『発音を制する者は中国語を制す!』
中国語はとにかく発音が大事!」「音の高さ(四声)によって意味が変わるなんて難しそう・・・」「音の美しさで言うと西はフランス語、東は中国語」・・・などなど中国語を学ぶ上で何かと話題の中心になるのはその“発音”です。
確かに中国のニュースキャスターが話す中国語を聞いていると耳に心地良く、まるで音楽のようです。「こんなきれいな言語を話せるようになりたい」という気持ちは学習へのモチベーションにもなります。
ただ発音が難しそうという先入観に捕らわれてしまうのはもったいないことです。確かに日本語では使わない筋肉を使っての発音は練習が必要ですが、それはどの外国語も同じです。実際、日本人にとっては英語やスペイン語などに比べ、同じ東アジアの言葉として中国語の方が共通点も多くて学びやすいという声も多いです。今回は中国語の発音について、練習方法や中国人も練習している早口言葉、中国の方言事情などをとりあげたいと思います。
405×4の壁
中国語の発音はピンインという音の種類と四声という音の高さの組み合わせで決まります。日本語の場合、一般的に50音と言われますが正確には濁音や拗音等を含めて約120音です。
中国語はピンインが405音に四声が付くので405×4・・・結構膨大な数になってしまいますね。実際中国語の学習を始める人はまずこの405×4の音をひたすら練習するという高い壁にぶつかってしまいます。
でも考え方によってはこの壁、そんなに恐ろしくはありません。まずピンインですが、ローマ字読みである程度クリアできます。感覚として半分以上はローマ字読みで問題ありません。その他例外的な発音を重点的に練習すれば、そんなに時間をかけず習得できます。
また英語の学習について考えてみると、確かにアルファベットは26文字ですが、発音は一つ一つの単語によって変わってきます。アルファベットを覚えたとしても新しい単語を正確に発音できるとは限りません。
その点中国語はこのピンインを覚えさえすればどんな単語でも発音でき、長い文章でもピンインが振られていれば読むことができます。ですからこの最初の壁さえ超えればその後の学習がグッと楽になるのです。是非壁の向こうは明るいと思って、最初のピンイン学習を頑張りましょう!
中国語版早口言葉
日本人でも自分の発音とテレビのアナウンサーの発音を比べると滑舌の良さがまるで違いますよね。当然中国人も皆が滑舌良く話しているわけではありません。発音練習のために中国語にも早口言葉があります。中国語では“绕口令”(rào kǒu lìng)と言います。有名なものをいくつか見ていきましょう。
○妈妈骑马,马慢妈妈骂马。(Mā ma qí mǎ,mǎ màn mā ma mà mǎ。)
直訳すると「お母さんは馬に乗り、馬が遅くてお母さんは馬を罵った」という意味です。ピンインを見て分かるように四声の練習になっています。同じ「ma」の音でも「妈」(māお母さん)「马」(mǎ馬)「骂」(mà罵る)と四声によって意味が変わります。中国語はやはりこの四声の高低差がハッキリしている発音が美しいとされ、特にテレビのアナウンサーは特別に訓練を受けているので四声がハッキリとしています。学習の参考に中国語のニュースを聞いてみるのも良いかもしれません。ちなみにこの「绕口令」は以下のように続きます。
妞妞轰牛,牛拗妞妞拧牛。(Niū niu hōng niú,niú niù niū niu níng niú。)
「妞妞さんは牛を追い立てたが、牛が強情なので妞妞さんは牛をつねった」
舅舅捉鸠,鸠飞舅舅揪鸠。(Jiù jiu zhuō jiū,jiū fēi jiù jiu jiū jiū。)
「おじさんはハトを捕まえたが、ハトが飛んだのでおじさんはハトを掴んだ」
姥姥喝酪,酪落姥姥捞酪。(Lǎo lao hē lào,lào luò lǎo lao lāo lào。)
「おばあさんは酪(牛乳などから作る半凝固食品)を飲んだが、酪が落ちたのでおばあさんは酪を掬った」
○四是四,十是十,十四是十四,四十是四十。(Sì shì sì,shí shì shí,shí sì shì shí sì,sì shí shì sì shí。)
これは翻訳すると「四は四、十は十・・・」と特に意味の無い文章ですが、「si」と「shi」という紛らわしい音の練習用です。特に「shi」の音は舌をそらせる音なので日本人にとっては難しい発音です。
○吃葡萄不吐葡萄皮、不吃葡萄倒吐葡萄皮。(Chī pú tao bú tù pú tao pí,bù chī pú tao dào tù pú tao pí。)
意味は「葡萄を食べたのに皮を吐き出さない、葡萄を食べていないのに皮を吐き出す」です。「葡萄」「不吐」など発音の似ている言葉が繰り返し出てくるので、早口で言おうとすると舌を噛みそうになります。また「bu」「pu」などの有気音と無気音の練習にもなります。
実は中国の人でも中国語の正確な発音を知っている人は少ない?
中国で生活してみて驚いたことの一つは、自分の発音に自信の無い中国人が多い!ということです。「我的普通话不好・・・」(Wǒ de pǔ tōng huà bù hǎo・・・ 標準語があまり得意じゃなくて・・・)「我发音不准」(Wǒ fā yīn bù zhǔn 私の発音は正確でないです)などと謙遜する人が結構います。
中国語を学ぶ時、私たち外国人は「普通话」(pǔ tōng huà)を習います。これは北京語とも呼ばれ、首都北京の発音を基本として中国語の標準語としています。
しかし中国はとても広い国です。当然無数の方言が存在し、違う言語に分類してもよいほど全く異なる発音のものもあります。学校では「普通话」を習いますし、テレビも基本的には「普通话」なので教育を受けた人は地元の方言と「普通话」の二つの言語を使い分けるバイリンガルのようになっています。ただ地元で生活し続ける限り、日常生活では方言を使っているため、自分の標準語の発音に自信が持てない人も多いのです。
また地方によって「普通话」にも訛りがあります。例えば東北地方は「儿化」が多い傾向があります。「儿化」とは単語や語尾が「儿」(er)になることで、「花」が「花儿」になったり、「没事」が「没事儿」となったりします。
標準的な発音でも「儿化」するのですが、東北地方に行くと「儿化」の割合が増えます。中には常に舌を巻いているような発音をする人もいて慣れないと聞き取れません。雰囲気は日本語で言うところの「べらんめえ口調」のような感じです。また台湾や福建などに行くと、「shi」「zhi」などの倦舌音が弱くなり「si」「zi」の発音と混ざっている人が多いです。
先ほどの「四是四,十是十・・・」の早口言葉などで試してみると、傍から聞いていて全て「si」に聞こえてしまいます。このように特徴的な訛りが各地方にあるため、聞く人によっては出身地が大体分かってしまうそうです。
さて今回は中国語の発音についてとりあげてみました。「中国語は一に発音、二に発音」と言われるほど発音は大切です。でも学ぶ前にあまり恐れる必要はありません。練習すれば必ずできるようになります。そして失敗しても大丈夫です。中国語の正確な発音が難しいことは中国人たちが一番よく分かっています。助けを求めればきっと優しく教えてくれることでしょう!
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