ASUS「ROG ALLY」の発表を受けて
結論から言うとポータブルゲーミングPCは「ROG ALLY」一択の状況になりました。日本発売もしばらく待てば来るだろうと思います。自分もついにこのジャンルに食指が動きました。(ただ本当は8インチサイズが欲しい・・・)
競合機種とのカタログスペックの比較は多くの人がしているので、それを見た感想を書くことにしました。
5/13「ROG ALLY」発表
ASUSが今年のエイプリルフールに当ててきた新製品「ROG ALLY」(”アールオージー アライ”と読みます)を、ついに正式発表しました。「エイプリルフールの嘘だよ!」が嘘だったパターンですね。
※(6/1訂正)ASUS公式によると「アライ」ではなく「エイライ」と読むのが正しいようです
ハンドヘルドのゲーミングPCをASUSが作るのは初めてのことです。ほそぼそやってきたジャンルですが、ついに超大手企業が参入しました。よく比較で並べられるのは「Steam Deck」というSteamのゲームに特化したマシンですが、性能は比べ物にならないほど「ROG ALLY」が上です。
今までASUSが作ってきたモバイルゲーミング製品といえば、
Android搭載でコントローラなどのアタッチメントも着けられる「ROG Phone」やWindows搭載でコンバーチブルやタブレット型の2in1製品などがありますが、それに比べてより汎用性を捨てたゲーミング特化なジャンルです。
他のメーカーよりも期待している部分
似た製品は既にいくつもあります。「ONE XPLAYER」「AYANEO」「GDP WIN」などが有名です。しかしながら「ROG ALLY」はその中でも特別な存在になると思います。
というのも、ASUSはコスパ・ディスプレイ品質・バッテリー管理能力など、競合の中小メーカーには真似できない規模やノウハウを持っているからです。少なくとも自分の場合は、ASUSならこういった”カタログスペックを見ただけでは分からないところ”が信頼できます。
ASUS製品はどれも、とにかくディスプレイが綺麗です。「ROG ALLY」も120Hzで500nitsでsRGB100%という、他の追随を許さないクオリティです。
ガラスもコーニングのゴリラガラスで、顔の映り込みが極力気にならないようなコーティングがされています(Apple製品やSteam Deckの上位モデルもこれに似たコーティングがされています)。実はこの部分に品質の高いものを使っているとバックライトを抑えることができるので、バッテリーにも影響します。
バッテリーに関しては、ゲーム用途だと充電のサイクルが頻繁です。品質や使い方(充電しながらゲームするなど)によっては、半年もたずバッテリーの寿命が来てしまうこともあるようです。
例外なく「ROG ALLY」もその宿命を持って生まれてきたと思いますが、ある程度は競合機種より寿命を長くすることができるのではないかと思っています。バッテリー品質が信頼できること、今回搭載されているZ1チップが用途に最適化されたものであること、アプリでのパフォーマンス制御が簡単そうなことが理由です(ただ期待し過ぎは禁物)。
多くのレビューではゲーム時のバッテリー持続時間が計測されていますが、いくらゲーミングPCといっても、24時間トップパフォーマンスでゲームしているわけではありません。新しいAPUのZ1シリーズには、非ゲーミング時の消費電力を極力抑えてくれることも期待しています。
「ROG ALLY」はFPS制限やTDP制限がかなり簡単にできそうです。ゲームの起動中も簡単にアプリを呼び出してパフォーマンス調整ができ、ゲームごとにその調整したプロファイルを保存しておけるようです。この辺はさすがASUS、さすがROGですよね。ソフトウェア面で他に負けることも考えにくいです。
実測値だと、最高の30Wパフォーマンスを維持できるのは1時間程度、TDP半分の15Wでゲームプレイすると1.5~2時間程度バッテリーがもつようです。「Steam Deck」や競合機種と同じくらいバッテリーがもつのは、よくやっているほうだと思います。
AMDが作ったZ1チップについて
このジャンルに向けて電力などが調整されたチップをAMDが作ってくれました。
明らかにAppleのM1をリスペクトしたネーミングなので、「もしかするとスマホからデスクトップまでAMDのZ1搭載!みたいな未来もあるのかも」と思ってしまいました。ただ実際のところZ1シリーズはあくまで7040Uシリーズの兄弟分みたいですね。それにM1はユニファイドメモリも含めたもので、かなり特別です。
作ってくれたことはありがたいですが、今後どういった展開になるか分かりません。もしZ2、Z3・・・と続いていくと、どうなるのか楽しみです。
しかし「Arm版Windowsとはなんだったのか?」と思うほどAMDが頑張ってますよね。Microsoftは「あらゆる端末を全て同じOSで動かす」という目標を持っていますが、それはどちらかというとAMDの技術によって「複数の端末が1つで済むようになる」ことで達成に近づくのかもしれませんね。
AMDがモバイルに向けて頑張ってくれると、ASUSがいつもオプションで用意しているeGPUやDockもより活きてくると思います。帰ったら繋いで充電も大画面接続も同時に行えます。
このジャンルの今後について
今後、他のメーカーがどう対抗してくるのか楽しみです。クラウドに特化したり、キーボード一体型だったり、LTE搭載で差異化を測ってくるメーカーも出てくると思います。
入力系統で言うと、実はこの「ROG ALLY」にトラックパッドが無いことが唯一気がかりです。「Steam Deck」でも搭載されているのにWindows搭載の「ROG ALLY」が搭載しないのは少し残念です。非搭載に踏み切った理由は、一緒に入力機器を売りたいとかコストとか色々考えられますが、前提としてWindowsもタッチで最低限の操作はできるようになっているということです。
個人的に「このジャンルが盛り上がることでポータブル端末(タッチ操作端末)におけるWindowsの未来を切り開けるか」というのも非常に興味深いです。どの機種もゲームでなければ実用的なバッテリーもちになってきていますからね。
AMD、Microsoft、各メーカーに期待!
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