サトル

知的財産に関する業務を担当してはや4年。そろそろ弁理士試験も考え始め、本格的に学習を始めようとしているとかしていないとか。

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知的財産に関する業務を担当してはや4年。そろそろ弁理士試験も考え始め、本格的に学習を始めようとしているとかしていないとか。

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  • 特許判例を読もう!

    特許重要判例をまとめています。いろいろな本を参考にしていますが、もともと自己学習用なので、ご容赦ください。

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最近の記事

特許重要判例を読もう!(8)ボールスプライン軸受け事件

最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決 1.意義均等の5要件を判示した裁判 2.事件の概要本件は、被上告人が特許権の侵害を理由として上告人に対して損害賠償を求める訴訟であるところ、原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。 1 被上告人は、発明の名称を「無限摺動用ボールスプライン軸受」とする特許権(昭和四六年四月二六日出願、同五三年七月七日出願公告、同五五年五月三〇日設定登録。特許番号第九九九一三九号)を有している(以下、右特許権を「本件特許権」といい、その発明

    • 特許重要判例を読もう!(7)エアロゾル事件

      大阪高裁平成14年11月22日 1.意義被疑侵害製剤が本件発明の構成要件を充足していても,本件発明の作用効果を有しないという場合において、侵害と認められるか?認めるために何が必要かが判示されました。 2.事件概要 本件は,後記特許権(特許第2769925号)の特許権者である被控訴人が,控訴人に対し,被控訴人の特許発明の技術的範囲に属するとして,原判決添付別紙物件目録記載の製剤の輸入,販売の差止め及びその廃棄を求めた事案である。  原審は,被控訴人の請求を認容し,控訴人が本

      • 特許重要判例を読もう!(6)血清PCRの簡易迅速定量法事件

        東京高等裁判所平成12年2月1日 1.意義出願経過参酌について判示された。 2.事件概要本件は、原告が、被告らによる商品の製造販売が原告の有する特許権を侵害(間接侵害)すると主張して、被告らに対して差止請求権の存在確認及び損害賠償を求めた事案である。特許請求の範囲は下記通り 検体血清と抗血清使用液との混合液である被験液Tと、検体血清と検体ブランク緩衝液との混合液である検体ブランク液SBと、生理食塩液と抗血清使用液との混合液である試薬ブランク液RBと、生理食塩液と検体ブラ

        • 特許重要判例を読もう!(5)端面加工装置事件

          東京地裁平成25年10月31日 1.意義機能的クレームの技術範囲を判示した。 2.事件概要本件は,発明の名称を「端面加工装置」とする特許権(特許第4354006号)を有する原告が,被告が業として製造及び貸渡しをする別紙物件目録記載の製品(以下「被告製品」という。)が上記特許権に係る発明の技術的範囲に属し,その製造等が上記特許権の侵害に当たると主張して,被告に対し,特許法100条1項及び2項に基づき,被告製品の製造,貸渡し等の差止め及び廃棄を求める事案である。原告特許には機

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          特許重要判例を読もう!(4)プラバスタチンナトリウム事件

          最高裁判所第二小法廷平成27年6月5日  1.意義プロダクトバイプロセスクレームの技術的範囲を判示した事件。 2.事件概要端的にいってしまうとXが特許権に基づきYの販売等の差止めを求めた事件です。Xの特許権における請求項がPBP記載であったことから、その権利範囲がどこまで及ぶのかが争いになりました。実際の請求項1は下記の通りです。 【請求項1】 次の段階: a)プラバスタチンの濃縮有機溶液を形成し、 b)そのアンモニウム塩としてプラバスタチンを沈殿し、 c)再結

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          特許重要判例を読もう!(3)サトウの切り餅事件

          知的財産高等裁判所平成23年9月7日(中間判決) 1.意義クレーム範囲が明確ではないときに、①特許請求の範囲の記載全体の文から頑張って読み取る、②明細書の発明の詳細な説明の記載、③出願経過から判断するということを示した。 2.事件概要Xが持つ切り餅の横面に切れ込みを入れることを示した発明(特許第4111382号)に対し、Yが側面に加え底面/上面にも切れ込みを入れた製品について、侵害に当たるかどうかが争われた事件。原審と控訴審で判断が割れたが、控訴審では侵害を認めた。 3

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          特許重要判例を読もう!(2)リパーゼ事件

          最高裁判所第二小法廷平成3年3月8日 1.意義請求の範囲の解釈方法について判示したものです。請求項に書かれている文言が権利範囲になるわけですが、どんなときにどの部分を参照できるかが示されています。 2.事件概要特許出願「トリグリセリドの測定法」の特許請求の範囲の記載中にあるリパーゼは実施例記載のRaリパーゼに限定されるかどうかが争われた事件。 3.判決趣旨「特許出願に係る発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、ある

          特許重要判例を読もう!(2)リパーゼ事件

          特許重要判例を読もう!(1)生理活性物質測定法事件

          最高裁判所第二小法廷平成11年7月16日 1.本判例の意義方法の発明に関する特許権の範囲を判示したものです。特許には幾つか種類がありますが、それぞれ違いがあるんです。 2.事件概要特許「生理活性物質測定方法」の権利を有するXが、当該特許請求範囲である測定方法を使用し品質規格検査を行っている製品を販売するYに対して、差し止め請求を行った事件。請求棄却。 3.判決趣旨①「方法の発明と物を生産する方法の発明とは、明文上判然と区別され、与えられる特許権の効力も明確に異なっている

          特許重要判例を読もう!(1)生理活性物質測定法事件

          特許重要判例を読もう!(0)はじめに

          唐突ですが、判例を読んで解説していこうと思います。 特許に限らず法律の分野で重要なのは、①条文になります。しかし、条文の解釈が難しかったり、まだ条文になっていないけれど、数々の裁判の中で形成されてきた規範(判例法)は条文だけでは分かりません。②判例でその穴を補完することが重要です。更には、その裁判例を更に補完するものとして③立法趣旨や学説があります。 その為、①条文⇒②判例⇒③立法趣旨、学説の順番で理解を深めていくことが良いと思います。 裁判例と判例裁判例と判例って同じ

          特許重要判例を読もう!(0)はじめに