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「ADHDですと面接で言う? 言わない?就職・転職時の自己申告に悩むあなたへ贈る“ゆる~い”実践記と考え方」
「面接でADHDだと伝えるべきか、それとも黙っておくべきか
どっちがいいんだろう……」
こんなふうに迷っている人って、実は少なくありませんよね。
私の友人Sさん(仮名)も、ADHDの特性があって転職のたびに「言うと落とされるかな」「でも黙ってると後で苦しいかも…」と悩み続けていました。
一方で、別の友人は「堂々と言ったら意外と理解のある会社だった!」なんてパターンもあって、正解が見えにくいのが実情です。
この記事では、そんな就職・転職面接での自己申告について、「どう判断すればいいの?」「言うメリットとデメリットは?」といった話を、ドラマ的な体験談とともにゆる~くまとめてみます。
ADHDだからこそ面接時に苦労してしまう方が、少しでも方向性を見つけられたら嬉しいです。
序章:友人Sさんのドラマ――「黙っておくのが正解? いや言う勇気もある?」
友人Sさんは、前の会社でADHDの特性ゆえに書類ミスや遅刻が重なり、結局退職。
次に面接を受けるとき、彼女は「今度こそ言うべきかな…?」と頭を悩ませていました。
黙って採用されても、後でトラブルが起きるのが怖い
でも“ADHDです”と伝えたら面接で落とされるかもしれない
このジレンマで、Sさんは夜も眠れず、何社かの面接を見送ってしまったほど。
最終的に、ある会社の面接では「実は私、発達障害の診断を受けてまして…」と勇気を出して言ってみたら、面接官が「うちの会社は配慮できるので大丈夫ですよ」と意外と穏やかに受け止めてくれた、というハッピーエンドがあったそう。
でも、「そういう会社ばかりじゃないから、タイミングとか見極めが難しすぎる…」と彼女は今でも言っています。
では、実際に自己申告のメリット・デメリット、申告を選ぶかどうかの判断材料、伝え方のコツなどをもう少し詳しく見ていきましょう。
1.ADHDを面接で伝えるメリット・デメリットは?
1-1.メリット:配慮を得られる可能性がある
職場が先に特性を把握してくれる
→「数字チェックが苦手ならダブルチェック体制にしよう」「会議中に録音OK」などの配慮が期待できるかも。面接官に正直に話せるので、入社後のミスマッチが減る
→後から「実はこういう特性があって…」と言い出すより、最初から伝えたほうがスムーズに話が進む場合がある。障害者雇用枠を利用できる(診断書や手帳がある場合)
→一般枠より企業の理解が深い可能性が高く、就労支援や配置転換などを柔軟にしてもらえる。
体験談:Sさんの成功例
Sさんは、あるIT企業で面接時に「私、集中力に波があって…ただ過集中もあるので、適度に休憩を入れてもらえればパフォーマンスを維持できるかもしれません」と伝えてみた。
相手は「うちはフレックス制で在宅もOKだし、あなたのやり方で成果を出せるなら大丈夫」と意外にも好感触。
実際に入社後は在宅メインで働けて、ADHDの特性がうまく噛み合って定着できたんですって。
1-2.デメリット:落とされるリスクや偏見を持たれる可能性
偏見のある面接官に当たると、「なんか面倒そう」「ミスが多いならダメだろう」と心の中でNGを出されるかも。
まだ社内に理解がない企業だと、「配慮って何するの?」と困惑され、結局不採用となる例も。
一般枠で応募するときに言う場合、企業が「うーん、うちには難しいかも」と判断してしまうことがある(障害者雇用枠に回されるとか、そもそも不採用とか)。
切ない例:別の友人Rさんの場合
Rさんは、「私ADHDなんです、ミスが多いです」と正直に言いすぎたら、面接中に面接官が明らかに引いてしまって、最終的に「弊社では難しいかな…」と不採用に。
「やっぱ言わなきゃ良かったのかな…」と落ち込み、次の面接では逆に黙っていたけど、それはそれで「入ってから大変だった」と嘆いていました。
2.面接でADHDを伝えるべきかどうか、判断材料は?
ここでは、自己申告をする・しないを判断する際のポイントをいくつか挙げます。
絶対の正解はないので、“自分の状況に合った選択”を考えてみてください。
2-1.自分の特性や配慮が必要な部分を明確に
まずは「ADHDのどんな特性で困るのか」「職場にどう配慮してほしいのか」を自分で整理してみる。
数字のチェックが苦手だから、誰かのダブルチェックが欲しい
朝が苦手だから、フレックスか在宅メインがありがたい
雑音に弱いから、イヤホン使用OKだと助かる
こうやって具体的に“欲しい配慮”が分かれば、それを面接時に伝えやすい。
逆に、ぼんやりと「ADHDなんです…」と言うだけだと、面接官にも「で、どう配慮すれば?」と困られるかもしれません。
2-2.企業の雰囲気や募集要項をチェック
障害者雇用枠を積極的に出している企業なら、面接で特性を伝えても問題ないどころか歓迎される場合が多い。
一般枠応募で「正確性第一」「マルチタスク必須」みたいな会社だと、あえて言うと不利になる可能性大。
ホームページや口コミなどで社風をチェックし、柔軟な働き方が認められる会社なら話しても良いかもしれない。
友人Sさんの企業選定
SさんはIT企業の求人を見つけたとき、「フレックス制」「在宅勤務OK」「多様な働き方を尊重」などのキーワードに惹かれ、これは言っても大丈夫かも…と思ったそう。
結果的にそれが当たっており、面接官が「うちは個人の特性に合わせて働き方を調整できるから」と理解を示してくれたとのこと。
2-3.自分の“開示するリスク”に耐えられるかを考える
言って落とされるリスクを受け止められるなら、正直に言ったほうが後々ラクかもしれない。
言わずに入社してから苦しむリスクもある。「こんなにミスが出るなら最初から言って欲しかった」と言われる可能性も。
つまり、自分がどちらを選んでも“リスクはある”ということ。
「どのリスクが自分にとってより許容できるか」を考えてみると、答えに近づきやすいです。
3.言うと決めたなら、どう伝えればいい? 伝え方のコツ
もし面接でADHDを伝えると決めた場合、どんな言い方をすればいいのか悩む人は多いですよね。
3-1.「こういう特性があって、こう配慮してもらえれば大丈夫」と具体的に
面接官からしたら、「ADHDなんです…」だけ言われても「どう配慮すればいいの?」となりがち。
だから、あえて具体的な成功例や希望する配慮を伝えるのがおすすめ。
たとえば…
成功例: 「前職では、数字チェックを二重体制にしてもらい、最終ミスが減りました」
配慮: 「雑音が苦手なので、イヤホンを使えたり、少し静かな席を提供してもらえるとパフォーマンスが上がると思います」
自己PR: 「ただ、一度集中モードに入ると成果を出せるタイプなので、過集中が仕事に活かせる場面もあるかもしれません」
こう言えば、「なるほど、それなら会社として配慮しやすいね」と思ってもらえる可能性が高まります。
3-2.診断書や精神障害者保健福祉手帳がある場合
障害者雇用枠で応募する場合、「手帳があります」と言えば企業としても障害者枠の採用メリットがあるし、配慮義務も意識してもらえます。
ただし、手帳なしでも雇ってくれる企業はあるし、診断書をどう使うかは人それぞれ。
「手帳を取得したくない」「一般枠で勝負したい」という人もいるので、これはあくまで選択肢の一つ。
3-3.ポジティブに捉えるメッセージを添える
「ADHDなんです…」とネガティブ全開で語ると、面接官は不安に思うかもしれません。
一方、「確かにミスは出やすいけど、例えばこんな工夫で克服してきました」といったポジティブな面を伝えると、面接官の印象が変わるはず。
「こういう配慮があればむしろ力を発揮できます」という未来志向の姿勢を見せるのもポイントですね。
4.言わないと決めるのも、もちろんアリ
一方で、「会社が絶対理解ないし、言ったら落とされる確率が高すぎる…」「自分でカバーできる範囲だから隠したい」という場合、言わないのも立派な選択肢です。
4-1.面接を突破してから、入社後に少しずつ伝える方法
「面接時に言わなかったけど、入社後に少しずつ上司や同僚に『実はこういうところが苦手で…』と打ち明ける」パターンもありますよね。
最初にカミングアウトするより、「会社の雰囲気を見て、配慮を得られそうなときに段階的に話す」ほうが安心できる場合もある。
4-2.ミスを最小限にするための対策を自己完結できるなら、わざわざ言わなくてもいい
もし自分でタイマー管理や工夫をして、特に周囲の特別な配慮がなくても問題なく働ける程度のADHD特性なら、無理に言う必要はないかもしれません。
言うとどうしても偏見を持たれるリスクもあるので、あえて隠しておく人は多いです。
4-3.ただし入社後にしんどい場面が多いなら、早めに周りに相談を
もし「やっぱり無理だ」と感じたら、早めに上司や同僚に「こういうところが苦手です」と軽く打ち明けてみると意外と協力してもらえることも。
「どうして言わなかったの!」と責める人もいれば、「教えてくれて良かった」となる人もいる。
職場や人間関係次第ですが、あまりに苦しむくらいなら一度トライしてみる価値はあるでしょう。
5.合わない会社ばかりじゃない――理解のある職場もあるかも?
「ADHDって言ったら100%落とされる」と思い込んでる人もいますが、社会の変化もあって理解を示す企業が増えているのも事実です。
特に大企業や外資系、IT系などフレキシブルな働き方を推奨している会社は、面接で特性を伝えても「大丈夫ですよ、そこは調整しましょう」と言ってくれるところもあります。
5-1.就労支援やカウンセリングを利用して会社探し
ADHDの特性を持つ人向けに、就労支援センターや発達障害者支援センターが求人情報を持っている場合があります。
そこで「こんな特性があるけど、こういう仕事がしたい」と相談すれば、理解のある企業を紹介してもらえたり、面接の時にどう話すかアドバイスをもらえたりするかもしれません。
5-2.体験談:別の友人Tさんの場合
Tさんは書類作成が苦手だけど、プログラミングは得意というタイプ。
就労支援で「自宅勤務メインのIT企業」を紹介してもらい、面接時に「実はADHDの診断を受けてますが、コードを書くことには集中力を発揮できます」と正直に言ったところ、「じゃあ在宅でOKだし、ミーティングは週1回でいいよ」とあっさり採用に。
面接の段階で言ったからこそ、後で困ることなく働けたという成功例ですね。
6.まとめ:ADHDを面接で伝えるかどうか、最終的には自分の選択とリスク管理
伝えるメリット
初めから配慮を得られ、入社後のミスマッチが減る
障害者雇用枠を活用できる場合、サポート体制が期待できる
伝えるデメリット
偏見や不安を与えて不採用になる可能性
企業側が理解不足だと「面倒な人」と思われてしまう
言わないメリット
採用率を下げずに済む
特性を自己対策できるなら問題なし
言わないデメリット
入社後に苦労しても配慮を得にくい
後でカミングアウトしづらい場合もある
最終的には、「自分が欲しい配慮と、その会社の雰囲気や働き方」を考慮しながら、「言うリスク」と「言わないリスク」を比較することが大切。
ADHDの人全員に共通の正解はないので、自分に合った判断をするしかありません。
おわりに――「ADHDを面接で打ち明けるか迷うなら、まずは小さく情報収集を!」
ADHDがあるからといって、面接で必ず申告しなきゃいけないわけではないですし、逆に隠し通して入社することが悪いわけでもない。
ただ、それによって得られるメリットとデメリットがあるのは事実。
もし「正直に言った方が後々ラクだろうな」と思えるなら、なるべく具体的に「ここが苦手で、こう配慮してもらえれば大丈夫」という形で伝えるのがおすすめです。
企業の中には、「それなら○○という体制を整えましょう」と前向きに応じてくれるところも増えています。
一方、「うちの会社は忙しすぎて無理」「上司が理解を示さなそう」な雰囲気を感じるなら、まずは面接を突破してから少しずつ特性を伝える方法もアリかもしれません。
完全に言わずに済むならそれでもいいし、実際に働き始めてから様子を見て相談する道もありますよね。
なにより、自分が本当に必要とする職場環境や配慮について具体的に理解しておくことが大事。
どうせ言うなら、その特性をカバーする工夫を一緒に提示すれば、面接官も「なるほど、そこはこうすればいいのね」と納得しやすいはず。
「ADHDだから採用されない」わけじゃありません。
実際に採用された人もたくさんいるし、むしろ特性を活かせる仕事なら大きく力を発揮できる可能性も。
大切なのは、自分の苦手と得意を把握して、会社がそこにどう対応できるかを話し合う姿勢を面接で見せること。
あなたに合った職場がきっとあるはずなので、焦らず情報収集や支援機関の活用をしながら、“自分に合う道”を探してみてください。
私も何度も「こんな私、採用してくれる会社なんてあるんだろうか」と思ったことがありますが、意外と世の中は広くて、理解のある企業や上司がいるものだと実感しています。
どうか「ADHDを面接で言うか否か」で悩みすぎず、まずは小さく調べてみる・周囲に相談してみるところから動いてみてくださいね。
応援しています。