なんで理系の仕事をしないの?に答えられない
現職は福祉系の事務員。
表題の質問は、私が理系だということを打ち明けると95%くらいの人がしてくれるものだ。
そもそも福祉系は文系理系とは違う軸な気もするけれど。
社内では珍しく感じるのかもしれないし、専門をいかした仕事をしたほうが儲かるのに、ということかもしれない。
そのシンプルかつ、ごもっともな質問に
整然と答えるのは困難だ。
色々な経験や思考が絡み合い過ぎて
どの角度から話しても不十分で
相手は「?」という表情になる。
私自身、満足な回答ができないことにモヤモヤする。
たぶん必然ではなかったと思う。
色々な岐路で正解や不正解を選び
選ばないという選択もして
結果的に行き着いたのがここだったのだろう。
そもそも皆は進路や専攻を選ぶとき、将来の仕事のことを考慮していたのか。そうだとしたら尊敬する。
仕事を求めたとき、もう23歳になっていたけれど、私は福祉とそれを支える人々に関心を持ったし、これまで耐えていただけの学問を続けたくなかった。そこを深掘りすると迷宮入りしてしまう。
だから「どうしてこの仕事しているの?」「専門はもういいの?」と質問されると、少しきまりが悪くなってしまう。自分は福祉業界がいいと思った一方で、不得意から逃げたような敗北感もある。収入に希望を持ちづらい。専攻分野で仕事をしている人を羨望の眼差しで見てしまうのも事実だ。
過去に1人だけ、例の質問と反対のことを言ってくれる人がいた。
元指導教員(生物学者)である。
「福祉に興味を持つのはあなたらしいです。頑張って。」
ありがたくて、私は一生忘れない。