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金利と株価には、どのような関係があるのでしょうか?
今日、新聞にアメリカで10日の米債券市場で指標となる10年物国債利回りは一時、4.79%に達し、2023年11月以来の高水準をつけた。米株式相場は米国債に比べて歴史的な割高水準となり、上値の重さにつながっているとありました。
さらに続けて、金融市場では米長期金利の上昇によって、債券利回りが株式益回りを上回るという「逆転現象」が起きた。安全資産の米国債で運用したほうが、株に投資するよりも高い利回りが得られる状態だ。米国株は国債に比べて割高な水準といえる。IT(情報技術)バブル期にも株価が高く、益回りが長期金利を下回ることがあった。とありました。
ちなみに株式益回りとはPER(株価収益率)の逆数で求められます。
S&P500種株価指数の予想益回りは10日時点で4.6%台で推移する一方で、10日の米債券市場で指標となる10年物国債利回りは4.79%に達しています。
株価が調整しても不思議ではないですよね。
しかし、この後どうなるかは推測の域を出ないためわかりません。
そこで今回は、金利と株価の関係性についてお話しします。
金利と株価の関係は、金融市場において非常に重要なテーマであり、両者はしばしば逆相関関係にあるとされています。ただし、その関係性は状況や市場環境によって変化します。
金利と株価の基本的な関係
1. 金利が上昇すると株価が下がりやすい理由:
• 資金調達コストの増加: 金利が上昇すると、企業の借入コストが増加し、利益が圧迫される可能性があります。これにより、企業価値が下がり株価が下落する傾向があります。
• 投資の魅力度の低下: 金利が上昇すると、安全資産(例:国債)の利回りが上がるため、株式よりも債券が魅力的になる可能性があります。結果として、株式市場から資金が流出しやすくなります。
• 将来キャッシュフローの割引: 金利上昇により、株式の将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率が高くなり、株価が下がる可能性があります。
2. 金利が低下すると株価が上がりやすい理由:
• 借入コストの低下: 金利が低下すると、企業の資金調達コストが減り、利益が増える可能性があります。これが株価の上昇につながることがあります。
• リスク資産へのシフト: 金利が低い環境では、安全資産の利回りが減少するため、投資家はリスク資産である株式市場に資金を移す傾向があります。
• 経済成長の促進: 低金利政策は消費や投資を刺激することが多く、企業の業績向上に寄与します。
具体的な要因とメカニズムはこうです。
1. 中央銀行の金融政策
• 中央銀行が金利を引き上げる(利上げ)場合、景気を抑制しインフレをコントロールする意図があることが多いです。これが株式市場にネガティブな影響を及ぼすことがあります。
• 一方、金利を引き下げる(利下げ)場合、経済刺激策の一環であり、株価にポジティブな影響を与える傾向があります。
2. 業種による影響の違い
• 金融業: 金利上昇は、銀行や保険会社の収益増加に寄与するため、株価が上昇しやすい傾向があります。
• 成長株: 成長株(特にハイテク株)は、将来のキャッシュフローの割引率が大きく影響するため、金利上昇の影響を受けやすいです。
3. インフレとの関係
• 金利上昇はしばしばインフレ率の上昇を抑制する目的で行われますが、インフレそのものが企業のコスト増加を引き起こし、株式市場に悪影響を及ぼす可能性もあります。
注意点として
• 短期的 vs 長期的: 短期的には金利と株価が逆相関する場合が多いですが、長期的には経済成長が株価を押し上げるため、必ずしも単純な逆相関関係にはなりません。
• 市場環境の違い: 金利と株価の関係は、国や市場の状況によって異なります。たとえば、新興国市場では金利の影響が先進国市場よりも大きいことがあります。
• 期待との関係: 金利の変化自体よりも、その変化が市場参加者の期待と一致しているかどうかが株価に影響を与えることがあります。
まとめるとこんな感じです
金利と株価は、一般的には逆相関の関係にありますが、経済環境や業種ごとの特性によって影響が異なります。金利政策の背景や市場全体の期待感を理解することで、より正確な分析が可能になります。
一概に答えを導くのは難しそうですが、そもそも金融政策は各国の中央銀行が行うため、それぞれ違った利害関係が決定に影響しますのでケースバイケースです。
それよりも、その国の政治や経済情勢が良いのかや人口構成など、本質的な部分が今後成長するステージなのかなどを気にしたほうが良さそうですね。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。