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バックゴーランド

手持ちのカードは、回って来るのを待つのではなく
コントロールする物でもある
老人達が公園のテーブルでカードに興じてると

暗い若者がトボトボとやって来てベンチに座った
「若いのどうした?、カードでもやらないか?」
「そんな気分じゃないです」
「気に入らなければ立ち去ればいい
取り敢えず座っては?」

プレイを始めてから、若者は金銭的な悩みを
抱えてる事をなんとなくもらした
「そうかね、幾ら必要なんだい?」
「いや、額はとても(言えません)」
「そうかい」

プレイしていく内に、若者は勝ち続け
結構な大金になった
「さぁ、今日はこれでお開きにしよう」
「そんな、私だけがこんなに勝ってしまって」

「我々が、負けた事を気にしてるように見えるかい?」
「・・・」
「もう時間だ」

数えてみると、勝った金額は
必要な額だった事に驚き
彼は老人達を唖然と見詰めた
「なんて事でしょう、なぜ必要な額が?
それに、敢えて私を勝たせたんですか?
なんと言ったらいいのか?
申し訳ない気分です、初対面なのに」

「気にする事はないよ、カードで出来るとしたら
他でも出来るさw
それが負ける事を気にしていない理由でもある」

そもそも、公園のテーブルでの賭けに
大金を用意していた老人達は
実に奇妙だと気付いた彼は

後日、問題解決後、何度となく公園を訪れたが
再びその老人達に会う事は出来なかった

声を掛け、公園をよく利用しているという
何人かの人達に訊いてみても
テーブルでカードをしている老人達を
見た事がある人はいなかった

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