おばあさま
朝からリビングで祖母が「公衆便所の感染対策」の話をし始めた。
俺は朝ごはんを食べてたから不快に思って、「その話朝ごはん中にはやめてほしい」って言った。
そしたら、「私のやることなすことに反発する」って反論から、いわゆるヒステリーが始まった。
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祖母とは色々あって、正直、目も合わせたくないほどに嫌い。嫌いって言葉が適切かもわからない。嫌悪。憎悪?いや、こんな積極的な感情じゃないな。うん、嫌悪だ。
口を開けば、自分の身の回りについての不平不満愚痴しか言わない。会話は必ず「でも〜」から始まる。
少しでもこっちの意見を言おうものなら、「反発するな」「こんなにみんなに除け者にされるなら私は死んだほうがマシじゃないか」
この頃はコロナの影響でナーバスになってる。この頃ってか、もう、1年以上経つのか。
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1年前、第一波の頃、人の多いところにいくことが知れると説明が面倒だから、開催される事を祖母に伝えないまま、大学の卒業式に行くことになってた。
兄弟2人でスーツに着替えてたら、祖母がリビングに来た。正直、「しまった」とは思ったけど、知らん顔をしていた。
そしたら、さすがに祖母も「どしたん、スーツ????」って聴いてきた。
(この「どしたん」ってセリフが自分は本当に嫌い。「どしたん」の中に(何でそんなことやってんの、馬鹿じゃない?)って含みがあるから。実の娘であるうちの母親の家事のミスがあるたびにこのセリフが出る。脊髄反射で人の揚げ足をとる。)
「や、卒業式やけど。」って返したら、
「え!!!卒業式あるの!!!!マスクは!?」って返ってきた。
兄弟2人とも、
(ん?マスク?孫の卒業式よ?てか、そうじゃなくても、人間の会話としてまず、「おめでとう」って来ない?自分の感染の心配が先か?)って思った。
そもそも、はじめに「おめでとう」が返ってくるひとなら、卒業式がある事を隠したりしなかった。
ムッとしたけど、そのまま着替えを続けていた。
そしたら、兄のズボンに仕付け糸がついたままになってたことに祖母が気づいた。それに対してあのセリフ。「どしたん」
兄は糸がついてることに気づいてなかった。なのに、兄の返事も待たずに急にハサミを取り出して、「こっち向けなさい」と祖母。
兄は時間ギリギリで焦っていたから、また祖母の過干渉が始まったと思って「何?、ほっといてや」って言った。
はい、ここでヒス発生。「反発するな!!!!!!!」
いつもなら、自分も割と冷静に対応するんだけど、さすがに卒業式にキレられるのは理解不能だった。
俺も食ってかかってしまった。
そっからはあんま覚えてない。祖母に「こんななら、死んだ方がいいじゃないか」って言われたこと以外。
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その後、何度かバトルがあった。家庭内での祖母のヒスのトリガーはほとんど、俺の行動と言動だった。
祖母のヒスはすべてうちの母親に向かう。俺のせいで母親に迷惑がかかる。そのことが苦しくてしかたない。
そういうバトルがあるたびに、俺は祖母と目を合わせないようになってきたし、次第に口も聴きたくなくなった。同じ部屋にいること自体が不快になってしまった。
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たまに居合わせて、たまに祖母に対して意見すると、冒頭みたいなことになる。もう疲れた。大学院もほぼリモートで、祖母と家にいる時間が圧倒的に長いのは自分だった。
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自分は、人間関係について自信がないから、人との関係においていつも自分の非を探す癖がある。
祖母との関係についても常に反省をしてる。「言い方が悪かったかな」とか、「たしかに家から出ずにテレビしか楽しみのない老人にこれをいうのは酷だったかな」とか。
でも正直、散々反省したけど、自分の非はそれほど見つからない。自分も相当気を遣って生活をしている。
なんてったって、ばあさんに気を遣って、外出自粛してるうちに、遠距離恋愛してた彼女にフラれたのよ?さすがにかわいそすぎない?俺。結構、病んだよ?言ってないから気づけとも思わないけど。
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しんどかったよ。この一年。でも、だからと言って、祖母が悪いわけでもない。ただあの人の生き方と考え方が、俺の価値観と劇的に相性が悪いだけ。
てか、相手を責めたところで、「死にたい」って言われるのが関の山。
そんなリスクのあることしたくない。思ってるといざというとき、口に出てしまう気がするから、考えないようにしてる。
でも、こうなる。何で、こうなる?なんでなんでなんで。
俺が悪いのか?俺の考えが悪いのか?
人に死を想起させるような言葉を俺は言ってる。その事実だけで、生きていくのが怖くなる。
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はー、どーしよーもないね。祖母曰く、俺は「小賢しくて人を小馬鹿にしてる」らしいし。
あーいとぅいまてーん♪
ごめんなさい、このオチは怖いか。。。。うん、ちゃんと凹んでます。ちょっとずつ気持ちを上げてく。
最後までありがとうございました。ゆるく生きていきましょう。