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『戦国ごはん男子・伊達政宗』第一章


まえがき

戦乱の時代、刀を振るうだけが武士の生き様ではなかった。人を率い、飢えや疲労、そして心の疲れを和らげる術を持つ者こそが、真の意味で兵の信頼を得ることができたのだ。伊達政宗という名将もまた、戦場を駆けるだけではなく、その知恵と発想力で人々の心を掴んでいた。

本書は、戦国大名でありながら料理を好み、時に独創的な発想で兵たちを驚かせたとされる政宗の物語である。片倉小十郎という忠実な家臣を伴い、様々な料理を生み出していく姿には、戦場でありながらほっと心が和む瞬間がある。
現代の食卓にも残る味の原型を、戦場と城内で生み出したとされる政宗の挑戦を、ぜひ楽しんでいただきたい。


第一章:「戦場に甘い救いの一品」

秋も深まり、朝晩の寒さが肌を刺す頃。ある合戦の休息中、伊達政宗は戦場の野営地で部下たちが疲れきっている様子を見ていた。戦況は有利だったものの、連日の戦闘で兵士たちは疲労困憊していた。

政宗 :「おいおい、これじゃ士気が下がるってもんだな。」

政宗は苦笑しながら、陣幕に足を運んだ。

そこへ、片倉小十郎がきちんとした姿勢で現れる。

小十郎 :「政宗様、先ほどの戦闘で敵兵は退けましたが、兵たちの士気が…」

政宗 :「それなら、甘いもんでも作ってやればいいさ。」

政宗があっさり言うと、小十郎は驚いた顔をした。

小十郎 :「甘味ですか?しかし、戦場でそのような贅沢を…」

と、いつもの堅物ぶりを発揮する。

政宗 :「いやいや、小十郎、堅苦しく考えるなって。たまには皆にも甘いものくらい食わせてやろうぜ。」

政宗は笑いながら、小十郎をなだめた。

政宗は目を光らせながら周囲を見渡すと、野営地に持ち込まれていた食材の中に青々とした枝豆があるのを見つけた。

政宗 :「よし、これだな!」

と声を上げ、政宗は枝豆を手に取り、部下たちに指示を出し始めた。

政宗 :「枝豆を茹でて、潰して甘く味付けして餅に乗せる…これでいけるんじゃねぇか?」

政宗は即興で考えたアイデアに満足そうな表情を浮かべる。


しばらくして、即席で作られた「ずんだ餅」が完成した。枝豆の優しい緑が鮮やかに映え、柔らかくした餅に乗せられた甘い味付けの豆が、まるで兵たちを癒すかのように見えた。

政宗 :「さあ、みんな、これで力をつけてくれよ。」

政宗は兵士たちに声をかけ、できたばかりの餅を振る舞った。

一人の兵士が口に含むと、驚きの表情が顔に広がった。

兵士 :「う、うまい!こんな甘くて美味しいもの、戦場で食べられるなんて…」

小十郎もまた一つ口に運び、わずかに目を細める。

小十郎 :「政宗様、確かに士気も上がることでしょうな。しかし、このような思いつきを持ってしても、時と場を弁えていただきたく…」

政宗 :「堅いこと言うなよ、小十郎!戦場でも楽しいことがあっていいだろ?」

政宗は満足げに笑い、小十郎をからかうように肩を叩いた。

小十郎は黙って微笑みを浮かべたが、その内心には政宗の器量の大きさに感銘を受けていたのだった。兵たちはずんだ餅をほおばり、心に温もりを取り戻し、再び戦への意欲を高めていく。

政宗が生み出した甘い救いの一品は、戦場に一瞬の安らぎをもたらし、兵たちの心をひとつに結びつけた。


ずんだ餅の食材と作り方

材料

枝豆(青豆でも可)……約300g(鞘から取り出したもの)

塩……………………小さじ1/4

砂糖…………………大さじ2〜3(お好みで調整)

餅……………………3〜4個

作り方

  1. 枝豆の下処理:枝豆を鞘から取り出し、たっぷりの湯で柔らかくなるまで茹でる。

  2. 枝豆を潰す:茹でた枝豆を冷まし、すり鉢で潰す。少しつぶつぶ感が残る程度が望ましい。

  3. 味付け:潰した枝豆に砂糖と塩を加え、よく混ぜ合わせる。甘さは兵士たちの疲れを癒すために、少し強めに。

  4. 餅の準備:餅を焼くか茹でて柔らかくする。

  5. 仕上げ:柔らかくした餅に、甘い枝豆ペーストをのせて完成。


兵士たちが心から喜ぶ「ずんだ餅」の甘みは、戦場に疲れた心と身体に温かい癒しを与え、次の戦いに挑む士気を取り戻させたのだった。                                                                                                  つづく……    


※この物語は、作者の想像(創造)の話しである。


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