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読後感想「ペッパーズゴースト」
感想
3.5/5点
おもしろかった。けど、個人的にはもう1つ何かが突き抜けなかったというイメージ。
なんでそう思ったのか、ヘディングして、短めに書いていこうと思う。
小説の内容
主要登場人物
壇先生 主人公。中学校教師。「飛沫感染」で相手の翌日の一部分が見える
ネコジゴ 猫を地獄に送る会の略。
一人残らずネコジゴハンターにやられてしまえばいい。ネコジゴハンター ネコジゴのメンバーを追う2人。ロシアンブルとアメショー。
いいぞ、やってまえ。サークルメンバー 「カフェ・ダイアモンド事件」の被害者遺族たち。
鳴海彪子 サークルメンバーの1人
内容
この作品ではこれまでの伊坂作品と同じように、3人の視点で話が進む。
①壇先生(主人公視点)、②ロシアンブル(小説視点)、③鳴海彪子(回想)の3人だが、今回は少し特殊で、ロシアンブルは生徒の書いた小説のお話である。これは新規性があって面白い。どう本筋と関わっていくのかというのも注目。
物語の一本の筋としてニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」がある。伊坂幸太郎なりの解釈がこの物語を通して伝わる作品。以前にも伊坂作品でツァラトゥストラが出てくる作品があった気がする。何だっけ。
なぜこの小説にハマらなかったのか
1.魅力的な登場人物の不在
個人的にこれがハマらなかった1番の原因。好みの問題。人による。私は登場人物のキャラクターが魅力的だったら、多少内容が平凡でもある程度は楽しめる方だと思っている(伊坂作品で好きなのは「砂漠」の西嶋、殺し屋シリーズの七尾)。でも今作のキャラにあんまりはまらなかった。強いて挙げればネコジゴハンターの2人。蜜柑と檸檬を思い出す。ただネコジゴ・ハンターがギミックありきというかおもしろい要素だけどいなくてもいいポジションなのが残念。他の作品でみたい。
2.物語に入りきれなかった
これは魅力的な登場人物の不在とつながる部分もある。好きなキャラができるとそこからは結構すらすら読めるし内容も入ってくる。読書に強弱が生まれるというか。でも今作では好きなキャラがいなかったから内容も入りづらかったし読むペースもそこまで上がらなかった。特に鳴海視点では口調が好みでなかったのもあり、何回か前を読み直したり、登場人物表(あってよかったね、アメショー。)に戻ることになったりした。
あとは単純に「確かにサークルメンバーはかわいそうだけど、そんなことまでする?」ってなっちゃった部分がある。ただ、マイク育馬は嫌い。これには同意。
まとめ
好みなんて人による。今はそこまでハマらなかっただけで、明日読み返したら「あれ?おもしろくね?」ってなっているかもしれない。
コロナ禍を経て「飛沫感染」という言葉が出てきた時代に、すぐにこの面白い設定で作品を出してきた伊坂先生はやはりすごい。来年1月に新刊が出るみたいだがそれも楽しみ。
毎年4月になったら絶対思い出す作品だと思う。「ああ、今の壇先生だったら感染してるなあ」って。