「思った以上」を言わないだけで

再発の只中に貰いし蘭の花二度目の冬を越えた木の陰

君がため誤嚥回避に枝豆の薄皮を剥く 人みな淡し

我が指に触れる人などなくなりて枝豆潰す胡桃の匙で

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残り少ない命ですが、このnoteを閉じる前に、2024年に水甕に掲載された私の歌をアップします。

  • 掲載される3ヵ月前が締め切りなので、時間にズレがあります。

  • 2024年の7月号を最後に、私の辞世の歌になっています。

  • 読んで頂けたら幸いです。