見出し画像

ありふれた恋と幸せ 5

蒼甫のママから連絡がきた。

蒼甫が頑張って乗り越えてるよって。


会いに行った。

私が好きになった蒼甫の顔に戻っていて
そして気まずそうに私に謝った。

この蒼甫なら私、
一緒に歩める。


あなたとなら
私、笑って過ごせそう。

側にずっと居させてね。

幸せな空気だけが私の回りには纏っていたはずだった。



ここからはイノチにかかわる事なので
生死にかかわる出来事にしんどい方は見ないで下さいね!!お願いします🙇‍♀️


私と蒼甫は結婚の挨拶に
私の地元に帰った。
同じ北海道だが簡単にいける距離ではないので
車で帰ろうかと思ったけど
敢えてバスでのんびり帰って戻ろうと思ったんだ。


育ての叔母である母や姉、姉の旦那さん。
その旦那さんの家族など。
みんなに祝福され、
蒼甫は人に愛される人で正直、蒼甫とダメという人はいない。
友達も親も。

私たちの未来はこれからで。
未来を思えばワクワクして。
私達が結婚することでこんなにも周りが幸せな気持ちになってくれる事。
それ自体が私たちには幸せだった。

帰りのバスの中、

彼はきちんとプロポーズをしてくれて

【出会えて良かった】と2人で言葉を交わし合った。

彼は大事なことはきちんと言葉にしてきちんと伝えてくれる。

もちろん、私も彼もまだまだ未熟な人間で傷つけ合うこともあるけど。

大丈夫。

そう思えた。

蒼甫は何度も私に言う。
私の過去もわかってる上で。


【生まれてきてくれてありがとう😊】

そう伝えてくれる。

否定しながら生きてきた私には
蒼甫の言葉はいつも擽ったくて恥ずかしい。

心から私はこの世界に生まれ、
蒼甫と出会えた事を幸せに思った。

そんな気持ちに余韻など浸らせてくれる事も許されず帰りのバスで事故が起きた。

私が目を覚ました時は
蒼甫とは離れていて多分、救急車の中。
私と蒼甫はイノチが失ってもおかしくない
事故に遭った。

そして意識を失っていたはず。
蒼甫だけが命をおとした。

目が覚めた頃は病院で
私は生きてて。

蒼甫は側にいなかった。

ただただ
何が起きたのか把握することでいっぱいで。

蒼甫のパパとママは自分の息子が命つきたのに
私をみて【良かった】と泣いている。


私は違う意味で泣くのだ。

これが夢であれば。

夢であってと願いながら

自分の身体のあちこちが痛む。


退院してから蒼甫の家に行った。

そこで蒼甫の幼馴染で同級生の女の子に

【お前のせいで蒼甫は死んだ】
そう言われた。

【蒼甫のお母さんも本当は恨んでるはず】

追い討ちをかけるかのように
私を責める。

そんな事、
私が一番思ってるよ。

言われなくてもさ。

何で自分が生きてて蒼甫だけが死んでしまったのも。

蒼甫のためだけに生きようか。
誰とも結婚しないで一生、彼のイノチを背負って生きていかないと。

そうココロに誓って
東京の父と母のところへ帰った。


そして2度と
蒼甫のパパとママには会わない方がいいと
決断したんだ。



ごめんね、蒼甫。

ごめんなさい。蒼甫のパパとママ。

あの日、バスで帰ろうと私がいったから。

いいなと思ったら応援しよう!