【映画】永い言い訳

映画「永い言い訳」を拝見した。2組の夫妻。2人の妻が旅行中に亡くなってしまい、残された夫2人、それと一方の夫妻の子ども(息子・娘)が描かれている。

2人の夫、子どものそれぞれに苦しみがあり、それぞれがさり気なく描かれている。1人目の夫は妻が亡くなっていた最中に浮気をしていたことを背負っていなかればならないという苦しみ。自業自得といえばそれまでだが、当初は「自分の名前+不倫」などと検索をして保身の色が強かったのが、最後には自分が不倫していたことを開示するというような変化が見られた。彼は小説家で他者との関わりを最小限にして過ごせるが、人生は他者という境地にたどり着くのが印象的。その他、家事はしない電話はしないという本当に自分だけの世界的な生活をしていたのに、家事はし、電話にはすぐに出て、妻の遺品を整理するというように変化していたのが印象的であった。

不倫していた夫Aとは対象的に、夫Bは妻を溺愛する。トラック運転手の夫Bはトラックの中で妻からの留守番電話を聞いて涙しその電話を削除できずに保存するというように、未だ妻の死から立ち直れないような描写であった。妻のことを考えすぎる結果、子どもに対してちゃんと向き合えていない感もあった。しかし、最終的には妻からの留守番電話を全部消去し、未来に向かって進んでいこうとする。これも1つの成長であると思った。

子どもたちも同様に背負うものがある。母親が亡くなったので、兄は妹の面倒を見なければならないし、金銭的な問題で勉強ができても私立の進学校に進むことは難しい。家計を支える人物が急に亡くなるということは誰にでもありえるが、実際にそうなるとこのような苦しみ・理不尽を味わうのかと思うと同時に、自分が恵まれているなと再確認させられた。

タイトルは永い言い訳であるが、個人的には永い罪滅ぼしという方がぴったりきた。ただし、主人公は日記的なノートをつけているのでそこに言い訳があったのかもしれない。小説版も気になる所である。

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