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起業におけるリスクの本質
起業におけるリスクとは一体何か?
僕なりに考えた。
昔、ある友人から相談を受けた。
その彼は飲食店を始めたいと言った。
彼自身、有名レストランでマネージャーをやっていた経験があり、飲食店経営についてノウハウという点では恐らく十分経験していたと思う。
事実、彼が語る理想の店はとても魅力的だったし、ニーズは顕在化していながら、競合が少ない素晴らしいビジネスになるのでは、と僕も嬉しくなった。
そして、さらに真面目でいいやつ。その彼の人間性も魅力でスタッフを良い方向に導き、強いチームを作るだろうと思った。
その彼は言った。
「しかし、最初はとりあえず今はリスクを抑えて始めようと思います。」
僕はその内容に少し、違和感を感じた。
彼の言う<リスクを抑えたスタート>というものは次の内容だった。
・借金をせずに手元にある貯金だけで始める
・その中で借りれる物件をどうにか見つけた
・人を雇う余裕がないので1人でやる
もしかしたら、すごく堅実で良いと思う人もいるかもしれない。
実際に、この場にいた他の友人もその考え方に賛同していた。
しかし、僕の考えは違った。
理想の店を実現するために、しっかり資金調達から始めるべきだと言った。とりあえず、しっかり事業計画書を作り、金融機関に話をしに行く。
実績があるので出資してくれる人もいるかもしれない。
親や兄弟、友人が応援してくれるかもしれない。
そう伝えた。
すると彼は、「そこに時間をかけてしまうと手元の貯金も生活費で無くなってしまうし、失敗した時のリスクが高すぎるので、ミニマムですぐに始めたいんだ。」と言った。
でも、その予算で借りれる物件は繁華街とは程遠い人通りのとても少ない路地裏。
もちろん内装なんかも出来ることはかなり限られるだろう。
1人で全てやるので、メニューは簡単なものしか用意できない。
サービスは行き届かず、顧客は離れる。
その結果、オープン時期は友人・知人で賑わったが、その後客足はパタンと途絶えた。
そして、わずか3ヶ月で閉店した。
そう、リスクを抑えるという考えで彼が選んだ方法は、3ヶ月で貯金も店も失うという、とてもハイリスクな方法だった。
彼の問題の根本は、本来目指していた理想の店ではなく、妥協して全く違う店を始めてしまったこと。
理想の店を実現するための借入を含めた<資金調達>という必要不可欠な手順をリスクと判断し、避けてしまったこと。
起業においては、ビジョンを基に適切な戦略を立て、その戦略に即した資金を調達しなければならない。
かくいう僕は会社設立時に、わずか300万円を元手だったが、2つの銀行と大型補助金、応援してくれる知人社長からの融資などで必要な資金を必死に調達した。
この辺りはまた別の機会に詳しくお話ししようと思う。
その資金調達ができなければ、もしかしたら起業をするタイミングではないのかもしれない。
また、その資金調達をすること自体が不安だったり、失敗することが怖かったりするのであれば、起業する器ではないのかもしれない。
起業におけるリスクとは何か。
それは、失敗すること。
夢を諦めざるを得ない状況になってしまうこと。
そうならないために、<リスクの本質>を目を背けずにしっかりと理解することが大切なように思う。
夢を実現するためには、考えなくちゃならないことが沢山ある。
でも、それは夢を持ち、行動する者だけに与えられる最高の時間だ。
その時間を僕も楽しんで生きていきたい。
では、また。