【映画】CLOSE

映画「CLOSE」を拝見した。幼馴染の少年2人が、中学校に進学した初日に「君たち付き合っているの?」とからかわれる。それをきっかけに、一方は相手との距離をとろうとし、もう一方は今までの関係を続けようとする。

距離をとろうとする側は、別のやんちゃな男友達と仲良くなろうとし、アイスホッケー部という男っぽいクラブに入る。近づこうとする側は、一番仲良しな友達に避けられているので人間関係に苦労する。同じアイスホッケー部に入ろうと思うが、それにもなかなか踏み込めない。

距離をとろうとする側は、運動部に入るなど男性として期待される生き方に沿って生きようとしているように見える。しかし序盤の少年の視線の描き方から考えると、おそらく男性規範に沿って生きることは本心ではないと思う。距離をとりたくてとっているわけではなく、社会からの規範に渋々従う形で距離をとるように追い込まれたのだと考えられ、その意味では被害者と言える。

しかし、この映画ではその少年の被害者性を描くのではなく、その親友の犠牲が描かれている。それが自分の視野を開いてくれた。

冒頭のシーンも良かった。暗闇の中に2人いる少年が陽のあたる道を駆け抜けていく様子は、映画「怪物」のエンディングを思わずにはいられない。本作の最後の少年は後ろを向いていた様子から前を向いて歩き出すが、それはどんな道なのだろうか。その道を作るのは我々でもあるのだろう。

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