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ぼんやり超子さんひとりたび、滋賀県彦根④

[ほっこりトホホな旅の記録。全6話]

*****

竹生島からの帰船。
ガイドブックで北のほうにある温泉施設を見つけました。マッサージやエステもあるらしい。

「いい加減雨にうんざりしてきたし、大雨のことは忘れて午後は温泉に浸かってやろうか。長浜市なので焼鯖そうめん食べてから。そうだ、そうしよう!」

この思いつきだけの行動が地獄のはじまりです。

彦根から長浜はJR琵琶湖線で数駅。鉄道アプリで調べると…50分後?
え、待って。アプリがバグった?
違う、そうじゃない、本数が少ないのです。

郊外在住とはいえ、いかに自分が東京の電車の間隔に慣れているかを痛感。
そもそも、琵琶湖周辺を車でなく電車でサクサク巡れると思ったんですか超子さん。旅を甘く見てはいかん。
心で動揺しながら、すました顔で駅構内をウロウロ。

搾りたてオレンジジュースの自動販売機を発見。珍しい。買います。
あれ?買えない。

よく見ると「ただいま準備中です」の張り紙。
ぐぬぬ(笑)。

駅コンビニでコーヒー買ってホームで飲んだりしてるうちに電車は来ました。ぼーっと待つのは得意な超子さんです。

そうはいっても目指すお店が間もなく閉まるので急ぎ足。
黒壁スクエアというちょいとおしゃれな通りの脇道に、雰囲気の良いそのお店はありました。スタッフさんもとても感じが良いです。
お客さんがほぼいなくなっていたのをいいことにお庭の見える席を陣取り、焼鯖そうめん。2分もたたずに出てきてびっくりしましたが、まあ、そうめんですからね。焼鯖も冷ましてあるし。
タレをからめた温かいそうめんに焼いた鯖が乗ってるだけなのですがこれがおいしい。見た目も良い。お茶の陶器も綺麗で。

温泉に行く気マンマンになっているのでまだビールは飲みません。

曇天の下、人影まばらな黒壁スクエアを横目に温泉へのバス停を探します。
バス来ました。
ICが使えないタイプのバス。おお。懐かし。
いやあ、雨よく降るなあ、と外を眺めているうちに、なんだかどんどん辺鄙な場所へ向かっている気がしてきました。30分近く乗ってるけど誰も乗ってこない。外はまだ午後3時すぎなのに雨雲で真っ暗。謎めいた映画やアニメに出てくるバスのような。いったいどこへ行くのか…。

【イメージ】

不安。


しかし無事目指すバス停に着きました。ただ温泉施設が見当たらない。だだっ広い道路わきにやたらデカいドラッグストアとラーメン屋があるだけです。
雨ザーザーで視界悪い。
めげずに歩くと、ありました!温泉!

ここか…。

「え、待って、やってる?」
「え、入口どこ?」
「うそでしょ」

すべて実際に声に出して言った独り言です。

大変静かなロビーで受付のおねえさんに「マッサージコーナーがあるって聞いたんですが」と私。
「ええと…あちらにマッサージチェアがありますが、人が手もみするようなのはないです」
「えっ」
「確か以前はやってたんですけど…半年以上前に終了しました」
「そうなんですね…」
私の見たガイドブックが古本だったため(1年前のだけど)情報が古く、手もみもエステもなくなっておりラウンジやレストランがあると思われる2階は休業閉鎖中、地元の人やドライブがてら立ち寄る人がちらほらという静かな入浴施設になっていました。
そもそも琵琶湖が見渡せるような露天風呂はなかった。

【結論】一人旅でわざわざバスで来るようなところではない。

でもちゃんと温泉のお風呂もあるしミストサウナもあるし、貸し切りに近い状態で2時間近く堪能させてもらいましたよ!ええ。

風呂上りに生ビール飲もう、と思ったけど、生ビールコーナーにも人がいない。帰ります。
いや、なんだかんだ言いましたが良いお湯でした!ありがとう。

施設を出てバス停へ。さっき調べたら10分後にバスがあったはず…

「あれ?!」
バスない…。平日のバス、もうない。

何を見誤った?

アプリで調べると、最寄り駅まで徒歩35分。
しかも雨。
GOアプリでタクシー呼ぶか?

「もういいや」

…歩くことにしました。
とほほほほ。
徒歩ほほほほほほ。

⑤へつづく


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