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【時事】能登半島地震初動対応 情報整理

2024年1月6日時点のまとめ。勿論、膨大な情報は網羅出来ないので、少し絞ってのお話にはなります。足りない情報はたくさんありまして、交通網の復旧、ライフラインの復旧、医療体制、迷惑系Youtuber、海外からの金銭的援助、自販機のデマなど、さすがに書ききれません。

政府、自治体、各省庁、各団体の動きがメインになります。

01. 地震の概要

発生時刻は1月1日16時10分頃です。マグニチュード7.6、最大震度7という巨大な地震です。ただ、この4分前に震度5の地震が起きています。

災害対策本部会議資料

02. 時系列(官邸・各省庁・自治体・自衛隊)

各省庁ごとにサイトが分かれてて、縦断は出来るものの横断が出来ないなぁと思ったので、総合的に把握出来たらいいなぁと思って作りました。色んな組織が動いているので、絶対に網羅できていない箇所が出てくると思います。「この組織も頑張ってるのに、書かないなんてひどい」という場合はお知らせください。ご指摘は歓迎です。

あと、今回の件まで私も不勉強で知らなかったんですけど、先に医療関連の言葉で「DMAT」というチームが出てきます。語句解説。

【語句解説】DMAT(災害派遣医療チーム)
災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームのこと。Disaster Medical Assistance Team を略し「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。

こういう活動は、門外漢がなかなか知る機会がないので(いや、まあ、私が不勉強なだけではありますが)知ることが出来てよかったです。今回は震度7なので全国規模で出動待機 / 出動がなされたとの事。頭が下がります。

今回の初動記事は1月5日までの記載にしておりますが、1/6に3次隊、1/8に4次隊が動くとの事。情報ご提供くださったエルメスさんに感謝。

また、自衛隊さん及び消防の皆さんのご活躍は少しわかりやすく引用(色が変わっている箇所)にて紹介しています。膨大なので、一部省略させていただきました、ごめんなさい。


02-1. 1月1日の動き

※地震の回数が多く、すべて掲載すると膨大なので初期2回のみ掲載。ご確認されたい方は気象庁のサイトでおねがいします。

16:06 石川県で震度5強の揺れ
16:06 総務省消防:消防庁災害対策本部を設置
16:06 石川県  :災害対策本部設置
16:08 総務部消防:石川県に対し適切な対応及び被害報告について要請
16:10 石川県で震度7の揺れ
16:10 新潟県  :災害対策本部設置
16:10 富山県  :災害対策本部設置
16:10 総務省消防:消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部へ改組
16:11 総理官邸 :官邸対策室設置
16:15 総理官邸 :石川県を震源とする地震に関する総理指示
16:22 山形県  :災害対策本部設置
16:30 防衛省  :第2航空団(千歳)航空機2機による航空偵察
16:45 石川県  :馳知事より自衛隊に災害派遣要請
16:45 防衛省  :馳知事からの陸自第10師団長(守山)要請受諾
17:06 総理官邸 :官房長官記者会見(1)
17:09 石川県  :馳知事が官邸入り
17:16 総理官邸 :岸田総理が官邸入り
17:17 総理官邸 :岸田総理、報道各社インタビュー
17:19 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
18:25 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
17:30 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
17:32 石川県  :富山県防災ヘリにより、情報収集等の活動を実施
18:00 国土交通省:被害と対応について(第1報)
18:08 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
18:30 石川県  :第01回災害対策本部員会議
18:35 総務省消防:京都市消防局ヘリの指揮支援隊、石川県に向かう
18:56 総務省消防:名古屋市消防局ヘリの統括指揮支援隊、石川県に向かう
18:58 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
19:02 総理官邸 :官房長官記者会見(2)
19:03 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
19:15 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
19:25 総務省消防:大阪市消防局ヘリの指揮支援隊が石川県に向かう
19:30 国土交通省:被害と対応について(第2報)
20:00 新潟県  :第2回災害対策本部会議
20:00 内閣府防災:特定災害対策本部会議第1回
20:30 国土交通省:被害と対応について(第3報)
22:00 内閣府防災:災害救助法の適用について発表
23:00 国土交通省:被害と対応について(第4報)
23:36 総理官邸 :総理会見(1)
23:45 石川県  :第02回災害対策本部員会議
不明  DMAT   :石川県庁にてDMAT派遣要請

【自衛隊】1月1日 防衛省救助・支援活動
海自舞鶴地方隊の護衛艦せとぎり、せんだい、および多用途支援艦ひうちが災害救援物資(毛布、紙おむつ、ミルク)を搭載し、輸送

防衛省WEB

※一応念のために…災害対策本部は自動設置になります。誤解のないよう…


02-2. 1月2日の動き

01:00 総務省消防:消防庁長官、新潟県水上小隊に対し出動指示
04:44 総務省消防:大阪市消防局、指揮支援隊を被災市町村へ人員輸送※1
04:44 総務省消防:京都市消防局、指揮支援隊を被災市町村へ人員輸送※2
04:44 総務省消防:新潟市消防局、指揮支援隊を被災市町村へ人員輸送※3
05:00 総務省消防:消防庁長官、複数の都道府県及び市に対し出動指示
05:30 総務省消防:消防庁長官から川崎市航空小隊に対して出動の指示
07:00 国土交通省:被害と対応について(第5報)
07:06 石川県  :石川県防災ヘリにて情報収集実施
09:00 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
09:12 総理官邸 :岸田総理、馳石川県知事、古賀篤内閣府副大臣と電話
09:23 総理官邸 :第1回非常災害対策本部会議
09:45 石川県  :第03回災害対策本部員会議
10:12 総理官邸 :総理会見(2
11:00 新潟県  :第3回災害対策本部会議
11:14 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
12:00 国土交通省:被害と対応について(第6報)
14:00 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
14:05 石川県  :石川県防災ヘリにて救急活動(1名)
14:15 総理官邸 :馳知事、泉谷珠洲市長、古賀副大臣らとTV会議
15:33 総理官邸 :輪島市の坂口市長との電話
15:38 総理官邸 :官房長官記者会見(3)
16:00 新潟県  :第4回災害対策本部会議
16:00 国土交通省:被害と対応について(第7報)
18:00 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
16:30 石川県  :第04回災害対策本部員会議
19:09 台湾政府 :蔡英文総統が支援の意思をX上でポスト
20:08 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
20:46 総理官邸 :報道各社のインタビュー
23:00 石川県  :第05回災害対策本部会議
不明  総務部消防:東京消防庁ヘリコプター等で職員10人を石川県に派遣
不明  DMAT   :DMAT1次隊、活動開始

【自衛隊】1月2日 防衛省救助・支援活動
06:27 陸自航空隊CH-47、 警察の広域応援部隊約200名輸送
07:48 空自輪島分屯基地隊員が要救助者1名を救助
07:50 陸自第14普通科連隊、 穴水町城山地域にて給水支援
08:30 空自小松救難隊UH-60×1機が要救助者2名移送
09:05 陸自第14普通科連隊、 七尾市体育館にて給水支援
09:42 海自護衛艦 あさぎり、消防広域応援部隊約40名輸送
10:40 統合任務部隊(JTF)編成(陸海空約10,000名)
12:38 空自小松救難隊UH-60×2機が要救助者48名移送
15:00 海自輸送艦おおすみ、呉を出港し重機等の輸送

防衛省WEB

【消防】1月2日 総務省消防庁救助・支援活動
08:06 名古屋市消防局ヘリにて医師4名搬送、人員7名輸送、資機材搬送
08:55 大阪市消防局ヘリにて救急活動及び人員4名搬送
09:27 三重県防災ヘリにて情報収集及び救急活動
10:58 群馬県防災ヘリにて救急活動
12:35 川崎市消防局の消防ヘリにより人員5名輸送
12:56 岐阜県大隊が能登町で救助活動開始
13:35 新潟県大隊が能登町で救助活動開始
13:40 東京消防庁の消防ヘリにより人員16名輸送
14:00 大阪府大隊が輪島市で救助活動を開始
他多数

総務省消防庁WEB

02-3. 1月3日の動き

07:07 石川県  :石川県防災ヘリにて救急活動(5名)
08:00 国土交通省:被害と対応について(第8報)
09:12 総理官邸 :馳浩石川県知事、古賀篤内閣府副大臣と電話
09:23 総理官邸 :能登半島地震非常災害対策本部会議
09:30 石川県  :第06回災害対策本部員会議
09:45 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
10:00 総理官邸 :第2回非常災害対策本部会議
10:10 総理官邸 :能登半島地震非常災害対策本部会議
10:09 石川県  :石川県防災ヘリにて救急活動(1名)
11:12 総理官邸 :総理会見(3)
11:30 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
14:00 台湾政府 :捜索救助隊の待機を解除(経緯は後述)
14:30 国土交通省:被害と対応について(第9報)
14:56 総理官邸 :官房長官記者会見(4)
15:00 新潟県  :第5回災害対策本部会議
16:28 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防衛大臣他と面会
17:00 総理官邸 :能登半島地震の被災自治体首長とテレビ会議
17:36 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
18:00 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
18:00 石川県  :第07回災害対策本部員会議
19:21 総理官邸 :報道各社のインタビュー
不明  総務省消防:消防庁職員1人を石川県輪島市役所に派遣

【自衛隊】1月3日 防衛省救助・支援活動
人命救助活動
・空自人員捜索犬4頭による捜索活動
・陸自第14普通科連隊が珠洲市狼煙町にて2名を救助、珠洲病院へ搬送
・空自新潟救難隊UH-60×1機が患者等6名を金沢駐屯地へ搬送
・他多数
輸送支援活動
・陸自中部方面航空隊のUH-1により輪島市役所へ水175Lの輸送実施
・護衛艦すずなみ搭載のSH-60、災害救助物品輸送実施
・護衛艦あさぎり搭載のSH-60、消防官約40名を野々江総合公園へ輸送
・他多数
給水支援活動
・珠洲市、志賀町、能登町、穴水町、七尾市にて給水支援活動を実施
道路啓開活動
・県道1号、52号及び57号にて陸自普通科が道路啓開活動を実施
情報収集活動
・海自第3航空隊のP-1により被害情報収集活動を実施

防衛省WEB

【消防】1月3日 総務省消防庁救助・支援活動
06:00 大阪府大隊が輪島市で救助活動を実施
07:55 富山県防災ヘリにより救助活動を実施
08:00 福井県大隊が珠洲市で救助活動を実施
08:16 愛知県大隊が輪島市で救急活動を実施
09:00 滋賀県大隊が珠洲市で救助活動を実施
09:06 三重県防災ヘリにより救助活動を実施
09:15 京都府大隊が珠洲市で救助活動を実施
他多数

総務省消防庁WEB

02-4. 1月4日の動き

07:00 国土交通省:被害と対応について(第10報)
09:30 石川県  :第08回災害対策本部員会議
09:55 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
10:22 総理官邸 :第3回非常災害対策本部会議
11:44 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
11:50 総理官邸 :総理会見(4)
14:30 国土交通省:被害と対応について(第11報)
15:00 新潟県  :第6回災害対策本部会議
17:30 総理官邸 :岸田総理、官房長官や防災担当大臣他と面会
17:40 石川県  :第09回災害対策本部員会議
18:30 国土交通省:被害と対応について(第12報)
不明  総務省消防:職員1人を奥能登広域圏事務組合消防本部に派遣
不明  DMAT   :DMAT2次隊、活動開始

【自衛隊】1月4日 防衛省救助・支援活動
 人命救助活動

・空自人員捜索犬が市内3箇所において捜索活動を実施
・陸自CH-47機、患者6名を金沢駐屯地まで搬送
・陸自第35普通科連隊が輪島市で要救助者26名発見、内16名搬送
・他多数
輸送支援活動
・陸自CH-47機及び第36普通科連隊の車両によりプッシュ型支援実施
・護衛艦ありあけが物資輸送実施。
・海自のエアクッション艇(LCAC)大川浜へ救援物資搬送
・他多数
給水支援活動
・珠洲市、志賀町、能登町、穴水町、七尾市において給水支援活動を実施
給食支援活動
・陸自中部方面後方支援隊が輪島市にて、調理場開設し給食支援を実施
・空自第6航空団が七尾市中島小学校にて給食支援を実施
・空自第6航空団が中島コミュニティセンターにて給食支援を実施

防衛省WEB

【消防】1月4日 総務省消防庁救助・支援活動
07:37 京都市消防局の消防ヘリにより救助及び救急活動を実施
07:48 埼玉県防災ヘリにより救助活動を実施
08:25 兵庫県防災ヘリにより救助及び救急活動を実施
08:37 富山県防災ヘリにより救助活動を実施
08:38 横浜市消防局ヘリにより人員15名輸送及び救急活動
08:50 大阪市消防局ヘリにより人5名員輸送、医師3名搬送及び 救急活動
13:07 和歌山県大隊が能登町で救急活動を実施
他多数

総務省消防庁WEB

02-5. 1月5日の動き

07:30 国土交通省:被害状況発表
10:00 石川県  :第10回災害対策本部員会議
10:03 総理官邸 :第4回非常災害対策本部会議
11:00 総理官邸 :官房長官記者会見(5)
11:35 防衛省  :防衛大臣臨時記者会見
13:51 総理官邸 :総理会見(5)
15:55 石川県  :石川県防災ヘリにて物資輸送を実施
16:00 石川県  :第11回災害対策本部員会議
不明  総務省消防:職員2人を小松空港に派遣

【自衛隊】1月5日 防衛省救助・支援活動
 人命救助活動

・陸自第14普通科連隊、道の駅珠洲塩浜にて要救助者5名発見
・陸自中部方面航空隊UH-1機、門前西円山から孤立者7名搬送
・空自小松救難隊UH-60機、町野町から患者2名搬送
・他多数
道路啓開活動
・陸自第4施設団が珠洲市等において道路啓開を実施
輸送支援活動
・護衛艦ありあけ、及びすずなみ搭載SH-60延べ9機、輪島市内へ物資輸送
・陸自中部方面航空隊CH-47延べ5機、珠洲市内及び輪島市内へ物資輸送
・陸自中部方面航空隊CH-47延べ2機、輪島分屯基地へ消防50名輸送
・空自入間ヘリコプター空輸隊CH-47延べ2機、輪島市内へ物資輸送
給水支援活動
・珠洲市、輪島市、志賀町、能登町、穴水町、七尾市において給水支援活動
給食支援活動
・輪島市、七尾市、氷見市において給食支援活動を実施

防衛省WEB

【消防】1月5日 総務省消防庁救助・支援活動
06:00 愛知県大隊が志賀町において救急活動
07:25 和歌山県防災ヘリにより救助活動
07:30 岐阜県大隊が志賀町において救急活動
08:05 消防庁長官から浜松市(航空小隊)に対して出動指示
08:10 大阪市消防局の消防ヘリにより救急活動を実施
08:40 横浜市消防局の消防ヘリにより人員13名輸送
09:08 消防庁長官から福井県(航空指揮支援)に対して出動指示
他多数

総務省消防庁WEB

03. 災害対策基本法について

災害対策基本法では、各種災害に対し「予防」「応急」「復旧・復興」の段階ごとに整理されています。インシデントが「起きる前」「最中」「起きた後」の3段階ですね。ここの細かい説明は割愛。お時間がある方はお調べください。ここに書ききれない大事な事がたくさん記載されています。
(※今回は能登半島地震についての、各組織の初動についてですので少し照準を狭くして取り上げています。ご了承ください)


03-1. 災害対策基本法を確認してみましょう

どんな時に、誰が主体で動くのがルールなのか、誤解が多いので確認しておいた方がいいと思います。

どんな時に?
下記の災害が起きた時にです。災害にも2種類あります。今回は自然災害で地震や津波があるので、当然この法の出番となります。
01.自然災害:暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑り、その他の異常な自然現象
02.自然災害ではないもの:大規模な火事や爆発、その他これらに類するもの

誰が主体で?
国も当然動くのですが、現場対応は「まず自治体」が動きます。少しかみ砕いて、国・自治体・国民の「やるべき事」をピックアップしましょう。

災害対策基本法 抜粋

国の責務
防災から復旧までの全体の計画を作成し、実施するんですが、注意すべきは「地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行ない」の箇所。特に広域にまたがるような規模で、指揮命令の系統がバラバラだと統率が取れなくなりますよね。国はいわば指揮官ポジション。野球で言うと監督やフロント。

都道府県の責務・市町村の責務
災害対策基本法の第36条第1項では、指定行政機関の長や指定公共機関が「防災業務計画」を作成するよう規定しています。地域により想定される災害が違うので、自治体ごとに細かく策定されるのかなと。例えば沖縄のように台風災害が多い地域、内陸で津波の心配がない地域、地震が多い地域と少ない地域など、都道府県ごとに「取るべき対策」が違ってきますよね。
「区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行う」です。現場レベルでは自治体がファーストで動きます。野球で言うと、選手側です。


03-2. 災害対策基本法は毎年改正されている

我が国は災害大国なので、毎年どこかしらの地域で地震や台風や豪雨災害が起きています。被害を少なくするために、各省庁や機関の連携をシームレスに行うために、復興のために、少しずつ少しずつ「過去よりいい形になるように」UPDATEされています。

災害対策基本法の変遷(令和元年以降)

03-3. 何故、総理はすぐに現地入りしない?

総理大臣の責務は総責任者です。これは令和3年の法改正によるもの。政府が特定災害対策本部を格上げして非常災害対策本部(本部長=首相)となりました。例えば石川県に移動していて、そこにかかりっきりになると自衛隊からの相談に答えられないです。自衛隊にかかりっきりになると、今度は消防の相談が入る。分刻みであれもこれも調整するのを考えたら、現地入りの必要性の有無はわかってくるかな、と。

「山本太郎はすぐに現地入りするのに!」という方も散見されますが、山本太郎は総監督ではないから…というか、現地自治体が「来ないでくれ」と発信してて、訪問を止められても行く人ですし…


03-4. 過去の総理の現地入り

振り返ってみましょう。いくつかピックアップ。

【東日本大震災2011】 災害発生:3月11日 総理の現地入り:3月12日
ご本人のサイトがありましたので、掲載しておきます。ご本人への苦情は私は承りかねますのでご容赦願います。

【熊本地震2016】 災害発生:4月14日 総理の現地入り:4月23日
すぐに総理が現地に行かない事で「現場の負担が軽くなる」を端的にわかりやすく記載しているのが下記の記事だと思います。以下引用。

小川(陸) 安倍元総理が、災害対策本部長として指揮をとられた2016年の熊本地震。(中略)あのとき、安倍元総理が立てた方針で、現場の人間として非常に助かったと思ったことが大きく2つあります。第一に、安倍元総理は対策本部を中央と熊本地域の両方に出したうえで、大臣や国会議員の現地入りを「1週間は現地に入るな」と制限しました。
桜林 皆さん、ちょこちょこ行きますからね。
小川(陸) 大臣が来るとなると、そのための交通統制であるとか、災害派遣を途中でやめてブリーフィングの準備をするとか、どうしても受け入れの準備が必要になり、派遣活動に100%専念することはやや難しくなります。安倍元総理に彼らの現地入りを制限していただいたおかげで、そういうことにまったく意を払うことなく、災害派遣に完全に専念することができました。実際、安倍元総理が視察に来られたのも1週間が経ってからです。

NEWS CRUNCH

【九州北部豪雨 2023】災害発生:7月10日 総理現地入り:7月27日
これもしばらく経過してからの訪問です。ただ、総理が現地入りしなくても「激甚認定」は過去の災害よりも早かったことについては留意する必要がありますね。この時は国内で指示を飛ばして、EU外遊。帰国後早い段階で激甚指定していました。


04. 台湾の応援打診の件

これは「日本語読解力の問題ではないか」と考えます。「断った」と「ニーズがないことを確認した」は違うと思うのですがね。

「喉乾いていませんか?お茶飲みます?」と聞かれて「喉が渇いてないから大丈夫だよ」と答えるのと「飲まない、断る!」と答えるのは全然ニュアンスが異なります。0か100かではなく、言葉にはグラデーションがあります。


04-1. フォーカス台湾のニュース

台湾側から人的支援の打診がありました。以下引用。

(台北中央社)内政部(内務省)消防署は3日、石川県能登地方を震源とする地震の発生を受けて派遣の準備をしていた捜索救助隊について、同日午後2時に待機を解除したと発表した。災害の範囲が広がっておらず、外交部(外務省)が日本側に連絡をしたところ、支援のニーズがないことを確認したとしている。
同署は1日夜までに160人規模の救助隊の派遣準備を完了させていた。

フォーカス台湾

04-2. 誤情報発信

いくつかピックアップして掲載いたします。
小坂英二荒川区議のポスト
ZAKZAK 有本香の以読制毒
百田尚樹チャンネル
てつや氏のポスト
門田隆将氏のポスト
おそらく探せばかなり出てくるのではないかと思います。


04-3.岸田総理の訂正

中国も米国も、その他G7諸国も「一律で」人的支援を受け入れていないので、中国云々、台湾云々ではないようです。


04-4. 台湾側の訂正

台日間の調整の事実とは合致せず、公平性を欠いている」という事のようです。誤情報が国益を棄損する場合も往々にしてある訳で、上記各位には慎重な発言をお願いしたいなと思います。

(台北中央社)
能登半島地震で、内政部(内務省)消防署が被災地への派遣を準備していた救助隊の待機を解除したとの報道を巡り、インターネット上の一部で「日本が台湾を断った」とする言説が飛び交っている。これに関し、外交部(外務省)の劉永健(りゅうえいけん)報道官は4日、「台湾を断った」との言い方は「台日間の調整の事実とは合致せず、公平性を欠いている」とし、日本政府からは台湾の申し出に対して感謝が表明されたと明らかにした。

フォーカス台湾

在日米軍についても色々言説が飛び交いましたが「あれは日本国内に元々存在するんですよ」で終わりかな。


05. 1月5日の総理の動きについて

年始恒例の「あいさつ回り」「新年会」についても少し誤解が多いようです。確認してまいりましょう。

05-1.動静確認

午前は官邸内なので午後のみピックアップ。「震災なのに宴会に出席かよ」という批判は少々現実と乖離しているのではないでしょうか?

13時51分 報道各社のインタビュー
(移動1)
14時07分 ホテルニューオータニ鶴の間、経済3団体共催新年会に出席
(移動2)
14時28分 国会
15時01分 与野党党首会談
(移動3)
16時14分 アートホテル日暮里ラングウッド「ラングウッドホール」で連合の新年互礼会に出席
(移動4)
16時55分 東京・内幸町の帝国ホテル
17時00分 エマニュエル駐日米大使面会
17時07分、同ホテル内「富士の間」で時事通信社、内外情勢調査会など主催の新年互礼会に出席
(移動5)
17時24分 官邸
18時08分 林官房長官、松村防災担当相他と面会
19時08分 報道各社のインタビュー
19時16分 公邸

東京新聞

「挨拶して、少しだけお話して退席。その後すぐ移動」なのがお分かりいただけるのではないかと思います。少なくともお酒を飲んでわいわい歓談するようなスケジュールではないですよね。

05-2.経済界の反応

では、その新年会の様子確認。おそらく皆さんの想像と違います。

経団連と日本商工会議所、それに経済同友会の経済3団体のことしの新年祝賀会は、能登半島地震や羽田空港で起きた事故を受けて、名称から「祝賀」を取って「新年会」に変更し、都内で開かれました。会場では3団体のトップが「金びょうぶ」の前で出席者らを出迎えるのが恒例でしたが、ことしは金びょうぶは取り除かれ、会の冒頭、出席者らは地震や事故で亡くなった人たちに黙とうをささげました。また、会場ではアルコールの提供もとりやめとなり、乾杯の発声も行われませんでした

NHK WEB

「新年会、思ってたんとちゃうなー」という方多いのではないでしょうか?それだけではなく、ここでも震災復興に向けてのお話が出ているのです。

経団連の十倉会長は、あいさつで「すでにさまざまな企業が物資の供給やインフラの復旧、生活サービスの維持、生活復旧支援などに取り組んでいる。経済界は引き続き、被災地の皆さまに寄り添った支援を行っていく」と述べました。経団連では会員企業に対して寄付や物資などの提供を呼びかけています。また、日本商工会議所も被災した地域の商工会議所で中小企業や小規模事業者の資金繰りなどの相談に応じる窓口の設置をサポートするなど、経済界でも支援の動きが進んでいます。

NHK WEB

この記事には経団連の十倉会長、日商の小林会頭、ローソンの竹増貞信社長、伊藤忠商事の岡藤正広会長、出光興産の木藤俊一社長、すかいらーくホールディングスの谷真会長、トヨタ自動車の佐藤恒治社長、東芝の島田太郎社長、サントリーホールディングスの新浪剛史社長、森トラストの伊達美和子社長、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長のご発言も掲載されています。是非是非、ご一読を。


06. 特定非常災害指定と激甚災害指定

このあたりも何が何やら区別が付いていない方多いと思います。かくいう私も、ちゃんと調べて知ったのは昨年の豪雨災害の時でした。整理していきましょう。参考にしたのは小林史明議員のこのポスト。わかりやすい!

それぞれカバーする範囲が違うんですね。程度の差での区分ではなく、措置範囲の区分なので、両方指定も可能です。


06-1. 特定非常災害指定

「特定非常災害」に指定されると、運転免許など様々な許認可の有効期間の延長、期限を過ぎた届け出の義務の猶予などの主に行政手続きについての特例が措置されます。(特定非常災害特別措置法)

今回の震災では1月7日に岸田総理がポストされました。


06-2. 激甚災害指定

「激甚災害」は、自治体への財政支援や様々な補助制度での補助率のかさ上げなどの、主に金銭面についての特例が措置されます。災害そのものを指定する「本激」と、エリア指定の「局激」の2種類があって、今回は被災規模が大きいので本激指定ですね。(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律)

翌日の1月8日にポストされました。


06-3. 決定までの速度

実はこれは早ければいいというものではないです。激甚指定は復旧復興を支援するための制度ですので、被害額の概算を出してからの話。大急ぎでやる必要はありません。ですが、今回は早いです。東日本大震災は規模が過去最大級だったので翌日決定でしたが、通常は1ヶ月以上かかったりします。

激甚災害に指定されると国の補助率が1~2割上がります。決定まで地元の市町村は、激震災害指定までは被災者に対して指定前の補助率で説明する事になりますので、早いのはやはり住民の方の安心に繋がりますね。

過去の激甚指定の一覧(直近5年分)は下記のサイトで確認が出来ます。


07. 40億円支出について

07-1.40億円は予備費である

時々「この災害全体に対しての費用が40億円」と誤解されている方が見受けられます。これは「予備費」と言って、国会の議決が要らない、今すぐに用意できるお金とご理解ください。財務省のサイトで確認すると下記の記載があります。

予見し難い予算の不足に充てるための経費で、予算成立後において歳出に計上された既定経費に不足を生じたり、又は新規に経費が必要となった場合、その不足に充てるため、内閣の責任において支出できるもの。

財務省

災害関係で使える2023年度の予備費は5000億円。ALPS処理水の水産業支援などで334億円は支出済。残りは4666億円は被災地の支援などに使用できます。


07-2. 補正予算が後追いで組まれる

大規模災害時には補正予算が後追いで組まれます。
東日本大震災の補正予算
熊本地震の補正予算

例えとして不適切かもですが、位置づけとしては「大きい買い物の着手金」のようなものですね。「今すぐとりあえずこれだけ払う。あとはちゃんと用意して、耳そろえて払いますよ」という感じです。


08. その他

08-1. 自衛隊の派遣人数が少ないという論調

私の数段上のフェイクバスターであるNathanが記事にされておられます。
わかりやすくて精緻で端正な記事を書かれる方なのでお任せでw


08-2. 流言は智者に止まる

内閣府がわざわざこれを言うって事は「深刻だ」って事です。

オールドメディアだけじゃないですよ、デマが跋扈しているのは。というか今は「ネットの方が誤情報の巣窟」ですからね。


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