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きみのそばにいること


うちの家族構成は、父母わたし弟愛犬2匹の4人と2匹家族。

周りにも本当に家族仲良しだよね、と頻繁に言われるほど

家族仲良しで、父は単身赴任になっても月に3回週末に名古屋に帰ってきて

わたしが一人暮らしを始めても月に1回は家族で集まって、

父と母はペアルックであいとらむ(愛犬)のお散歩に行くし

わたしと弟もペアルックでふたりで出かけたりする。(もちろん喧嘩もする)


あいは13歳で数年前から足を引きずって、ソファにも自力では登れないし

お散歩も家の前をよたよた自由に歩くことしかできない。


らむは10歳で、あいより後にうちの家族になったので

ひとりでおうちでお留守番はしたことがないし、

あいがお散歩に行けなくなってからはらむを散歩に連れ出しても

あいがいないことに気づくと歩かなくなって抱っこすることになるという

わがまま甘やかされボーイ。(あとすごいヤキモチ妬きくん)


数年前からあいの調子が悪くなってきて、

いつ大好きなあいがいなくなってしまうのかと少し怯えていた。

わたしが11歳の頃から一緒に生きてきて可愛くて仕方なくて

いなくなってしまうことなんて考えたくなかった。

らむは大丈夫かな、どうなっちゃうのかな、と何度も考えた。

あいとらむは表上はそこまで仲良しじゃない。

ごはんの後は絶対に食い意地合戦の大喧嘩をするし

あいを愛でてると嫉妬に狂うらむが出現するしライバルみたいだった。


年齢的にはいずれあいの方が先に、と思っていた。


けど、ある日かららむの調子が徐々に悪くなっていった。

癌だった。

それを知らされた日は仕事中に裏で号泣してしまったし、

手術の日は仕事を休んで病院に行って手術終わりのらむを見て

苦しくて悲しくて、つらい、そんな感情ばかり溢れた。

離れて暮らしていて、東京での研修も決まっていて

しんどそうならむのそばにいたいのに、いられない現実が憎くて仕方なかった。


東京にいたある日、もうだめかもと母から連絡があり

すぐに新幹線に乗って実家に帰った。

わたしが戻ってから、少しだけ復活して一緒に寝て、夜中はらむが起きるたびに

わたしも一緒に起きて寄り添った。

東京に戻る朝、酷だけどこれがもう最後かもしれないね、と母に言われて

泣きながら東京に戻った。


毎日、らむが弱っていく姿を画面越しにしか見れなくて

仕事なんて辞めてそっちに帰りたいと何度も思った。

有難いことに職場は探せば引く手数多ある資格を持ってる。


もっと早く、辞めて帰るという選択をすればよかった。

だいすきで大切な家族への大事な決断で優先順位を見誤ってしまった。

帰ろう、と決めた日には手遅れだった。


「らむ、眠っちゃった」

弟から泣きながら電話がかかってきた。


らむも、母も弟も、普段はらむに無関心そうなあいもずっと寄り添ってたのに

みんなが苦しいときにわたしはそばにいれなくてごめんね。


10年間、だいすきなときしかなくて

寝てるときにちょっとでも触ると噛み付いて怒る神経質なところも

ソファに腰掛けておんぶする?というと背中に飛び乗るところも

わたしが寝てると足の間に入ってくるところも

寝巻きのスパッツを赤ちゃんみたいにガジガジして穴開けてくるところも

写真撮るときはちゃんとこっち見てくれるところも

らむー!って呼んでも無視してくるところも

肩にあご乗せてくるところも

あいがいないと歩きませんってお散歩拒否してくるところも

ぜんぶぜんぶだいすきだよ。


わたしがつらいときは、いつもそばにいてくれたのに

らむがつらいときは、そばにいてあげられなくてごめんね。


10年間、いっぱい幸せをくれてありがとう。

またね。





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