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コーヒーの精製方法「washed」について
すごくいきなりですが,コーヒーの精製方法についてつらつら書いていきます。理由は先日コーヒー農園に行ってきて体験したからです。
アウトプットも兼ねて…ですが,精製方法の説明はメモ書きのようにしているので読みづらいかと思います。暇な時にコーヒー飲みながらゆるーく読んでみてください。
精製とは
コーヒーの精製とは,簡単にいうとコーヒーチェリーの果肉を取り除き,中の豆(生豆)を取り出すことです。この取り出した生豆を焙煎すると僕たちがよくみるコーヒー豆になります。でも、果肉を取り除いた後の豆にはベタベタの糖分の膜(ミューシレージと呼ぶ)のようなものがついていて,そのミューシレージを剥がなければ豆は取り出せません。これを発酵して水洗をして,乾燥,脱穀を行うことで生豆が取り出せるようになります。これが精製方法の一つ「washed」。ほかにもnaturalやhoneyといった精製方法もあります。
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washedの味わいは透明感があって、すーっと飲めるのが特徴かなと思います。オレンジやリンゴのような風味、バランスも良く、甘さもあります。すごく飲みやすくて毎日飲みたくなるコーヒーになります。また、生産者からすると安定したクオリティでコーヒーが作りやすいというメリットもあります。
精製方法「washed」
washedの各工程は以下の通り。
「washed」
①収穫
②熟度選別
③チェリーの水洗,フローター選別
④果肉の除去
⑤発酵
⑥水洗
⑦乾燥
⑧脱穀
各工程を詳しくみていく。
①収穫
収穫とはコーヒー豆になる前の状態のコーヒーチェリーを摘み取ること。コーヒー豆は元から豆の状態であるわけではなく,コーヒーチェリーという果実の中にある。収穫期は年に1度。
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農家さんはこのコーヒーチェリーを一つひとつ手摘みで収穫していく。しかし,スペシャルティコーヒーとして販売される豆のコーヒーチェリーは完熟のものだけを収穫する。熟し方は同じ木でも実によってバラバラで緑のもの,黄色のものなどがあり,熟しきってないものはそのまま枝に残しておく。そして,また熟したタイミングで収穫する。そのため,同じ場所に4-5回に分けて収穫しに来ていて,全てのチェリーの収穫は約2ヵ月ほどかかる。
②熟度選別
熟度選別では収穫したチェリーを精製所に運び,再度熟度ごとにより分けていく。収穫時に熟したチェリーだけを摘んだつもりでも勢い余って未熟のチェリーを摘んでしまうことやチェリーの片側は熟してても反対側は熟しきっていないことは多々ある。未熟なチェリーが混ざってしまうと単調な味わいになったり,熟しきる前の果実のような味わいが入ったりして完成した時のコーヒーの風味に大きな影響を与える。そのためここも手作業,数人のチームでしっかりより分ける。
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より分けたコーヒーで完熟のものはスペシャルティコーヒーとして,未熟なものはnaturalプロセスを行い,地元での流通にまわすことがある。緑のチェリーは硬くて果肉が剥げないためのけてしまう。
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③チェリーの水洗,フローター選別
ここではチェリーについた土埃や汚れを水で洗い流す。それと同時にフローター選別を行う。フローター選別とは,チェリーを水に浸したときに浮いてくるチェリーがあるのだが,その浮いてきたチェリーをのけること。浮いてきたチェリーは中がスカスカで販売,流通用にはできない。
④果肉の除去
パルパーと呼ばれる機械で果肉を剝ぎ,豆を取り出していく。ここで取り出した豆はミューシレージ付きの豆でまだコーヒーにはできない。
果肉は土と混ぜられ肥料にしたり,地域によっては果肉を乾燥させ,カスカラと呼ばれるものを作り,これをお湯に浸してカスカラティーを作ったりもする。アイスに変えてる人もいたなぁ。
⑤発酵
発酵を行うことで冒頭でも少し紹介した糖分の膜「ミューシレージ」を溶かしていく。ミューシレージは手や爪でのけようとしてもぬるぬるしてるし爪も入らないくらい硬くてとれない。そのため,発酵の過程でミューシレージをどろどろに溶かして水洗いして剝ぐ。チェリーの収穫を行うと発酵までその日中に行う。
発酵は容器や袋に入れて行う。ミューシレージは糖分の膜で,これを微生物が水と二酸化炭素に分解し溶かしていく。また,気温が低いと発酵は進みにくく,逆に気温が高いとよく進む。スペシャルティコーヒーが育つ場所は標高の高いところ(標高1.000m以上の場所が多い)が多く,精製所もコーヒー農園の近辺にあることが多い。そのため,気温は低く,発酵は進みにくいため2-3日かかる。地域によって,あるいは標高の低い場所だと気温も高いため20時間ほどで発酵が完了することもある。
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発酵の工程はコーヒーの風味に大きく影響を与える。発酵が適切だと,フレーバーは複雑で香りも良いコーヒーになる。発酵が進みすぎると味わいが曇った印象や後味がドライになり,逆に発酵が進み切っていないと単調な味わいで複雑さにかける。発酵の止め際は農家さんによって違い,発酵槽に棒を指したり,液をなめたり,pH計で測ったりして止めている。
washedの発酵にはウェットファーメンテーションとドライファーメンテーションがある。ウェットファーメンテーションとは発酵をする際に豆を水につけて発酵する方法。ドライファーメンテーションは水に着けずに発酵する方法。エチオピアやルワンダなどの大きな精製所がある場所では,ウェットファーメンテーションのことが多い。
発酵後のコーヒー豆は本当にドロドロでツンとした匂いがする。味も酸っぱい。発酵層に突っ込んだ手をそのままにしてるとカピカピになった粉みたいなのが付くよ。
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⑥水洗
発酵が完了すると溶けたミューシレージを洗い流す。桶に水を張り,そこに発酵後のコーヒーを浸し洗う。洗い方は地域によって異なり,手で洗うこともあるしレーキにようなものを使って洗うこともある。ミューシレージは溶けているといってもすぐには剝がれないので何回か繰り返し水洗を行う。きれいに洗った豆は割とザラザラで,洗うときには豆通しがこすれてじゃりじゃり音がする。この時にもフローター選別を行っている。豆の中がスカスカだと浮いてくるのですくって捨てる。
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⑦乾燥
水洗いしたコーヒー豆を乾燥させる。この工程でのコーヒー豆はパーチメントと呼ばれる殻のようなものに包まれている。このパーチメントがついたコーヒー豆を乾燥させる。乾燥期間は地域によって異なり,1週間程度のこともあれば,2-3週間かかる場合やアジアなどの湿気が多い地域では3-4週間かかることもある。乾燥時にはアフリカンベットと呼ばれる乾燥棚の上にコーヒー豆を薄く広げて,湿気がこもらないように乾燥させる。乾燥し始めたらそのままずっと放置しているわけではなく,毎日コーヒー豆をかき混ぜ乾燥ムラがないようにしている。水分値が10-11%になったタイミングで乾燥終了。パーチメントコーヒーのままで何週間かねかせておく。
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アジアだと夜は霧が出たりして湿気てしまうことが多いためハウスの中で乾燥させたり,扇風機のようなもので風をあてて乾燥させたりする。
乾燥中のパーチメントコーヒーは乾燥期間によって重さが全然違う。水分が多いと重いし,湿っている感覚がよくわかる。
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⑧脱穀
乾燥させたパーチメントコーヒーのパーチメントを脱穀機を使い剝いでいく。剝ぐと生豆の状態になり,これを焙煎するとよくみるコーヒー豆になる。
以上が精製方法「washed」でした。コーヒー作るっておもったよりも大変なんです。コーヒーを育てて液体にするまで多くの過程があって,それ以上の人たちが携わってます。ほんとに果てしない…。今回はコーヒー農園ツアーで農園に行き体験してきて楽しかったですが,農家さんや精製所の方々はやはりすごく大変だと思います…。
この辺の体験を通しての感想や思ったことをまた別の記事にしようかなと考えております。
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最後湿っぽくなりましたがコーヒーはおいしく飲んで楽しんでいくことは変えません(笑) コーヒー楽しんでいきましょー!