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1-3.ライトノベルにおける「良いオリジナリティ」の特徴とは?

どうも、現役ラノベ作家ののべろです。

新人賞を複数受賞した経験や、
アマチュア作家の原稿を何十と読んできた経験を活かし、
プロ作家が持つライトノベルの技術をnoteに言語化・体系化しています。

プロのラノベ作家を目指す方、
特に新人賞受賞を狙う方に役立つ記事を投稿していきますので、
ぜひフォローしていただけると嬉しいです。


さて、前回・前々回の記事では、
オリジナリティとは何かについて解説し、
ライトノベルにおけるオリジナリティのパターンも見てきました。

復習すると、オリジナリティとは
「固有名詞なしの説明で作品を特定できるかどうか」でしたね。

そして、オリジナリティは
題材、世界観・設定、キャラクター、ストーリー・構成、アプローチ
の5つに分類され、
1つの物語には1つの大きなオリジナリティがあるという話でした。

そして前回の最後に、次回は
「良いオリジナリティと悪いオリジナリティ、それぞれの特徴」
について解説すると予告していましたが、
長くなったので分割します。

今回は良いオリジナリティについて、
次回は悪いオリジナリティについてです。

この二回が総集編というような立ち位置で、
僕が持っているオリジナリティについての技術を最大限に詰めこみました。


今回の記事を読み進めるに当たってはぜひ、
今書いている、あるいはこれから書き始める自分の作品が
良いオリジナリティとなっているか、
あるいは悪いオリジナリティになっていないか、
考えながら読んでみてください。

あるいは、自分の好きな作品のことを考えてみるのも良いでしょう。

過去の経験と照らし合わせながら読むことで、
理解が一段と深まっていき、記憶に残りやすくなりますので。

それでは始めましょう。


良いオリジナリティの特徴3選


はじめに注意点ですが、
次回の「悪いオリジナリティの特徴」とは違って、
今回の「良いオリジナリティ特徴」は抽象的です。

むしろ、あえて抽象度を上げて解説します。

なぜなら、オリジナリティは作品によって多種多様だから。

悪いオリジナリティはピンポイントに「これはダメ」と言えるのですが、
良いオリジナリティについて具体的に「こんなのが良い」と言ってしまうと
「じゃあそうじゃないものはダメなの?」と誤解を受ける可能性があります。

なので今回は、
題材でも設定でもキャラクターでも、何をオリジナリティにするにせよ、
あらゆる「良いオリジナリティに共通する特徴」をご紹介します。

それではさっそく、「良いオリジナリティの特徴」3つを見ていきましょう。


①読者が面白さを想像できる

1つ目の特徴は、読者が面白さを想像できることです。

ライトノベルはエンタメ小説なので、
「面白く感じること」はオリジナリティに限らず重要なポイントですが、
作品作りのスタート時点であるアイデア・オリジナリティの段階では
特に意識したいポイントとなっています。


いくらオリジナリティが大事だと言っても、
他と違うだけではいけません。

他と違う、かつ面白そう。

これがオリジナリティの絶対条件です。

「こんな世界観だよ」「こんなキャラが出てくるよ」
とオリジナリティを説明したときに、
「たしかに新しいけど……それってどこが面白いの?」
と思われたらアウトなのです。


これはすなわち、読者ファーストの意識と言い換えてもいいでしょう。

そもそも「作品にオリジナリティを出そう!」というのは
どちらかと言えば作者目線で語られるテクニック・アドバイスです。

オリジナリティに困っている人というのは
「自分が面白いと思うストーリーやキャラクターを書いたけど、オリジナリティがないって言われた……」
という人が大半で、最初から
「面白い作品を作るためにオリジナリティを意識するぞ!」
と考える人は少数派なのではないでしょうか。


それゆえ、オリジナリティというのは作家都合になりがちです。

そしてここを取り違えてしまうと
作者としての意識が先行して空回りし、
読者が楽しめないような作品になってしまうことがあります。

(こういった例は次回、具体的に解説しますね)

作者の視点で物語を考えながらも、
「この物語は面白いのかな?」という読者の視点も忘れないようにしましょう。


世の中にはすでに数え切れないほどの物語があり、
「まったく新しい面白さ」などというものはもはや存在しません。

「ガワの部分にオリジナリティがあるが、本質的な面白さは今までの作品と同じ」
でいいんです。

逆にそこから外れると、読者は面白さが感じられなくなってしまいます。

「確かに今までなかったけど、こういうのを読みたかったんだよ!」
と読者に言ってもらえる物語を目指しましょう。


……ただ、そうは言っても
自分で閃いたアイデアの良し悪しを自分で判断するのは難しいです。

そんなときは信頼できる友人や創作仲間などに
「こんなアイデアどうかな?」と聞いてみるのも有効です。

忌憚のない意見をくれる人がいなさそうなら、
プロに頼るのもありでしょう。

(例えばのべろはココナラで創作相談を受け付けています)


②オリジナリティが物語全体に活きている

2つ目の特徴は、オリジナリティが物語全体に活きていることです。

前回までの記事に、
オリジナリティ溢れる要素がいくつもあるように感じられる作品でも、
それらは大きな1つのオリジナリティから生まれている、と書きました。

良い作品、良いオリジナリティというのは、全体を通して
「そのオリジナリティではないと書けない物語」になっています。


題材が新しいのなら、
その題材でしか知ることのできない世界が、ストーリーが、
そしてキャラクターの関係性が描かれるでしょう。

世界観が新しいのなら、
その世界観だからこそ起こる事件が起こったり、
その世界観だからこそ生まれる人々の葛藤が描かれるでしょう。

キャラクターが新しいのなら、
そのキャラクターがいるからこその展開が続くでしょうし、
物語の最後に起こる問題も、その解決方法も、
そのキャラクターならではのものになるでしょう。

これが、「オリジナリティが物語全体に活きている」状態です。

物語全体に活かせるようなオリジナリティを考えましょう。

と言っても、必ずしもオリジナリティが壮大である必要はありません。

例えば「ヒロインの性格がちょっと変わっている」など、
一見して規模が小さそうなオリジナリティでも、
その一点からいろいろなエピソード、展開に広げることができるはずです。


③キャラクターの魅力に繋がっている

最後の特徴は、キャラクターの魅力に繋がっていることです。

また復習になりますが、
あらゆる物語の中でもライトノベルで重要なのは
「読者にキャラクターを好きになってもらうこと」でしたね。

②で「オリジナリティは物語全体に活きているべき」と書きましたが、
ことライトノベルに限って言えば、
その物語全体は、キャラクターを好きになってもらうためにあります。

であれば、オリジナリティを考えるときも
キャラクターのことに気を配っておくべきでしょう。


キャラクターにオリジナリティを置いている作品はもちろん、
それ以外にオリジナリティがある作品でも同じです。

例えば……

「その題材だからこそできる、主人公とヒロインの関係性」
「その設定だからこそ生まれるシチュエーション、そこから生まれるヒロインの可愛さ」
「その構成だからこそできる、キャラクターの浮かび上がらせ方」

などなど。

オリジナリティに気をとられすぎず、
キャラクターの魅力を疎かにしてしまうことがないようにしましょう。


これを意識するための実践的なワークとして、
好きになってもらいたいメインキャラ(主人公やヒロインなど)について
「(読者にとって)なぜこのキャラが魅力的なのか」を書いてみましょう。

可愛いでもカッコいいでも面白いでもOKなので、
「こうこうだから魅力的」という形で書きます。

そして最後に、
「その魅力が作品のオリジナリティと関係しているか」を確かめてみましょう。

間接的にだとしても、何かしら関係しているはずです。


もし関係していないなら黄色信号で、
オリジナリティが物語全体やキャラクターに活きていない可能性が高いです。

そのまま書き始めてしまうと、
そのキャラクターが物語から浮いてしまうかもしれません。

後からキャラクターの魅力を変えるのは大変なので、
最初にしっかりと設計しておきましょう。


まとめ


以上、良いオリジナリティの特徴を3つご紹介しました。

再度になりますが、
自分の書いた作品がこれらの特徴を満たしているか、
あるいは自分の好きなヒット作がどうか、考えてみてください。

抽象的な解説が、ぐっと身近に、わかりやすく感じられるはずです。

「良い作品とはどんな作品か」が見えてきたのではないでしょうか。


そして次回は、
「悪いオリジナリティ」について解説します。

こちらについては実例のようなものも添えて解説するので、
より実感を持って、自分の作品を振り返ることができるようになっています。

のべろ自身の公募時代の失敗も入っていますし、
何十とアマチュア作家さんの原稿を読んできた経験から、
失敗のパターンも熟知しています。

ぜひとも楽しみにお待ちください。


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