
空から旭川・富良野を見てみよう(2)
この作品はフィクションです。
実在する施設・店舗をモデルとして描写する場面がありますが、一観光客としての来訪経験に基づき構成したものです。関係者への取材活動は行っておりません。
従って、実在の人物・団体などとは一切関係がありません。過去に放送された実在番組とも関係はありません。
あくまでフィクションとしてお楽しみください。
※Google Mapより空撮アングル相当画像を引用しています
※掲載写真は特記以外2023年10月撮影
Scene 3 続き

「わっ、身体が地面に埋まっているみたいですよ!」
「これは急がねば!おい、大丈夫か?」
「返事がありません…!」
「あの者に聞いてみるか。くもじいじゃ!」
「はい」
「あれは何じゃ!助けんでよいのか?」
「これは彫刻です」
「彫刻?」
「1972年の買物通り開設を記念して、彫刻家の木内禮智が手がけた作品です。最初は駅に近い4条通り交差点に置かれていました。」
「埋められているんじゃなかったのですね」
「名前は何という?」
「”手”です」
「そのままじゃな」
「木内自身が目指したテーマは伝えられていませんが、”未来をつかむ市民の手”とされています」
(ナレーション)「この彫刻の周囲は噴水になっていて、水を出すこともできます。」
「旭川は彫刻の町としても知られていますよ」
「そうなのか」
「はい。買物公園をはじめ、市内に72点の野外彫刻が建てられています」

「そういえば買物公園にもありましたね…わわっ、ジャケットの前しめてください!」
「それが芸術表現なのじゃろう」
Scene 4(常磐公園)
「では再び町を見ていくぞ」
♪Firecracker
「はい!あっ、タコがいます!」
「おお、本当じゃ」
「イカはいなくなってもタコはいますね。捕獲しますか?」
「いや、こやつは公園アニマルにするにはちと手ごわそうじゃ。それにあたりが気になるのう。降りてみるぞ」
「はい!」
(テロップ)「? 公園の大きいタコの正体は?」

「確か、このあたりじゃの」
「ここもちょっと京都っぽいですね」

「タコはどこじゃ…あれのようじゃな。おお、これはでかいのう」

「後ろから上って、八方にすべり降りられるのじゃな」
「かくれんぼもできそうです」

「くもじい、ペンキがはげかけていますよ…かわいそう」
「工事のフェンスがあるぞ。あの者に聞いてみるか。くもじいじゃ!」
「はい」
「おぬし、このタコをどうするのじゃ!」
「遊具設備更新の時期なので、まもなく撤去されます」
「なくなってしまうのか!」
「はい。跡にはタコのモチーフを生かして、新しいすべり台を設置する予定です。クライムと3種類のすべり台を持つタコですよ。」
(ナレーション)「新しいすべり台は、近隣の子供たちの意見を参考にしてデザインされました。」
「そうか。長い間、旭川の子供たちを見守ってくれてありがとうのう!」
「新しいタコさんも楽しみです!」
Scene 5(旭川市内~比布)
♪Mr. Fantasy Love(飛行ルート案内地図画面)
「ではここで一旦旭川市から離れて、比布町へ向けて飛んでゆくぞ」
「ピップ!」
♪Time After Time

「石狩川に沿って陸上競技場やスタルヒン球場が整備されておる。ビクトル・スタルヒンは戦前から戦後にかけて東京巨人軍などで活躍した大投手じゃ。ファンに”スタ公”と呼ばれておったそうじゃ」
「スタ公?」
「本人は喜んで返事したそうじゃ」
「隣に広い空き地があります」
「空き地ではない、陸上自衛隊旭川駐屯地じゃ。かつて陸軍第七師団が置かれた場所じゃぞ。近くには北鎮記念館があり、”ゴールデンカムイ”の聖地としてにぎわっておる」
「森が"P"の字みたいになっています」

「春光台公園じゃな。木々が色づきはじめておる。ウニ丼でも食いたいのう」
「くもじい、先行きましょ」

「山がクエスチョンマークみたいになっています」
「東山じゃな」
「結構、京都を意識しているのかもしれませんね」
「先っぽは男山自然公園じゃ。地酒メーカーの男山が所有する土地で、カタクリの花が見られるぞ」
(テロップ) 上川郡比布町 DATA
人口3,532人(道内124位) 面積86.90k㎡(道内172位) 2022年1月1日現在
日本で唯一半濁音で始まる市町村
「国道と線路が交差しています」
「ここにはJRの南比布駅があったのじゃが、利用者減少で2021年3月に廃止されたのじゃ」
「跡形も残っていないようです」


♪Firecracker
「あっ、くもじい!」
「どうした?くもみ」
「あそこに大きなソフトクリームが落ちています!」
「おお、本当じゃ。ひと休みしていくかのう」
「やった!」
「いくら冬氷点下になるとはいえ、今からソフトクリームを外に出しておいたら溶けてしまわないかのう。一体何じゃ、こりは?」
(テロップ)「? 大きなソフトクリームを売るお店?」
Scene 6(比布町)

「ここじゃな。どこかで見たような建物じゃ」
「コンビニみたいです」
(ドアが自動で開き、カメラが中に入る)

「うわっ、中にトラックがあります!」
「米袋がいっぱいじゃ。米屋かのう」
「イチゴのグッズもありますよ。かわいい!」
「いらっしゃいませ!」
「くもじいじゃ。ここは何の店じゃ?」
「NANA PLAZAです!閉店したコンビニチェーンの建物を使って、比布に住む若手農家4人で開いたお店です」
「ナナプラザ!だからドアに”七”のマークがついているのですね」
「セブンではないのじゃな。米屋なのか?」
「そうですね、お米だけではなく、地元の農家で収穫した作物を幅広く売る場所を目指しています」
「おお、そうか。くもじいは頑張る若者を応援しておるぞ。どんな米じゃ?」
「北海道産の”ゆめぴりか”と”ななつぼし”です」
(ナレーション)「ゆめぴりかは比布町の上川農業試験場で開発された品種。つやと粘りが特徴で、日本穀物検定協会食味ランキング試験で13年連続特Aクラスの評価を受けています。」
(炊いたご飯がアップで映る)
「おいしそう…じゅるる」
「イチゴも売っておるのか?」
「はい。イチゴは5つの品種を栽培しています」
「5つ!」
「本州でもおなじみの”紅ほっぺ”と、北海道独自の”けんたろう””ゆきララ””宝交早生””赤い妖精”です。複数の品種を育てているので、一年中イチゴを楽しんでいただけますよ。くもじいさん、くもみちゃん、イチゴのスイーツはいかがですか?」
「わあ、それじゃ”けずりいちご”お願いします!」
「わしは”もみもみシェイク”が気になるのう」

「けずりいちごお待たせしました。今は”赤い妖精”を使っています」

「イートインコーナーは学校の机と椅子じゃな」

(ナレーション)「けずりいちごは冷凍したイチゴをかき氷のように削り練乳をかけた一品です」
「冷たい!シャーベットみたいなイチゴの甘酸っぱさと練乳のコラボがたまりません!じゅるる~~~!!」

「比布といえば比布駅も見ておかぬとな…おお、こんなところにドラえもん師匠とアンパンマンさん!北国でもお勤めご苦労さまです」

「海にあるブイですね」
「いや、師匠じゃ!ドラえもん師匠は逆立ちしておられる…はて、どうして内陸におるのじゃろう」
「そろそろ比布駅ですね」
「くもみは”ピップエレキバン”を知っておるか?」
「聞いたことあります。肩こりに効くのですよね」
「40年ほど昔、ピップエレキバンを製造販売するピップフジモトの会長と樹木希林さんが比布駅のホームでCMの撮影をしたのじゃ」
「はあ」
「北海道を旅行していた、本州の大学生が思いついたアイデアじゃ。会長はそれまでひとりで何度もCMに出ておった」
「出たがりだったのですね」
(ナレーション)「樹木希林さんは晩年、比布駅改築の知らせを聞いて、多忙な中ひとり比布町を訪ね、お祝いの色紙を贈りました」
「格好いい!憧れます!」



「さて、空に戻るぞ…と、おお、あやつがおるぞ!ほれ、あそこじゃ!」
「あー、確かにいますね!」
「今度は捕獲に行くぞ!くもみ、網を用意しなさい!」
「わかりました!」
♪Coro Coro Sound System
「晴れでも雨でも嵐でも、いつも笑顔の公園アニマルズ!」
「鳥ですね」
「しっ。飛び立たぬよう、そーっと近づくのじゃ」(小声)
「抜き足差し足…」(小声)
「忍び足…おりゃー」(小声)
「うりゃー…ていっ!」(小声)
パサッ(網がかかる音)
”捕獲成功”

♪Scarecrow Man
「スズメがお見合いしておるぞ」
「シーソーですね」
「近頃珍しいのう」
「板が地面につきませんよ。ぷかぷか浮かぶみたいです」
「バネで支えているからじゃな。子供が怪我しないためじゃろう」
(ナレーション)「コレクションナンバー40番、比布町中央ふれあい広場で見つかった”ピッププカプカスパローズ”」
(テロップ)「アニマルポイント バネで支えられているためぷかぷか浮いて飛び立っていけない」
「何だか私たちみたいですね…座るところがフライドチキンの骨みたいです」
「こちらから見ると籠の鳥のようじゃな」

(宗谷本線列車走行音に続いてナレーション)「そんな貴重な公園アニマルの捕獲に、くもじいは見事成功しました」
(アルバムのページをめくる音)「久しぶりに増えたのう」
