中国でエンターテインメントに携わる
私は中国の中央戯劇学院という舞台演劇だけを専門に学ぶ大学に留学しました。場所は北京の中心地、天安門広場の北側にあります。
大学院で修士課程を終了し、そのまま北京に残り俳優や脚本を書く仕事、時には演出・監督業もやらせて頂きました。
私が卒業して直ぐくらいの頃の中国エンタメ界は、チャンスがたくさんあったと思います。お陰で色んなチャレンジをさせて頂けました。今はオーディション番組などから俳優になる人も多数いますが、私が学生だった頃は中央戯劇学院(北京の演劇専門大学)や北京電影学院(映画専門大学)、上海戯劇学院(上海の演劇専門大学)などを卒業した人しか演劇界、映像界にいなかったので、幸運にも私は中国エンタメ界のメインストリームに入っていけたのだと思います。
そこでの先輩後輩の繋がりは非常に重要になってきます。例えば、私の知っている先輩は、卒業後チャン・イーモウ監督の下でキャスティングをやっていました。ある時、先輩は新作の主演女優を探しに学校に戻ってきて、チャン・ツーイーとフー・ジンという学生二人に声をかけ、監督へ会いに行きました。結果、主演に選ばれたのはチャン・ツーイー、彼女は「初恋の来た道」に出演しました。小さな学校でしたが、校庭にはキャスティングのために学生に会いに来ている人たちが沢山いましたし、そのほとんどが卒業生でした。私も、校庭で声をかけられたり、先輩からの連絡で監督にお目にかかったりという事はよくありました。もちろん今はマネージメント会社がありますので、校庭で声かけはもうなくなったかも知れません。
また、同じ学校を卒業している事も仕事にはとても深く関係していました。私は留学前に日本で演劇作品を見た時、俳優さんの演技を見ながら何かの宗教のようだなと思うことが多々あったのですが(おそらく演出方法により俳優さんの醸し出す雰囲気が独特である事をその様に感じたのだろうと思います)、中央戯劇学院の学生も同じ宗派とでも言いますか、演技方法がやはり似てくるのです。それは作品への理解だったり、役へのアプローチだったり、間の取り方だったり。私が姜文監督の作品に出演させていただいた時も、撮影の合間に監督と話をしていると、卒業校の話になり、私は監督の後輩ですとお話しすると、突然に監督がにこやかになり、「道理で!」と喜んでいました。私の演技を見て、そう思っていたとおっしゃいました。
映画<一歩之遥>のプレミアにて。
ここまで書いて、私が学生だった頃や卒業直後と現在では中国エンタメがかなり変わっている事を実感しましたw
これから、時々中国エンタメの事について書いていこうかな。次のテーマは中国のテレビドラマ制作方法について、とかどうかな。
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