臨書シリーズ 曹全碑、の巻
流麗華麗な連綿線の世界を求めて、和様書道の臨書を続けてきましたが、久々に中国古典の臨書、しかも隷書に立ち戻ってみました。
隷書のべんきょうといったらこれ!
『曹全碑』です。
なんとなくお気づきの方も多いかと思いますが、私は臨書が好きですw
線の質や交差する角度を追求していくと、書いた人の筆の角度、手癖、思考まで自分の中落とし込まれて、その人をトレースしている気持ちになります。
シャーマニズムでいうところの脱魂(ecstasy)にちょっと近いのかもしれません。決して憑依(possession)ではなく。
『曹全碑』は、曹全という後漢の人物の功績をたたえるために立てられた石碑で、お手本はそれを拓本したものです。
従って、通常の筆文字よりはもっと硬質な文字となります。
それでいて、優美な字形なんですよねぇ。美しい。
『曹全碑』を最初に臨書した時に、師匠にご指導いただいたのは、
「思っているよりも細い線だと認識して書くこと」
でした。
隷書って、なぜか太く黒々としたイメージがあったのですが、このご指摘はちょっと虚を突かれました。
細くて小さく書くと、隷書って綺麗に見えるんです。
以下隷書を臨書する時に注意していることをあげると
1)線は細く
2)形は小さく
3)空間は均等に
4) ペーパーナイフでさっと紙を斬るように素早く線を引く
5) 常に右下がりを意識する
ということになります。
『曹全碑』の隷書はだいぶ優雅な形をしていますが、それでも緊張感を伴います。
いい緊張感でした。