
失われてしまった物達
1
昔、野球好きの少年が
親に買って貰ったグローブとボールで
野球帽被り、壁当てキャッチを楽しんでた
それから何年か経ち小5の頃
地域に少年野球チームが出来
誘われたので喜んで入ってみたのだが
僅か1ヶ月程で止めてしまい
また本の壁当てキャッチ少年に戻った
「何故?」と訊くと
「自分は野球観るのが好きだけど
やるのは一人が好きなんだと気付いたんだ」と
2
昔、球場が静かだった頃
オヤジに連れてって貰うのが嬉しかった
買って貰った弁当食べ、ポリ茶瓶の
お茶が美味かった
選手達のプレーサウンドが聴こえ
それが当たり前だった
当たり前だったものが消えてしまった
3
ガッツポーズや雄たけびが
スポーツマンシップに反すると言われていた
競技が、いつの間にか
警告や失格にもならなくなった
失われた物を時々思い出す
失われてどうなったのかの
その結果を時々目にする
4
失われてよかったと感じた記憶はない
失われてはいけない、という
見識を見聞きする事もとても少ない
過ぎ去ったウエーブではなく
消えて失われてしまった物達
消え、失われるべきではなかった
と感じる物達