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『戦国ごはん男子・伊達政宗』第五章

第五章:「湯治場の発案 白石温麺」


伊達政宗の軍は行軍の途中、疲労した兵たちの体力を回復させるため、近くの湯治場に立ち寄った。湯治場では温泉の癒しだけでなく、湯の町で採れる食材を使った地元の料理も提供されていた。兵士たちは一息つき、しばしの安らぎを得ていたが、そこに現れた政宗は不機嫌そうな顔をしていた。

政宗:「あぁ……戦場も行軍もいいが、こうやってじっとしてると腹が減って仕方ねぇ。何か腹に優しいが、しっかり食べられるもんはねぇのか?」

政宗の嘆きに応えるように、小十郎が湯治場で提供された食事の一品を差し出した。それは、地元の細い乾麺を使った温かい汁物だった。

小十郎:「これなど如何でしょう、政宗様。この町で古くから親しまれている温かい麺料理です。体が疲れている時にこそ最適かと。」

政宗:「ふむ……見た目は悪くないな。」


政宗は一口すすり、目を丸くした。

政宗:「おい、これは旨いな!つるりとして喉ごしが良い。だが、この麺、普通のうどんやそばと違って細いじゃねぇか。どうやって作るんだ?」

湯治場の女将が説明を始めた。

女将:「これは『素麺』と呼ばれるものでして、普通の麺より細く、消化が良いので病人や高齢の方にも重宝されております。ただ、これを作るには手間がかかるので、長旅にはあまり向きません。」

政宗は頷きつつも、考え込んだ。

政宗:「ふむ、たしかに身体に優しいし、味も良い。だが、この麺をもっと簡単に、しかも大量に作れるようにできれば、戦の最中や行軍でも使えるようになるんじゃねぇか?」

その言葉に小十郎が反応した。

小十郎:「殿、それは良い考えです。特に病で衰えた者や疲労した兵士には、これほど適した食事はございません。しかし、簡略化する方法となると……。」


政宗は早速麺を手に取り、湯治場の職人たちに話を持ちかけた。

政宗:「なあ、この素麺をもう少し短くしてみるってのはどうだ?細いと絡まりやすいだろうが、短けりゃ扱いやすくなるかもしれねぇ。」

職人たちはその提案に驚きながらも、早速試してみることにした。

材料

小麦粉……200g

水……100ml

塩……小さじ1

出汁(昆布と鰹節)……適量

野菜や薬味(大根おろし、葱など)……適量

作り方

  1. 小麦粉に塩水を少しずつ加えながら練り、よくこねて生地を作る。

  2. 生地を細長く延ばし、薄い棒状に成形する。

  3. 通常の素麺より短く切り分け、乾燥させる。

  4. 出汁を取って温め、短い麺を茹でたら汁に入れる。

  5. 大根おろしや葱を添えて完成。


新たな短い素麺「温麺(うーめん)」が完成し、政宗や兵士たちに振る舞われた。

兵士A:「これは……つるつると喉ごしが良く、胃にも優しいですね!」

兵士B:「短いので扱いやすいし、さっと茹でられるのが助かります。」

兵士たちの感想に、政宗は満足そうに笑みを浮かべた。

政宗:「こういう簡単で優しい料理があれば、戦場でも安心だな。これからも温麺を戦の友にしてやろう。」


こうして誕生した短い素麺「温麺」は、戦場や湯治場だけでなく、後に仙台藩内で広く普及することとなる。政宗の実用性と美味を追求する精神が、新たな名物を生み出したのだった。

政宗:「この温麺、俺の名に恥じない味だ。仙台を訪れる者には、これで癒しを与えようじゃねぇか。」
                つづく……

※この物語は、作者の想像(創造)の話しである。

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