弱虫ヒーロー / 椋子
泣いてる君がいたんだ
その前をただ通り過ぎてしまった
僕の存在にはきっと気づいてもいなかっただろ
家について手を洗った
落ちない翳りは広がるばかりだ
濡れたままのこの両手で
目をこすって頬を叩いた
誰かを救ったその歌で
君は僕を救えるのかい
誰かを救ったこの歌で
僕は君のことを救えるのかい
ただ 走って走って走って
がむしゃらに君のもとへと走った
見つけたことの時なんて
これっぽっちも考えていないけど
走った走った走った まだそこで
うずくまる君が見えた
ほっとしたこの気持ちがそう
僕のすべてで
震える左手でまた目をこすってる
ああ かっこ悪いな 泣いてばかりだな
せめて僕みたいな人を守れるように
この右手は背中をさすってあげられるように
僕 弱くて弱くて弱くて泣き虫で
怖くて怖くて怖くて でも
大切を失いたくないから
ああ
明日も 走って走って走って転んだって
弱虫だってヒーローになれる気がするんだ
この弱さを握ったまま ずっと
ずっと