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#29 捨てられないもの/及川恵子
あの時の自分がかわいいよ
私が捨てられないもの。
映画のパンフレット。
本。
以前勤めていた会社の送別会でいただいた、“編集後記風”の寄せ書き。
仕事で使った取材ノート。
しかし、それよりもずっと捨てられずにいるものがあります。
BLANKEY JET CITYのラストライブで限定発売された、UNDERCOVERとのコラボTシャツです。
見てこれ…。
今だったら絶対着ない!!!!!!!!
(ヨレヨレかつ汚くてすみません…!!!!!!!)
え…? 骨になった馬と人のデザイン…?
それになにこの蛍光色…。目がチカチカすんじゃん…。
うわーーー!!!!!
しかも後には
maximum rock'n' roll
って書いてあるーーー!!!!!!いかついー!!!!!
…と言えども、私、もともとバンドTシャツが大好きだったんです。
前にもここで書いた記憶がありますが、バイト代のほとんどをライブにつぎ込んでいた高校生時代は、ライブに行くなりそのアーティストのグッズ、特にTシャツとタオルを購入するのがお決まりのスタイルでした。
そんな中でも、このブランキーのTシャツは特別。
当時付き合っていた彼と一緒に幕張まで観に行ったライブだったし、
私にとって、初めてかつ最後のブランキーのライブだったし、
さらに10代ではお値段的になかなか手が出なかったUNDERCOVERのアイテムだったし…。
あの頃は頻繁に着ていたような気がします。しかも、自慢げに…。
(ああ…!)
そんな思い出が繊維の一本一本まで染み込みまくったこのTシャツ。
思い出のひとつひとつを思い出しては、やっぱり捨てられないままでいます。
とはいえ、常に目の届くところに置いてあるわけではないんですけどね。
だって、タンスの奥にしまってあるこのTシャツを時々広げただけで、
青春の思い出特有のさわさわした思いと、
「くっそだせえ…」というカッカとした思いがまぜこぜになって、
今すぐ走り出したいような気持ちになるものですから…。
とはいえ、やっぱり捨てられない。
棺桶に入れてほしい、とまでは思わないけど(笑)。