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外見はあまり気にしない夫


「あ゛ぁぁーーーー!なにやっとれんて!」

やってしまった。私ではなく、夫が。バリカンで横から頭頂部にかけて、ずざーっと。

「あれ!?アタッチメントついとらん!」

そこはいつも6ミリで刈っている。それをアタッチメント無しだから0ミリで刈ったことになる。

夫の髪は私が刈っている。結婚する前は義父が刈っていたのだが、結婚を機に私が引き継いだ。

全体を20ミリで刈った後、横を6ミリで刈る。6ミリに替えるために、20ミリを外して台に置いておいた。そのときにちょうど息子が「なにやっとるん?」と覗きに来たのだ。

私が息子と話している間に、夫は「20ミリのアタッチメントがついている」と思ったまま、バリカンを頭に当ててしまった、と言うわけ。眼鏡をはずしていたのでよく見えなかったらしい。

夫)「もういっそ、丸坊主にする?」

私)「やだ。それだけはやめて。私が嫌。」

夫はあまり外見を気にしない。もちろん、不潔な姿は社会的にNGだし自身も嫌だと思っているので、清潔さは心がけている。

けれどなんというか、おしゃれには疎いし、そういうことに時間やお金をかけるのが無駄だと思っている。

結婚前の夫、カバンはウエストポーチ(オシャレなやつじゃない)、夏は半袖に白のアームカバーをしていた。シャツはいつも決まってチェック柄。どこのおじさん?もしくはおばさん?と言う感じだった。

いわく、「ウエストポーチは手が空く上に物を取り出しやすい」「アームカバーしないと日焼けする」「チェック柄なら可もなく不可もなく着こなせる」という実に理にかなった理由ではあったが、当時の私は納得できなかった。

せめてカバンは変えてほしいと思い、ちょっとおしゃれなボディバッグを勧めた。(ふたりでイオンに見に行った)

「もう少しおしゃれにしてはどうか」とユニクロなどにも連れ出してみた。けれど、夫は始終「どうでもいい」と言う感じだった。

そしてあるときから、わたしも「どうでもいいかも」と思うようになった。夫は夫だし。何を着てもどんな格好していても夫は夫だ。

一緒にいればいるほど、するめを噛んでじわじわ味が出るように、夫の中身に惹かれていった。だから、外見なんてどうでもよくなっていたのだ。

第一、本人が”おしゃれになること”望んでいない。洋服にお金をかけるならレゴを買いたいし、洋服を見に行く時間があるならレゴを作りたい。そういう人だ。

とはいえ、さすがに0ミリで刈り上げた頭はひどい。丸坊主にするなんてもってのほかだ。どうにかリカバリできないかとネットで参考になる画像や動画を探した。

私)「ソフトモヒカンやって。こんなんにしたらなんとかなるかも」

夫)「リコさんに任せるわ」

私にできる精一杯の努力は、した。

私)「誰・・・?」

夫)「まぁ、いいんじゃない?」

夫は最後まで楽観的だった。

会社に行ってなんと言われるだろう、気が気でなかった私。帰ってきた夫に聞いてみると、「別になんにも言われなかった」とのこと。

「あ、〇〇さんには ”誰?” って言われたけど」

ほらね、やっぱり。でもまぁいいか。「変だ」とは言われなかったんだし。

これからさき、もっと長い時間を一緒に過ごしたら、いつか私も夫の「丸坊主」が受け入れられるようになるだろうか。

そこまで達観する自信はないなぁ。

来週、お宮参りの家族写真を撮りに行く予定がある。今は「それまでに少しは髪伸びてくれないだろうか」と願っている私だ。

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